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国内の主要CGプロダクションでは、どのような価格帯で、どのようなスペックのPCが使用されているのか。誰もが気になるこのテーマについて、本誌ではマウスコンピューターの協力の下、年に1度の一斉調査を実施中だ。

3回目の開催となる今年度は、「CGプロダクション年鑑 2019」掲載企業に一斉アンケートを行い、その結果を昨年度のものと比較・検証した。以下、自社の制作環境と比較してみてほしい。

TEXT_小野憲史

アンケート実施概要
調査対象:「CGプロダクション年鑑 2019」掲載企業
調査期間:2019年6月19日(水)~7月4日(木)
調査方法:Webアンケート
回答社数:122社

業界動向を如実に反映するCGスタジオのPC構成

「日本のCG制作環境をつまびらかにする」ことを目的に、マウスコンピューターの協力で、年に1度の一斉調査を行う本企画。今年度は「CGプロダクション年鑑 2019」掲載企業にWebアンケートを行い、122社の回答を得た。昨年度の105社から回答数は116%増加しており、より精度の高い結果が得られたと言えそうだ。

その結果、大きな変化が見られたのが「CPUへの関心度の上昇」だ。Core i9シリーズの普及に伴い、ワークステーションからコンシューマPCへと制作環境がシフトしてきたのだ。また、GPUではGeForce RTXシリーズの普及が本格的に始まり、シェアが激変する結果に。4K/8K案件の増加に伴いメモリへの関心度も高まるなど、わずか1年で大きな変化が見られる。今後もPCの構成は業界の変化を如実に反映していくだろう。

【参考】「CGプロダクション年鑑 2019」掲載企業全体(全338社)の業務ジャンル

映画・アニメ・ゲームなどの主要ジャンルと同じくらい、「その他」の回答がめだった。CGには一括りにくくれない、多種多様な業務があるということだ。裏を返せば、それだけCGが様々な業界に浸透していることがわかる。また、VRジャンルが30%と急速に伸びている点にも注目したい。

【参考】「CGプロダクション年鑑 2019」掲載企業全体の従業員規模

30名以下の企業が過半数を占め、その中でも10名以下の企業が25%を占める一方で、100名以上の企業も16%存在するなど、多様性に富んでいることがわかる。個人クリエイターから大規模スタジオまで、様々な企業が様々なスタイルで業務を行なっているさまが透けて見える。


Q1:現在、最も多く使用しているPCについてお聞きします。価格帯(税込)は?

全体的な傾向としては昨年度と大きな変化はない。しかし、その中でも50万円以上の高価格帯PCが合計で11%から6%に減少した一方で、20万円以上30万円未満のボリュームゾーンが34%から40%に増加するなど、デフレ気味の傾向が見られる。ワークステーションからコンシューマPCへの移行が進んでいる印象だ。


Q2:購入時に、重視した構成部品は?

■最も重視

PC購入時に重視するパーツについて、昨年度は「CPU派」「GPU派」「メモリ派」が並び立っていたが、今年は大きな変化が見られた。まず最も重視したパーツでは、CPUに重視派が37%から48%に一気に増加した。これにはCore i9シリーズの普及でXeonからの乗り換え組が増加したのではないかと推察される。

■二番目に重視

2番目に重視したパーツでも、メモリが22%から47%に急上昇しており、4K/8Kといった大容量案件が増加したことが背景にありそうだ。

■三番目に重視

最後に3番目に重視したパーツでは、GPUが27%から32%に増加し、メモリを逆転しているものの、様々なパーツに分散する傾向は変わらず、昨年度と大きなちがいはない。業界内外のトレンドの変化に、CGスタジオの設備投資が敏感に影響を受けた結果だと言えそうだ。

「CPUの優先度がここまで重視されるとは予想できませんでした。CPUは斬新的に性能が向上していくものなので、Core i9シリーズが発売されたといっても、そこまで影響はないだろうと思っていたのです。理由として考えられるのは、GeForce RTXシリーズの登場ではないでしょうか。レイトレーシング案件に対応するため、XeonからCore i9シリーズにCPUを切り替え、差額分をGPUやメモリに投資した企業も多かったのではないかと思います」(マウスコンピューター マーケティング本部製品部 林田奈美氏)。


Q3:CPUは?

XeonとCore i7シリーズのシェアが数ポイントずつ低下し、Core i9シリーズのシェアが6%から14%に急上昇した。自由投稿欄のコメントから、クロック数が高くコア数も多い特性を活かして、ゼネラリストを中心とする企業で特に需要が高いように見受けられた。


Q4:メモリは?

ボリュームゾーンが32GBであることに変わりはないが、64GBのシェアが16%から24%と増加した。4K/8Kの高解像度案件の増加や、Houdiniなどの3Dシミュレーション系ツールの浸透、複数アプリケーションを同時起動しての作業の増加などが背景にありそうだ。


Q5:ストレージ(システムドライブ)の種類は?

全体的な傾向は昨年度と変わらないが、HDDとNVMe SSDが共に数ポイントずつシェアを落とした一方で、SATA SSDが増加した。SATA SSDからNVMe SSDに変更するだけでアクセス速度やRead/Write速度が4倍程度向上するなど、ストレージの性能は全体の性能向上で重要な要素を占める。今後もHDDからの置き換えが進みそうだ。


Q6:上記ストレージの容量は?

512GBと1TBが二分する構造は変わらないが、256GB、1TB、2TBが数ポイントずつ減少する一方で、512GBのシェアが増加している。SATA SSDの値頃感を受けてのことだと考えられる。


Q7:GPUは?

新たにGeForce RTXシリーズが加わり、種類が増したGPUのシェア。これに伴い昨年度は44%対55%だったGeForceとQuadroの比率が、今年は65%対32%と大きく変化した。一方でQuadro RTXシリーズは発売されて間もないため、調査には反映されなかった。このシェアが来年度どのように変化するか注目したい。

総括

業界の動向を反映する鏡ともいえるPCのパーツ構成。今回の調査で浮かび上がってきたのが、「レイトレーシングなど新しい技術に対応するため、Core i9シリーズとGeForce RTXシリーズの組み合わせでPCを新調した」というユーザーシナリオだ。一方で今後は、より大きいビデオメモリが搭載可能なQuadro RTXシリーズのシェア拡大も予想される。いずれにせよデータの大容量化が進み、よりハイスペックなPCが求められていく一方で、PC1台あたりのコスト感に大きな変化が見られないのが現状だ。用途に合わせて最適な構成が選べるBTOマシンの注目度がさらに高まっていくのは確実だろう。

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なぜマウスコンピューター製品が選ばれるのか?

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なぜマウスコンピューター製品が選ばれるのか?

今やCG制作に欠かせない存在となったBTOマシン。各社の競争が激化する中、かつてのようなコストパフォーマンスの追求だけでは、差別化が難しくなりつつある。市場で生き残るためには、消費者から選ばれるだけの「確かな理由」が必要だ。こうした状況をふまえて、マウスコンピューターでも様々な施策を行なっている。はたしてそのブランド価値はこの1年間でどのように変化してきたのだろうか?一斉アンケートを通して興味深い事実が浮かび上がってきた。


Q1:マウスコンピューターを知っていますか?

ブランドの認知度は100%に達しており、昨年度と比較して「個人または家族・友人で既に導入・購入経験あり」が減少したのに対して、「会社またはオフィスで既に導入・購入経験あり」が微増している。法人への認知度拡大を目指す同社の取り組みが結果に表れたかたちだ。


Q2:導入・購入したマウスコンピューター製品のブランドと所有台数は?(導入経験ありと回答した方のみ)

法人向けの「MousePro」、クリエイター向けの「DAIV」、ゲーミングPCの「G-Tune」に、一般向けの「mouse」が加わった今年度のアンケート。「DAIV」がトップなのは変わらず、「mouse」が「MousePro」を上回った。CG制作以外の経理・事務用途などでも、マウスコンピューターの浸透ぶりが見て取れる。所有台数の合計も増加しており、業界内での着実な浸透が感じられる。


Q3:構成以外で選んだ理由は?(導入経験ありと回答した方のみ)※複数回答可

一般的にBTOの強みとされるコストパフォーマンスが一気に30ポイント以上減少し、納期も22%から10%に半減した。これに対して各評価ポイントに票が散らばっており、ユーザーそれぞれに固有の魅力を感じているのがわかる。


Q4:これからも継続的に導入・購入しますか?

昨年度に比べて「NO」の割合が約3割から約2割に減少しており、着実に業界内での信頼度が高まっていることがわかる。ここ1年での様々な施策が実を結んでいると言えそうだ。


Q5:どのモデルを導入・購入継続しますか?(「YES」と回答した方のみ)

半数以上の回答者がクリエイター向けブランドの「DAIV」を支持する一方で、新たに一般向けの「Mouse」が加わり、そのぶんだけ法人向けの「MousePro」が減少した。それぞれのブランドが着実に定着している印象だ。

導入企業一覧(五十音順)
アイロリ・エンタテインメント/アクティブデザイン/ACT-AGE/旭プロダクション/アバン/alphaliez/アンダーグラフ/アンノウンケース/E-GRAPHICS COMMUNICATIONS/exsa/イマージュ/イリンクス/インティ・クリエイツ/V-sign/ウサギ王/エイワース/エヌ・デザイン/オレンジ/KATACHI/カナバングラフィックス/画龍/きしだStudioBACU/キャラバンズ/京楽ピクチャーズ./グランディング/クリーク・アンド・リバー社/CLIP+BISON/クリパリンク/グリフォン/クレッセント/x10 studio/ケイカ/ケンシアート/GEMBA/講談社VRラボ/コロッサス/コロビト/コロプラ/コンセプトラボ/コントルノ/サムザップ/CG工房/シェルパ/シネボーイ/SiBaFu/ジャストコーズプロダクション/白組/神央薬品/スタジオコメットCG部/スタジオ・バックホーン/スタジオフェイク/スタジオブロス/StealthWorks./ステロタイプ/スパイス/スピード/スマートエンジニア/ゼロニウム/ソアズロック/ソリッドレイ研究所/ダーウィン/太陽企画/タムソフト/チドリグラフ/tsumiki/ディアル/ディー・ビジュアル/ディースリーディー/デイジー/デザインアクト/デザインココ/デジタル・フロンティア/デジタル・メディア・ラボ/虎猫企画/ナイス・デー/NAC/Nadia/日本デザインセンター/NORIBA/バイキング/PAGODA/バンダイナムコスタジオ/pHスタジオ/ピコナ/ピラミッド/ファンタスティックモーション/フェス/4Dブレイン/4LEG/Flying Ship Studio/プリズムビジョン/フレームワークス・エンターテインメント/Barehand Modeling Studio/ポイント・ピクチャーズ/ポリフォニー・デジタル/Volca/ボンズ/マウンテンスタジオ/マッドボックス/マリンポスト/ミラージ/MUGENUP/メタサイト/モデリングブロス/モンタージュ/YAMATOWORKS/ラークスエンタテインメント/ライオットヴィジュアライゼーション/ラピス/ラフィカ/ランカース/ランハンシャ/リバティアニメーションスタジオ/リブゼント・イノベーションズ BACKBONE事業部/lunaworks/RAYLINE STUDIO/レベルアップ

導入企業が語る、マウスコンピューター製品のお気に入りポイント

・安定性の高さ。プロジェクションマッピングの現場でも1回も落ちたことがない
・コストパフォーマンスが抜群に良い
・クリエイター向けの中でも、さらにニッチな要望も購入時にカスタマイズできる点
・中身がシンプルなので内部構成を自分で変更しやすい。メモリの相性も広い。内部をいじれるので長期間使用できる
・出張修理にも対応しているところ

最新技術をいち早く採り入れクリエイターを支援していきたい

CGWORLD(以下、CGW):今年のアンケートでは「構成以外で選んだ理由」の項目を増やしてみました。「コストパフォーマンス」が相変わらずトップですが、「デザイン」にも7%入っています。

林田奈美氏(以下、林田):いろいろな点を評価していただき、ありがたいですね。BTOメーカーはコストパフォーマンスを追求しがちな点がありますが、それだけでは限界があります。今後もお客様が魅力に感じていただける点を増やして、愛着をもっていただけるような製品づくりを目指したいですね。

  • 林田奈美氏
    (株)マウスコンピューター
    マーケティング本部製品部

CGW:「これからも継続的に導入・購入しますか?」という設問では、「NO」が昨年度の約3割から、約2割に減少しました。

林田:素直に嬉しいです。実際に使っていただいているお客様から評価いただけているわけですから、励みになります。

CGW:購入理由の自由回答欄で「安定性の高さ」というコメントがありました。「プロジェクションマッピングの現場で一度も落ちたことがない」などです。

林田:使用される現場の環境が千差万別で、かなり苛酷な現場もあるようです。そうした中でも安定して動作しているとのことで、嬉しい言葉ですね。

CGW:逆に「パーツ構成で一歩遅れ気味」という厳しい意見もありました。

林田:そこは社内でも議論になるところです。安定性との兼ね合いがあるため、なかなか難しいところがあるんですね。パーツの製品評価に時間をかけると、どうしても遅くなりがちで......。今後もできるだけ努力していきます。

CGW:個人的に注目されているパーツはありますか?

林田:GPUではGeForce RTX 20xx SUPERです。特に2070 SUPERは2080 SUPERと同一コアなので、バランスが良い製品です。

CGW:今回お勧めしていただいた3製品についても、簡単に説明をお願いします。

林田:第一に4K有機ELモニタ搭載のノートPCです。モニタだけでも良いお値段ですが、30万円以下に抑えました。液晶モニタに比べ黒色のコントラストがはっきり出るので、色再現率の高さが求められるクリエイティブ用途にお勧めです。第二に先ほども出ましたが、GeForce RTX 2070 SUPER搭載のデスクトップPC。最後に建築ビジュアライゼーション分野などで大容量CADデータの取り扱いも楽々こなす、XeonとQuadro RTX搭載のワークステーションとなります。

CGW:最後に今後の抱負をお願いします。

林田:AIやリアルタイムレイトレーシングなど、CG制作を巡る環境が激変しています。弊社もそうした最新技術をいち早く採り入れて、クリエイターの皆さまに最適なスペックのPCをお届けできるように努力していきますので、よろしくお願いします。

マウスコンピューターが2019年にオススメするマシン構成

●DAIV-DGZ530U3-M2SH2
RTX2070 SUPER搭載でコストバランスの良い
クリエイター向けデスクトップ

2019年7月価格:269,800円(税別・送料別)

  • OS
  • Windows 10 Home 64bit
    (Pro 64bitへカスタマイズ可能)
  • CPU
  • インテル® Core™ i9-9900Kプロセッサー(8コア/ 16スレッド/ 3.60GHz / TB時最大5.00GHz/16MB スマートキャッシュ)
  • グラフィックス
  • GeForce® RTX2070SUPER(GDDR6/8GB)
  • メモリ
  • 32GB PC4-19200 DDR4 (16GB×2 /デュアルチャネル)
  • M.2 SSD
  • 256GB(NVMe対応)
  • ハードディスク
  • 3TB
  • 電源
  • 700W 80PLUS® BRONZE
  • 保証期間
  • 1年間無償保証・24時間×365日電話サポート

●DAIV-NG5820U1-M2SS
コントラスト比100000:1の有機EL
4K-UHDパネルで豊かな表現を可能にする
クリエイター向けノート

2019年7月価格:259,800円(税別・送料別)

  • OS
  • Windows 10 Home 64b(it Pro 64bitへカスタマイズ可能)
  • CPU
  • インテル® Core™ i7-9750H プロセッサー(6コア/12スレッド/2.60GHz/TB時最大4.50GHz/12MB スマートキャッシュ)
  • グラフィックス
  • GeForce RTX™ 2060(GDDR6 6GB)/インテル® UHDグラフィックス 630(メインメモリからシェア/最大 約16GB)
  • パネル (ノートのみ)
  • 15.6型 4K-UHDグレア(有機EL / DCI-P3比100%)
  • メモリ
  • 32GB PC4-19200 DDR4 SODIMM (16GB×2 /デュアルチャネル)
  • M.2 SSD
  • 512GB (NVMe対応)×2(非RAID)
  • ハードディスク
  • オプション
  • 電源
  • リチウムイオン内蔵バッテリー(動作時間約7.7時間)/ ACアダプタ 180W (19.5V)、AC100V (50/60Hz)
  • 保証期間
  • 1年間無償保証・24時間×365日電話サポート

●MousePro-W995DQR6-M2
建築ビジュアライゼーション等大規模CADデータも処理できる
ハイエンドワークステーション

2019年7月価格:1,698,000円(税別・送料別)

  • OS
  • Windows 10 Pro for Workstations 64bit
  • CPU
  • インテル® Xeon® Gold 6130 プロセッサー 2基(16コア/32スレッド/2.10GHz/TB時最大3.70GHz/22MB スマートキャッシュ)
  • グラフィックス
  • Quadro RTX™ 6000(GDDR6 24GB)
  • メモリ
  • 128GB PC4-21300 DDR4 ECC Registered 対応 (8GB×16)
  • M.2 SSD
  • 512GB Samsung PM981(a NVMe対応)
  • ハードディスク
  • オプション
  • 電源
  • 1000W 80PLUS® PLATINUM
  • 保証期間
  • 1年間ピックアップ無償保証・ 24時間×365日電話サポート

問:株式会社マウスコンピューター
TEL(法人):03-6739-3808(平日9~18時、土日祝10~20時)
www.mouse-jp.co.jp/business/



  • CGプロダクション年鑑 2019
    編者:CGWORLD編集部
    発行・発売:株式会社 ボーンデジタル

    定価:1,800 円+税
    判型:A4ワイド/オールカラー
    総ページ数:384