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2015年4~12月にかけて、全国6箇所で開催したヒューマンアカデミー×CGWORLDのコラボセミナー 「ポートフォリオ"特効"ゼミ」。
この続編となる「ブラッシュアップ編」が、2016年1月23日(土)&3月21日(月)にヒューマンアカデミー東京校で開催される。前回"基礎編"の講師を務めた尾形美幸(CGWORLD)に加え、映画VFX、劇場版アニメなどを制作するCGプロダクションKALEID.(カレイド)のデジタルアーティスト渡邉優貴氏が登壇し、ポートフォリオをブラッシュアップするためのヒントや、アニメ・ゲーム・CG・映像業界各社、各職種に応じたアピール方法などを解説する。
さらに2月3日(水)には、このゼミの講師でもある尾形美幸(CGWORLD)共著の新刊書籍『採用担当者の心に響く ポートフォリオアイデア帳』がボーンデジタルから出版される。これに合わせて、CGWORLD編集部は ポートフォリオ&就職・採用に関する アンケート調査を実施した。その結果を報告しよう。
>>>>新刊書籍『採用担当者の心に響く ポートフォリオアイデア帳』
ポートフォリオ&就職・採用に関する
アンケート調査報告(2015年版)
2015年11月後半、CGWORLD編集部は、3DCG・映像・ゲーム業界における、ポートフォリオ&就職・採用に関するアンケート調査を行った。学生を育成・輩出する教育機関の関係者120名に加え、新卒採用を行っている企業89社の協力も得ることで、ポートフォリオの制作から審査までの全体像を俯瞰し、現状と問題を明らかにすることを目指した。以降で、その調査結果を報告しよう。
自分の"過去"と"未来" を数分で伝える
ポートフォリオとは、3DCG・デザイン・イラスト・デッサン・ラフスケッチなどの自分の作品や習作を、紙に印刷し、ファイリング、あるいは製本したものだ。アニメーション作品などをまとめた動画データの場合は、デモリールとよぶ。3DCG・映像・ゲーム業界のアーティストやデザイナー採用では、エントリーシート・履歴書に加え、ポートフォリオやデモリールの提出も求められる。それらによる選考を突破した人だけが、課題審査や面接に進むというのが、よくある採用の流れだ。
ポートフォリオで伝えるべきことは、大きく分けて2つある。1つは自分の"過去"、つまり、これまでの人生のなかで、何を学び、何を経験してきたのかということだ。もう1つは自分の"未来"、つまり、入社後に何ができるのか、何をやりたいのかということだ。
そして採用には、企業の人事担当者はもちろん、応募者の入社後の上司(アーティスト採用の場合はアートディレクターなど)や、取締役などの役員も関わっている。本来の業務の合間をぬって、限られた時間のなかで複数の履歴書やポートフォリオに目を通す、というケースが大半を占めるため、前述の伝えるべきこと2つを、なるべくわかりやすく、数分で伝える工夫が必要となる。そんなポートフォリオをとりまく、教育現場と採用現場の現状と問題を見ていこう。
教育関係者120名へのアンケート調査
Q1 ポートフォリオ制作は、いつ頃から始めるよう指導していますか?
83%が、早い段階での制作を推奨
83%の教育関係者が、在学期間の中間頃までに最初のポートフォリオをつくるよう、学生全員に指導している。合わせて質問した"回答理由"には「作品の数や質が不十分でも、志望する業界や職種が決まっていなくても、早い段階で最初のポートフォリオ制作を経験し、自分の現状を把握することが大切」「自分の成長や変化に合わせて作品を入れ替え、その時点のベストの実力や志望内容が伝わるよう、ポートフォリオをブラッシュアップし続けることを推奨している」「ポートフォリオを誰かに見せるチャンスは、いつ訪れるかわからない。少しでも早い段階からつくり始め、見てもらう機会、フィードバックを得る機会、バージョンアップする機会を増やすよう指導している」といった意見が寄せられた。一方で、「入学後、いきなり就職活動へと駆り立てるのではなく、最初の1年間は、クリエイティブな活動を楽しみ、クリエイティブな仕事に携わる喜びを知ってもらうことを重視にしている」という意見もあった。
Q2 課題作品とオリジナル作品に対する考え方を教えていただけますか?
課題はNG、オリジナルはOKと、一概にはいえない
最多の回答は"オリジナル作品主体で構成するよう指導している"で、合わせて質問した"回答理由"には「課題作品は学生全員が一律の条件で制作しているため、個々人の差別化が難しい」「企業の多くは、学校の指示で漠然とつくったものではなく、実際の仕事のようなクライアントやユーザを学生自身が想定し、制作した作品を求めている」といった意見が寄せられた。ただし「志望する業界・会社・学生に応じて指導内容を変えているため、一概にはいえない」という意見も多かった。その理由として「課題作品でも、学生の個性や技術レベルが伝わる内容なら掲載を勧める」「オリジナル作品でも、好き勝手につくった質の低いものであれば掲載しない方が良い」といった意見が寄せられた。
Q3 指導するなかで、問題に感じていることを教えていただけますか?
実際には、取りかかりの遅い学生が多数
Q1で紹介したように、早い段階から制作に着手するよう勧めている教育関係者が多い一方で、実際には取りかかりが遅い学生が多くいる実情が見えてくる。「ポートフォリオを制作し、人に見せて意見をもらう。興味のある業界・会社・仕事内容について調べる、といったことよりも、目の前の娯楽や誘惑に心を奪われ、準備不足のまま就活時期をむかえるケースが多い」という意見が目立った。ほかにも、「選考する側にどういう印象を与えるか、想像できない学生が多い」「ポートフォリオ制作に時間とお金を十分かけない学生が多い」「ポートフォリオは自分自身のアピールツールだという本質を理解していない学生が多い」などの意見が寄せられた。
新卒採用企業89社へのアンケート調査
Q1 新卒の採用スケジュールを教えていただけますか?
74%の企業が通年採用を実施
一般社団法人 日本経済団体連合会(以降、経団連)は、2017年3月卒業の新卒を対象とした採用広報活動の開始(就職活動解禁)時期を卒業前年の3月、選考開始時期を6月と定めた。ただし、就職・採用活動のスケジュールは企業によって様々で、経団連のルールにしたがっていない場合もあるので注意してほしい。とりわけ、3DCG・映像・ゲーム業界の場合は、通年採用が主流となっているのが実情だ。今回の調査でも、74%の企業が通年採用を実施していると回答した。一方で、経団連のルールにしたがうと回答した企業は6%に留まった。
Q2 新卒1人分のポートフォリオ(あるいはデモリール)評価にかける時間は?
短い場合は1分未満、長い場合は15分以上かけて評価
短ければ1分未満で審査終了。一方で、15分以上かけて精査する場合もある、という実情が浮き彫りになった。同じ時期に、同じ会社に送られてきた新卒のポートフォリオであっても、同じ時間をかけて評価されるわけではない。明らかに採用基準を満たしていない場合には、自ずと評価時間は短くなってしまう。
Q3 ポートフォリオ(あるいはデモリール)選考を突破し、面接に進む新卒の割合は??
面接に進む新卒は30%未満だと、71%の企業が回答
CGWORLD編集部では、今回と同様の調査を2013年にも実施しており、その時とほぼ同じ結果となった。ポートフォリオやデモリールによる選考を突破して面接に進む新卒は30%未満に留まると、71%の企業が回答している。選考基準を満たすポートフォリオを提出している学生は少数というのが実情だ。言うまでもなく、面接に進んだ新卒が全員採用されるわけではなく、採用担当者が"この人と一緒に働きたい"と思った人だけが採用される。クリエイティブ業界への就職は、狭き門と言わざるを得ない。
Q4 インターンシップ実施の有無について、教えていただけますか?
84%の企業がインターンシップ実施に前向き
3DCG・映像・ゲーム業界に限らず、インターンシップを重視する企業は増加傾向にある。今回の調査でも、84%の企業が「インターンシップを実施している」あるいは「実施したいと考えている」と回答した。合わせて質問した"回答理由"には「お互いの相性をポートフォリオや面接だけで見極めることは難しいから」という声が多く寄せられた。企業が知りたいのは、技術・知識・センスの有無だけではない。上司やクライアントからの指示を理解する力・問題を発見し解決する力・前向きな姿勢・折れない気持ち・チームワークにおける協調性など、多岐にわたる。それらを判断するため、インターンシップでは入社後の実務に近い作業をやってもらうと、実施企業の多くが回答した。
Q5 選考するなかで、問題に感じていることを教えていただけますか?
情報不足のポートフォリオが多い
上位3つの回答から、「採用を検討しようにも、情報が不足しているポートフォリオが多い」という問題が見えてくる。多くの企業が「課題作品しか掲載していない」ことを問題視しているが、この回答には「課題作品だけでは、何ができるのか、何をやりたいのかが把握しづらい」という思いが込められている。また、作品点数が少ない場合は「やる気がないように見える」という問題もある。「作品点数の少ない学生ほど、スキルが低く、業界や仕事内容に対する理解が浅い傾向にある」と語る採用担当者もいる。「グループで制作した作品と、個人で制作した作品が混在しており、本人の担当範囲が不明瞭だと判断ができない」「美男美女のキャラクターイラストしか入っていない、偏ったポートフォリオが多い」「企業の仕事では、個人の好みとは無関係な商業用のデザインが求められる。"自分の好きなもの"だけで構成されたポートフォリオを提出する学生が多く、"得意のアピール"を勘違いしている」といった意見もあった。
まとめ
早めに作り、企業は何を知りたいのか調べ、その結果をもとにブラッシュアップする
最後に、今回の調査から見えてきた現状と問題を整理しよう。教育関係者の多くは、「早期にポートフォリオ制作に着手し、段階的にブラッシュアップを図るべき。また、漫然と課題作品を掲載するのではなく、オリジナル作品を加えるなどして、自分の個性や技術レベルがしっかり伝わる内容にすべき」と考えている。しかし、ポートフォリオの制作やブラッシュアップに対して消極的で、業界・会社・仕事内容に対する理解が浅いままに就職活動を開始する学生も多くいることが推察できる。企業側から見れば、採用を検討しようにも情報不足のポートフォリオが多く、結果として選考を突破して面接に進む学生は30%未満に留まっている。おまけに、面接で話をしても、お互いの相性をしっかり見極められるとは限らない。だからインターンシップを実施する企業が増加しているのだ。複数の企業が「長く勤めていただくためには、"自分が納得して働ける場所なのかどうか"インターンシップを通して学生にも見極めてもらうことが重要」と回答している。
以上を踏まえて、ポートフォリオ制作のツボを3点あげてみよう。
1点目は「作品数は少なくても良いから、ポートフォリオは早めに作ること」。
2点目は「応募先の企業は何を知りたいのか、積極的に調べること」。
3点目は「調べた結果をもとに、ポートフォリオをブラッシュアップし続けること」。
幸い3DCG・映像・ゲーム業界では通年採用を行っている企業が多く、常にどこかで門戸が開いている。前述の3点のツボを心に刻み、自分も企業も納得して働ける場所が見つかるまで、折れることなく就職活動を続けてほしい。
TEXT_尾形美幸(CGWORLD)
INFORMATION 01:
ポートフォリオ"特効"ゼミ ~ブラッシュアップ編~
■日時:
2016年1月23日(土)13:00 ~ 16:00
2016年3月21日(月)13:00 ~ 16:00
※イベントの終了時間は予定
■会場:ヒューマンアカデミー東京校
■主催:総合学園ヒューマンアカデミー
■申込み:こちらから
2015年4月~12月にかけて、全国6箇所で開催したヒューマンアカデミー×CGWORLDのコラボセミナー 「ポートフォリオ"特効"ゼミ」。この続編となる「ブラッシュアップ編」が、2016年1月&3月に東京校で開催される。前回"基礎編"の講師を務めた尾形美幸(CGWORLD)に加え、映画VFX、劇場版アニメなどを制作するCGプロダクション KALEID.(カレイド)のデジタルアーティスト渡邉優貴氏が登壇し、ポートフォリオをブラッシュアップするためのヒントや、アニメ・ゲーム・CG・映像業界各社、各職種に応じたアピール方法などを解説する。
今回のハイライトは、ヒューマンアカデミー阿佐ヶ谷校(CGアートスクール KALEID.)の卒業生・在校生が制作した、ポートフォリオ、あるいはデモリールの"Before&After比較"だ。ポートフォリオやデモリールのブラッシュアップ前(Before)とブラッシュアップ後(After)の比較を通して、ポートフォリオ制作のコツを伝えていく。クリエイティブ業界への就職を目指しポートフォリオやデモリールをつくっている人は、ぜひこの機会を活用してほしい。セミナーの最後には個別相談の時間も設けているので、ポートフォリオやデモリールの持参も大歓迎だ。
■プログラム
<基礎編>
「実例編の前に、ポートフォリオの基本をおさらい」
ポートフォリオを作る目的、採用担当者の実情など、ポートフォリオの基本をおさらいする。
<実例編>
「Before&Afterから紐解く、ポートフォリオ ブラッシュアップのコツ」
ヒューマンアカデミー阿佐ヶ谷校(CGアートスクール KALEID.)の卒業生・在校生が制作した、ポートフォリオ、あるいはデモリールのブラッシュアップ前(Before)とブラッシュアップ後(After)の比較を通して、ポートフォリオ制作のコツを伝えていく。
★セミナー終了後は個別相談にも対応!
■登壇者
渡邉 優貴氏
尾形美幸(CGWORLD)
INFORMATION 02:
新刊書籍『採用担当者の心に響く ポートフォリオアイデア帳』
2016年2月3日発売
著者:中路 真紀、尾形 美幸
128 ページ/B5版
定価:本体2,000円+税
発売:株式会社ボーンデジタル
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本書は、クリエイティブ業界への就職を目指す人のための、ポートフォリオ制作のアイデア帳だ。3DCG・映像・ゲーム・アニメ・デザイン・イラストなど、クリエイティブ業界各社に採用された新卒のポートフォリオを中心に、実例50点を詳細な解説付きで紹介。9 社の採用担当者へのインタビューも掲載している。さらに「そもそも、ポートフォリオはなんのために作るのか?」といった基礎や、志望する分野・職種・応募者の個性をわかりやすく伝えるための具体的な方法、クリエイティブ業界向けの就職ノウハウ、入社後のキャリアデザインまで網羅している。これからポートフォリオをつくる人も、つくったポートフォリオをブラッシュアップしたい人も、ぜひ活用してほしい。
アンケートご協力プロダクション一覧 (順不同)
OLM Digital, Inc./有限会社ワンダリウム/プラチナゲームズ株式会社/株式会社アバン/株式会社Zaxx/exsa株式会社/株式会社GEMBA/株式会社トランジスタ・スタジオ 株式会社ハ・ン・ド/株式会社CORNFLAKES/NAKED Inc./株式会社unknownCASE/株式会社ModelingCafe/株式会社ゼネラルアサヒ/株式会社Skymill/株式会社ラピス/株式会社D4A/株式会社tsumiki/アークシステムワークス株式会社/株式会社アンダーグラフ /株式会社マウンテンスタジオ/株式会社アイケイアイエフプラス/グローバル・テクノロジー・デザイン株式会社 *Artz(アーツ)/株式会社アンサースタジオ/株式会社 オーツー/株式会社サテライト/ポリゴンマジック株式会社/株式会社コロッサス/株式会社ブービートラップ/株式会社ポイント・ピクチャーズ/株式会社パークグラフィックス/株式会社ラークスエンタテインメント/株式会社イマジナリーパワー/株式会社NORIBA/株式会社サイバーコネクトツー/東映株式会社ツークン研究所/株式会社デジタル・フロンティア/株式会社シンソフィア/株式会社ポリゴン・ピクチュアズ/株式会社リポグラム/ヒューマンアカデミー株式会社 KALEID./元気株式会社/株式会社デジタル・メディア・ラボ/株式会社トイテック デジタルテクノロジーセンター/ウサギ王/株式会社グリオ/toneplus animation studios/株式会社ステロタイプ/株式会社サムライピクチャーズ/株式会社金魚事務所/株式会社プラネッタ/株式会社ピコナ/株式会社スタジオリント/NEFT FILM.LLC/株式会社ライオットヴィジュアライゼーション/株式会社ハイオーガニックジャパン/有限会社ディースリーディー/ゲームドゥ有限会社/株式会社アニマ/有限会社ファインウェーブ/株式会社サクセス/株式会社オルガンソフト/株式会社人響社/株式会社名古屋テレビ事業/株式会社レイ/株式会社IMAGICAウェスト/モンブラン・ピクチャーズ株式会社/株式会社CRAFTS&MEISTER/株式会社D・A・G/株式会社イニス/株式会社NAC/株式会社PRIME WORKS/株式会社ジェットスタジオ/株式会社AI
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