8月24日に発売された、ヴァーチャル・アイドルユニット "meaw(メーウ)" のニューシングル『pair*』。同梱 DVD に収録されているミュージックビデオ『pair* Factory MIX』を制作したのは、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』 シリーズ でもお馴染みの スタジオカラー デジタル部 である。本作は、企画からアニメーション制作、さらにはジャケットのアートディレクションまで KDB 内で全ての作業を一括して手掛けた意欲作だ。CGWORLD.jp ではスタジオカラー全面協力の下、詳細なメイキングをお届けしているが、今回は 「前編」 に引き続き、キャラクターアニメーション、背景美術、そしてコンポジットワークまでを見ていこう。
MotionBuilder によるキャラクター・アニメーション
前編 で解説した通り、本作では Desktop MOCAP iPi によるモーションキャプチャをベースにアニマティクスが作成されたが、一連のキャプチャデータは最終的に手付けのアニメーションに差し替えられた。一般的に手付けアニメーションの場合、3ds Maxであれば Character Studio もしくは CAT を用いるケースが多いが、本プロジェクトでは、スタジオカラー デジタル部(以下、KDB) としては初めて MotionBuilder で作業を行うことにしたという。
「KDB としては、今回が初めての MotionBuilder 本格導入になりました。僕個人は以前にモーションキャプチャ絡みの仕事で利用したことがあったのですが、MotionBuilder はアニメーション作成に特化しているだけあって、効率良くアニメーション作成が行えますね。特に IK と FK のブレンドやタイムワープ( Step の切り替え)が自由に行えるので、本作のようなダンスもののアニメーション作成に向いていると思います」と、本作の CG ディレクター・鈴木貴志氏は語る。
© King Record. Co., Ltd.『pair* Factory MIX』PV より。公式サイト にて、プロモーション用の短尺バージョンが視聴可能だ
「その他にも、アニメーション作成を始めた当初は未だキャラクターモデルが FIX していなかったのですが、MotionBuilder では多少ボーン構造が変わっても、アニメーションデータがそのまま引き継げるるので、後からモデルを差し替える際にも容易に対応することができましたね」(鈴木氏)。
MotionBuilder はモーションキャプチャ時に用いるソフトと思われがちだが、本作のように手付けベースのアニメーション作成においても高い優位性を誇る。モーションを調整する上でも、Story 機能などノンリニア編集ソフトと似たような感覚で作業できるという面でも利点がありそうだ。今後、手付けベースのアニメーション作成にも MotionBuilder が利用されるケースが高まるのかもしれない。
MotionBuilder:Timewarp カーブ の活用
カメラが FIX であれば、AE のタイムリマップにて2コマ打ちや3コマ打ちなどアニメーションのタイミングを調整することができる。しかし、カメラが動いている場合はカメラワークもコマ飛びしてしまうため、3DCG ソフト上でキャラクターのキーフレームを調整しなければならない。そこで本作では、MotionBuilder の Timewarp カーブ 機能を使い、そうした調整を行なったとのこと。「コマ抜きして、ポーズが飛びすぎた場合も、Timewarp のカーブ頂点を上下させるだけでコマとコマの中間ポーズを拾ってこれるのが便利ですね」(鈴木氏)。その他にも後半に登場するスーパースローのカット作成や TimeWarp カーブの形状を変形することで減速/加速、逆方向等の調整もリアルタイムで行えるといった利点があるそうだ。
image courtesy of khara, inc.
Timewarp カーブを利用することで、コマの可変やポーズの調整が効率良く行える
MotionBuilder:ExpertMode(コントロールリグ)の活用
足の位置を変更せずに膝の移動量だけを抑えたい場合などは、コントロールリグを ExpertMode 切り替えることで、微妙なアニメーションの調整に素早く対応することが可能である。
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元の状態。この状態から足の位置は変えたくないが、25コマ目から26コマ目の膝の移動差が大きいので抑えたい
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そんな時はコントロールリグを ExpertMode にして、足の Pull を 100% に設定する
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修正後(赤線は修正前の状態)。画像のように膝の FK リグを選択してカーブを修正すれば、足を固定したままで腰にオフセットがかかる。これにより目的通りの動きに仕上げることができる
キャラクター・アニメーションのブラッシュアップ例
<STEP 1> Desktop MOCAP iPi でキャプチャしたデータをそのまま流し込んだもの
<STEP 2> キャプチャデータのノイズやモーションを調整を行い、レイアウト決めのアタリに活用
<STEP 3> 手付けベースでキャラクター・アニメーションをブラッシュアップ。アニメよりの動きにするため、2コマ打ちや3コマ打ちなどタイミングの調整も併せて行う
<STEP 4> 完成形。キャラクターの動きに合わせ、尻尾などのユレモノやフェイシャル等のセカンダリアニメーションが加えられていることが判る
MotionBuilder:多彩なモーションの受け渡し機能
MotionBuilder の優位性のひとつに、一度作成したモーションを複数のアプローチによって、別テイクや別モデルのモーションへと活用できることが挙げられる。このページでは、『pair* Factory MIX』PV のキャラクターアニメーション作成にて実際に利用された機能を紹介しよう。
Load Character Animation
CharacterControls ウィンドウは、モーションソースの選択やキャラクターモデルへのアニメーションのプロットなどを行うことができる。キャラクターのモーションデータを書き出し、新しいモデルに読み込み直すことも可能だ
Character Input
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Character Settings では、キャラクタ モデルの定義やモーションソースへの関連付け、コントロールリグの作成や管理などを行う。InputType メニューを [Character Input] に切り替えることで、別のキャラクターをモーションデータのソースとして選択可能であり、モーションの反転やオフセットの調整も行える
[CharacterInput] の使用例。MotionBuilder のチュートリアルデータ「Mia」に対して、InputType を ControlRigInput から CharacterInput に変更することで、メー(ピンク色の髪)やウー(水色の髪)の動きを常に参照させたところ。もちろん InputSource のキャラクタのアニメーションに変更を加えれば Mia の動きにも反映される
同様に [Mirror] 機能の使用例。Mirror を使えばモーションを反転させた状態で参照することができる
同じく [Reach] 機能の使用例。キャラクターの身長や手足の長さが異なるモデルに対してモーションデータを移植する場合は、Reach の設定にて任意のキャラクター部位の位置や回転を拘束することでズレを回避できる
Animation Merge
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Merge Options ダイアログボックスでは、他のシーンデータからモーションだけを Merge することも可能。名前が同じ場合は、マテリアル/カメラレンズ/コンストレインのウエイトなどの様々なアニメーションも移植可能。また、Merge Options ダイアログボックスでは、オブジェクト名が同一であれば FBX ファイルを介し、位置/回転/スケールといった様々な情報を必要データのみを選択し読み込み直すこともできるので、カメラワークを修正した場合や 3ds Max のスクリプトでアニメーション付けをした尻尾などのセカンダリアニメーションも MotionBuilder 上のモデルに素早く読み込み直すことができる
Story
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[Story] モードで外部のシーンからモーションを読み取り、モーションの切り張りや再生のタイミングを調整することが可能。ダンスのキャプチャデータは膨大で、そのデータの中から必要なモーションを切り出す必要がある上に、モーションの使いどころの変更が発生する事も多々あったが、Story 機能を使用すればモーションのトラックを前後するだけで使いたい部分の切り出すことができるのでカット内容の変更に楽に対応できる
CUT #26(上)と CUT #57(下)の完成モーション。本来の振り付けでは同じ動きであるが、CUT #57 では、監督を務めた小林浩康氏(KDB)から「手を開く時は、背中合わせの状態で」という演出指示があったため、CUT #26 のアニメーションをベースに Story 化することで、手を開く直前からトラックを分割し後半のトラックを 90 度戻してブレンドさせている
圧倒的な物量と緻密なディテール〜背景美術
続けて、KDB の持ち味のひとつである圧倒的な物量と精密なディテール描写が魅力的な背景美術について解説する。本作の背景のモデリングではコンビナートというキーワードだけはあったものの、それらの場面設定や詳細などが用意されている訳ではなかったので、細部のデザインなどは背景をモデリングするモデラーに委ねられたという。
「まずはスタッフ同士で『工業地帯のような場所で。クレーンがあって。クレーンがあるなら、それでステージを吊り上げるのも良いよね』といった感じでアイデアを出し合ったり、小林監督の描いたイメージボードを参考にアイデアを拡げていきました。写真などを参考にモデリングも行いましたが、実際に夜のコンビナートへロケハンに行きイメージを固めたりもしました」と、3D 背景美術をリードした宮城 健氏は語る。
もちろん、スタジオカラーには『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』などで過去に制作された工場などのモデルがあり、それらを利用するという選択肢もあったが、そうした場合も本作向けにオーバーオールしたり、新たにゼロからモデリングし直す必要があったという。
「工場などのモデルがあるといっても遠景用として作成されたモデルなので、リファインやバリエーションを増やす必要があったのですが、自社開発したプラグインを使うことでトラスやキャットウォークなどを簡単に作成する事が出来ました。どんなプロジェクトでもレイアウトの修正は付き物なので、背景をモデリングする際はRailCloneなどのプラグインを用いるなどしてレイアウトなどが変更になった場合なども即座に対応出来るように心掛けています」(宮城氏)。
短期間で効率良く作業を行うべく、プラグインや過去に培った経験などを活かしながらモデリングやレイアウトを進めることが欠かせない。
敢えて余地を残したアートディレクション
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小林監督が描いたイメージボード(左)とラフスケッチ(右)。ステージを吊り上げるクレーンやコンビナートというシチュエーション、色味の方向性など、ベースとなるイメージが示されている。監督が掲げたイメージの方向性に対して、担当スタッフがディテールや具体的な表現を積極的に盛り込んでいったそうだが、KDB には "トライ&エラーは締切間際まで惜しみなく" といった文化があり、各工程でその都度、新たなアイデアを試してはボツにしていたという。そうした積み重ねの下に KDB が誇る "精細に作り込まれたヴィジュアル" があるわけだ
フェティシズム溢れるメカモデリング
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クレーンで吊られた多角形型ステージの俯瞰ショットは、見せ場のひとつ。それゆえにクレーンをはじめとする各モデルはかなり緻密に作り込まれた。影やラインなど素材を分けてレンダリング行なっているので、キャラクター同様にコンポジット時に細かな調整が行える仕様となっている。キャラクターほど前面に出ない背景モデルであってもかなり細密に作り込まれており、松井氏らモデラーたちの熱い想いが伝わってくる。なおデータ容量は、クレーンモデル単体が約24MB、俯瞰ショットの 3ds Max シーンファイルは約105MBとのこと
Pencil+ による表情豊かなアニメ調輪郭線
全てのパーツに同じ設定でラインを入れてしまうと、パイプやケーブルなど細いモデルはラインで塗り潰されてしまう。そこでパーツを大まかに分類し、それぞれにブラシのサイズなどを調整したラインセットを割り当てることで、バランスの良い線量に仕上げている。画像はクレーンモデルのフック部分に割り当てた3種類のラインセット。ブラシサイズとエッヂのチェック項目に違いが確認できる
プラグイン「RailClone」の活用
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貨物列車が走る線路や工場のパイプ、手摺りなどは、スペイン iToo Software 社が開発したプラグイン 「RailClone」 を利用。このプラグインは任意のジオメトリ素材に対して、パラメトリックモデリングが行えるため、モデリングや配置修正の手間を最小限に止めることができたそうだ
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「この背景シーンでは、緑色のオブジェクトに RailClone を利用しています。スプラインでの調整できるのでレイアウトの調整を楽に行えましたよ」(宮城氏)
自社開発プラグインの活用
建物のモデリングでは、キャットウォークやトラス等のディテールを大量にモデリングする必要があった本作。そこで、「khCircleSpline」 と 「khGuideSpline」 という2種類のプラグインが新たに自社開発された。先述の RailClone と併用することで、複雑かつ高精細なモデリングを短期間で仕上げることができそうだ。
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新開発されたインハウス・プラグイン「khGuideSpline」の使用例(※画像をクリックして拡大)。利用方法は、まずベースとなるスプラインに対してプリミティブの段階でマテリアル ID を設定しておく
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各パーツごとに分けられたスプラインには、予め用意しておいた RailClone によるパラメトリックモデルが割り当てられている
その上に、別途自社開発した 「khDelByMat モディファイヤ」 を適用。これにより、ID ごとにモデルの表示/非表示が選択可能になる。なお、この手法は上述した RailClone の作例にも用いられており、レールや壁面、架線柱などをスプラインの長さを変えるだけで調整できるようにされた
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同様のコンセプトに基づく自社開発プラグイン「khCircleSpline」の使用例。ドーナツ状のスプラインを利用することで間に隙間を生成することができる。「今回新たにこれら2つのプラグインを開発してもらえたことで、最終的なカメラビューを見ながら、見た目のレイアウト優先で、全体サイズや手すりのバリエーション、鉄骨のサイズなどの変更を即座に行うことができました」(宮城氏)
KDB クオリティを象徴する BG 制作例
背景素材は 2D の美術背景や 3DCG モデルなどが混在している。そして、1つの背景としてまとめる上ではカメラマップ、レンダリングされた 3DCG 素材に対して特効的に 2D のタッチを加えるなどといった、各カットの特性に合わせて様々な手法を使い分けている。このアプローチにより、作画とデジタル双方の良い面を引き出し、独特のルックに仕上げているわけだ。
左上から右下へと降順で、<1> 2D の遠景、<2> カメラマップした煙突、<3> 3DCG の中景モデル(セルシェーダを適用)、<4> 壁面(その1)。3ds Max の標準マテリアルを割り当てただけの状態、<5> <4>に対して、撮影処理で色と質感を足したもの、<6> 壁面(その2)。セルシェーダを適用、<7> <6>に対して、撮影処理を施したもの、<8> カメラマップした電線、<9> 列車モデルのテクスチャ素材(UV展開したもの)、<10> キャラクターモデル(メー)
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<1>〜<10> 全ての素材を組み合わせた完成形
3DCG から手描きまで駆使したコンポジットワーク
最後はコンポジットワークだ。ヴァーチャルアイドルと重厚な工業地帯という一見ミスマッチな両者は、本来色彩においても異なるものだが、コンポジットによるライティングやフィルタ処理などを駆使して、双方の魅力を高めつつも上手く馴染ませることに成功している。
「今回は手描きで描いたフレア素材やドライアイスの煙を HDSLR(HD対応のデジタル一眼レフカメラ)ムービー で収録した実写素材を使用するなど新たな試みを行っています。冒頭に登場する架線柱の照明には、3D 素材の動きに合わせるために、米 Boomer Labs が開発した MAX2AE というプラグインを使用しました。MAX2AE を使えば、3ds Max のカメラやライトなどの位置情報を After Effects に持ち込むことができるので、3DCG カメラの動きに合わせてフレア素材などを簡単に配置することが可能になり、より効率的に作業が行えました」(福澤 瞳コンポジットディレクター)。
デジタルやアナログなどに捉われず、ありとあらゆる手法や技法を柔軟に使い分けることで、よりイメージに近い映像を制作し昇華させたい、という想いが伝わってくる。
「少数精鋭で挑んだプロジェクトということもあり、スタッフ間の距離がとても近かったので、3DCG や撮影といった垣根もなくスタッフ同士で意見を出し合いながら作業を進めることもできましたし、レスポンスも速いので素材などの差し替えや調整がスムーズに行えました。大人数が関わる様な普段の作品ではなかなか味わえない経験が出来たのでとても良かったです」と、福澤氏が語るように、少人数かつ短期間で制作された本作ではあるが、そんな事は微塵も感じられないほどの仕上がりで、若手スタッフの意地と意気込が映像から垣間見える。
MAX2AE を用いた 3D コンポジット
本作では、プラグイン MAX2AE を使い、3ds Max のシーンデータからライトやカメラ等の各種位置情報を AE スクリプトとして書き出し、コンポジットに読み込んだ。例えば、冒頭に登場する貨物列車の上でメーウが歌う、このショットでは、スポットライトの表現を 3DCG と同様に奥行のある動きを再現することを可能にした。
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3ds Max で作成したBGシーンファイル。<上>カラー、<下>ワイヤーフレーム
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3ds Max 上でプラグイン「MAX2AE」起ち上げ、カメラとライトの位置情報を AE 用のスクリプトとして書き出す
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書き出されたスクリプトを AE に読み込むと、新たなコンポにカメラとライトが生成される。そのライトに対して Trapcode Lux を適用
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一連のコンポジットワーク施した完成形。日本の制作現場ではアニメ、実写を問わず AE がコンポジット作業のデファクト・スタンダードとなっており、そうした意味でも KDB が今回導入したワークフローは興味深い。なお、間もなくダウンロード開始予定の Subscription Advanced Package にて、3ds Max 2012 がAfter Effects と連携可能になるそうなので要注目だ
3DCG だけではなく、手描きなどの2D素材も幅広く活用することで独創的なヴィジュアルを生み出す KDB、本作のフォグ素材にはドライアイスの煙の実写素材も利用している。HDSLR の草分け的な存在である Canon EOS 5D Mark Ⅱ を使い、自社で素材撮りから行われた
光を手で描く
本作のコンポジットワークでは、作画アニメ的なアプローチも用いられた。フレアなどはプラグインや 3DCG、実写の素材に頼るだけでなく、手描きのフレア素材も多様。Photoshop で描いた素材を重ね合わせることによって、プラグインで生成されるフレアとは一味違った雰囲気を作り出している。
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Photoshopで描いた元素材
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線幅や濃淡様々な元素材をAE上で合成して、ひとまとまりの光に見えるように調整する。フレアの筋素材(左)、サーチライト素材(右)
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フレアについては筋素材とは別に、周辺に光が拡散したニュアンス用の素材を作成
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一連の手描き素材をレイヤーモード[加算]や[カラー]等で合成し、調整を施した完成カット
マスクアニメーションによる光の誇張演出
本作では曲の盛り上がりに合わせて、終盤には遊び心あふれる光の演出も登場する。ステージ上のレンズフレアはリアルなフレアを再現するのではなく可愛さをアピールする演出技法のひとつとして捉えているので、リアルな表現を得意とするプラグインを使いつつもアニメ的な表現に落とし込まれた。
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<1>Trapcode Particular を使い、レンズフレア用のマスクを降らせる
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<2>円状から星型に変形するアニメーション素材を作成
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<3><1>の素材をマスクとして LensCare の [OutOfFocus] を適用し、アイリスに<2>を割り当てる
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<4>完成形。なお LensCare の場合、Radius の値を大きくするとフレアが薄くなるという問題があるため、途中から OpticalFlares で作成したフレア素材とオーバーラップさせている
AE のレンダリングジョブを Backburner で処理する
今年に入り、KDB はハードウェアを増強。レンダーファームについては、HP Z200 SFF/CT Workstation で構築することによって、低価格で省電力・省スペースでありながら、高パフォーマンスを引き出すことに成功した。3DCG のメインツールに、3ds Max を採用していることもあり、レンダリングのジョブ管理は Backburner を用いているそうだが、AE のジョブもBackburner に投げられるよう社内のプログラマーが独自に作成したスクリプトを利用しているとのこと。
AE のレンダリングジョブを Backburner で処理するための自社開発スクリプト「khBack Burner」の UI 。レンダリング設定を行い実行すれば AE のレンダーキューが Backburner に送られレンダーサーバでレンダリングが開始される
Backburner のキュー管理用 UI 。TGA 連番を分散レンダリングしたものをチェック用 QuickTime ムービーとしてエンコードするといった設定も可能だという
TEXT_村上 浩( 夢幻PICTURES )
PHOTO_弘田 充
KDB メインスタッフ
左上から時計回りで、鈴木貴志氏(CG ディレクター)、松井祐亮氏(シェーディング チーフ)、福澤 瞳氏(コンポジット ディレクター)、宮城 健氏(3D 背景美術)以上、スタジオカラー デジタル部
最新 CD+DVD『pair*』好評発売中
ジャケットのデザインも KDB が手掛けている。同梱 DVD には『pair* Factory MIX』PV に加え、メイキング Ver.も収録されているので必見だ。
価格:1,800円
品番:KICM-3235
公式サイト「Star Child:メーウ」
希望者には メーウ限定プロモグッズもプレゼント!
「Suite で GO!」キャンペーン実施中!
現在(株)Too にて Autodesk Suite 製品の期間限定キャンペーンとして、定価から20%OFFのキャンペーンを実施中である(対象は、新規ライセンスの購入と単品製品からのアップグレード)。特に単品製品からのアップグレードは大きく値引きされているので、この機会に検討してみてはどうだろう。
キャンペーン期間 :2011年10月14日(金)まで(※メーウ限定プロモグッズは、無くなり次第終了となります)
Too「3DCG 製品キャンペーン情報」ページ
Autodesk 3ds Max Entertainment Creation Suite Premium 2012
定価:997,500円(スタンドアロンライセンス)
対応OS:Windows 7/同 Vista Business(SP2)/同 XP x64 Edition(SP2)/同 XP Professional(SP3)他 ※動作環境に関する詳細は こちら
問い合わせ先:Too デジタルメディアシステム部
TEL:03-5752-2855
e-mail:dms@too.co.jp
Too デジタルメディアシステム部