VoxelKei氏は11月24日(月)、3D Gaussian Splatting(3DGS)データをUnityおよびVRChat環境で利用可能な形式へ変換・最適化するUnityエディタ拡張「Spatialograph Maker beta」をBOOTHにて無料公開した。PLY形式の点群(ポイントクラウド)データをUnityに読み込み、VRChatでの利用を前提とした最適化処理などをエディタ上で行える。対応環境はWindowsのUnity 2022.3.22f1

「Spatialograph Maker beta」によるPLYファイルの処理モードは「Simple」「Landscape」「Voxelize」の3つが用意されている(「Window」「Figure」「Scenerium」は未実装)。

「Simple」モードは、104万スプラット以内の小規模なモデルに適したモード。読み込んだスプラットデータのデータサイズ削減や、不要なノイズ(浮遊物)をスレッショルドに従って一括除去したりといった微調整がエディタ上で直感的に行える。さらに、スキャン範囲の特定部分だけを切り出すクロップ機能や、逆に特定範囲を除外するインバート機能も搭載する。

▲Simpleモード

「Landscape」モードは、風景など100万スプラットを超えるデータに適したモードで、大量のスプラットを空間分割アルゴリズムを用いて複数のブロックに自動分割できる。これにより、UnityやVRChatの描画負荷を分散させ、巨大なフォトグラメトリー空間であっても実用的なフレームレートでの動作が見込めるようになる。VoxelKei氏による検証によると、1,500万スプラット級のデータ処理も確認されており、分割されたブロックにはVRChat用の距離カリング(LOD)スクリプトが自動的に付与されるオプションも用意されている。

▲Landscapeモード

「Voxelize」モードは、スキャンデータをあえてボクセル(立方体)の集合体として再構築するもの。フォトリアルな風景のスプラットから、瞬時にMinecraftのようなブロック調のデジタルアートにルックが変化する。生成方式は、物理演算が可能な「Static Mesh」と、描画負荷を極限まで抑えた「GPU Voxel」の2種類が選択できる。後者のGPU Voxelでは、専用のシェーダによって影の落ち方などもシミュレートされ、単なる低解像度化ではない、独特のビジュアルを備えた空間表現を生み出すことができる。

▲Voxelizeモード

■Spatialograph Maker beta(BOOTH)
https://voxelkei.booth.pm/items/7684707

■VRChatワールド「Spatialography」(VRChat)
https://vrchat.com/home/launch?worldId=wrld_0ab57861-abb2-4802-8783-4ae089ea268b

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