11月7日(木)、円谷プロダクション(以下、円谷プロ)の作品に登場した怪獣たちの魅力あふれる姿を体感できるアトラクション「空想科学『かいじゅうのすみか』体感エンターテイメント」(以下、かいじゅうのすみか)がオープンした。同アトラクションはパナソニック株式会社(以下、パナソニック)が技術協力に名を連ね、円谷プロの特撮美術にプロジェクションマッピングなどの技術が加わることによって、怪獣たちの姿がダイナミックに演出されている。今回はオープンに先駆けて行われた、メディア向け内覧会の様子をレポートする。

TEXT&PHOTO_久保 駆 / Riku Kubo(Playce)
EDIT_小村仁美 / Hitomi Komura(CGWORLD)、山田桃子 / Momoko Yamada

空想科学「かいじゅうのすみか」体感エンターテイメント
開催日時:2019年11月7日(木)~2020年1月26日(日)
平日 12:00~18:00(最終入場17:30)、土日祝 10:00~18:00(最終入場17:30)
場所:東京ドームシティGallery AaMo
お問い合わせ:TBSイベントダイヤル
TEL: 0570-002-029
(2020年1月26日まで。受付時間 9:30~18:30)
主催:かいじゅうのすみかin Gallery AaMo製作委員会(円谷プロダクション/TBS/ローソンエンタテインメント)
m-78.jp/sumika

怪獣たちが共生する姿から、想像力をかき立てられるアトラクション

会場内の案内の前に、円谷プロの広報担当からかいじゅうのすみかのコンセプトが紹介された。「かいじゅうのすみかには円谷プロが半世紀以上にわたって制作してきた作品の、様々な怪獣たちが登場します。それらの怪獣は『事情』や『伝えたかったこと』など、様々な背景をもって地球に現れました。怪獣たちはどこからやってきて、どこへ行くのか。何を伝えたかったのか。怪獣たちが共生する姿を見ながら、そんなことを考えられる空間が、『空想科学"かいじゅうのすみか"体感エンターテイメント』です」(広報担当)。

さらに「今回のアトラクションには原作がある」と続ける広報担当。会場内は9月20日に同社から発行された絵本『空想科学絵本 かいじゅうのすみか』の世界観を踏襲しているという。

この絵本はサマーキャンプに来ていた少年が、異空間への入り口「ポータル」へと迷い込んでしまい、怪獣たちの住む世界を冒険するという物語。「今回のアトラクションでは、少年が冒険の中で様々な怪獣に出会っていくという絵本のストーリーを、リアルにお楽しみいただけます」と広報担当は話す。また、会場の奥にある、怪獣たちの研究資料が展示された施設「探検家ラボ」も展示の見どころだと付け加えた。

特撮美術とデジタル技術で、怪獣たちのありのままの姿を演出

コンセプトと見どころの説明が終わり、会場内のプレスツアーが行われた。今回のアトラクションは場内全て撮影可能。ツアーでは展示の技術的な説明のほか、登場する怪獣たちの紹介も行われ、怪獣たちの特性をどのように表現しているのかも知ることができた。

ガイドに続いてエントランスの奥へと進むと、原作で少年が迷い込んだ異空間への入口「ポータル」が現れた。

「ギュイーン」と不思議な音を発しながら揺らめくポータル

ポータルは、パナソニック開発の触れても濡れにくい微細なミスト「シルキーファインミスト」をレーザー光線と照明で照らすことで、本当に時空が歪んでいるかのように演出されている。プレスツアー参加者はミストに手をかざしたり、撮影を行うなど演出を楽しんだ後、ポータルの奥へと歩を進めた。

ポータルを潜り抜けると、ウルトラQに登場した昆虫「モルフォ蝶」の群れが出迎える「ユートピア」へとたどり着く。左右のスクリーンに映し出されるモルフォ蝶はインタラクティブな映像になっており、触れるときらめいたり、色が変化する様を楽しむことができる。

優雅に舞うモルフォ蝶。可愛らしい見た目をしているが、れっきとした怪獣であり、鱗粉には触れた人間を巨大化させる効果があるという

ユートピアの奥へと進むと、歴代の大型怪獣たちが生息するエリアに到達。このエリアでは怪獣たちの動きを再現したロボットに、プロジェクター、特殊スクリーン、照明、サウンドシステムを組み合わせることで、怪獣たちの力強い姿を大迫力で表現している。

溶岩の中、雄たけびを上げるレッドキング。ロボトニクスとプロジェクションマッピングによって、本物のレッドキングがそこにいるかのような迫力を味わうことができる

電流を発するエレキング。背景と同じ色のスクリーンが手前に張られており、そこに映像を投影することで、エレキング本体から電流が発しているように見える工夫がされている

隣接するジャングルエリアではメトロン星人や、かいじゅうのすみかの宣伝隊長を務める「ムクムク」が登場。近づいて一緒に写真を撮れるフォトスポットとしても楽しむことができる。また、中央に設置された見晴台からは各怪獣の姿を一望することができ、別角度から展示を楽しむことができる。

フォトスポット「ムクムクの寝床」。抱き着いたり、一緒に横たわっての撮影もOKとのこと

続くエリアに足を踏み入れると「フォッフォッフォ......」と怪獣の声が響く。暗闇の中、光る方へ目をやると、そこにはバルタン星人の姿が。バルタン星人は壁や床を縦横無尽に移動した後、最後にはどこかへ飛んで行く。

このエリアでは瞬間移動や飛行など、宇宙忍者とも呼ばれるバルタン星人のスピードを体感することができる。演出にはパナソニックが開発した1台で部屋中に映像を投影できる装置「高速ムービングミラー」を使用。バルタン星人の映像を高速でスライドさせることで素早い動きを表現している。この装置を今回のようなアトラクションで使用するのは、国内初の試みだという。

暗闇の中に突如現れるバルタン星人。参加者は想像を超える素早い動きに翻弄されていた

薄暗いバルタン星人エリアを抜けると、一転して明るい空間へ。続くエリアには人間に友好的な怪獣「ピグモン」が生息している。

ピグモンは臆病な性格のため、木の陰や少し遠くから隠れてこちらの様子をうかがっているのだという

このエリアもインタラクティブな展示になっており、地面についているピグモンの足跡をたどりながらスクリーンに近づくと、逃げ出したり隠れたりするピグモンの様子を見ることができる。ピグモンの姿をカメラに収めたいときは、近づきすぎないよう注意が必要だ。

ピグモンたちに見守られながらさらに奥へと進むと、ついに探検家ラボに到達する。この施設は、かつてこの場所を訪れた探検家チャックによって収集された、怪獣にまつわる数多くの資料が残されたスペースだ。このエリアの制作は、これまで円谷プロの作品に特撮映像美術として携わってきた美術制作会社マーブリング・ファインアーツが担当している。

羽や角など怪獣の体の一部や膨大な数のスケッチ、標本などが置かれており、その1つひとつを眺めるだけで何時間も過ごすことができそうだ

探検家ラボを進んでいくと、そこは元の世界。オリジナルグッズなどを販売する売店へと繋がっており、会場内のプレスツアーは終了となった。円谷プロの特撮美術とデジタル技術によって表現された怪獣たちの魅力的な姿を存分に味わうことができた。

プレスツアーの終了後、一般の招待客に向けた内覧会が開催された。開場の前に行われたオープニングセレモニーでは、かいじゅうのすみかに協賛している「みんな電気」のオフィシャルアンバサダーであり、『ウルトラマンギンガS』に出演している最上もが氏が登場。「大人も子供も、最後までドキドキワクワクできるアトラクションになっています。グッズも可愛いので、最後のグッズショップまで楽しんで欲しいと思います」とコメントし、来場者の期待を膨らませた。

セレモニーの最後にはバルタン星人、ダダ、メフィラス星人、ピグモンらのウルトラ怪獣が登場。フォトセッションの後テープカットを行い、来場者を迎え入れた。

バルタン星人がテープカットを行うのは世界初(宇宙初)とのこと

空想科学「かいじゅうのすみか」体感エンターテイメントは東京ドームシティGallery AaMoにて、2019年11月7日(木)から2020年1月26日(日)まで開催される。期間中は、かいじゅうのすみかの世界の謎を解き明かす体験型イベント「かいじゅうのすみか AnotheR story ~時をつなぐ石碑~」のほか、テープカットに登場した怪獣たちとのグリーティングも楽しむことができる。ウルトラ怪獣たちのありのままの姿を見ることができるまたとない機会なので、ぜひ会場を訪れてみて欲しい。