オートデスクは4月8日(水)、同社「Autodesk Media & Entertainment」YouTubeチャンネルにて動画『Character Deformation and Rigging Using Bifrost for EA SPORTS』を公開した。EA Sportsでプリンシパル・テクニカル・アーティストを務めるDarren Rudy氏が登壇し、AAAタイトル制作でのMayaプラグイン「Bifrost」を用いたプロシージャルリギングとデフォメーションのワークフローについて解説している。

EA Sportsのリグ基盤「Sapien Initiative」プロジェクト

EA Sportsが直面していた、複数ゲーム間でのデフォメーション共有、堅牢なワークフローを通じた反復作業の改善、および実行時のパフォーマンス維持という課題を解決するため、「Sapien Initiative」というプロジェクトが立ち上がった。異なる体型間でプロポーションを維持した共有可能なスケルトンを構築し、『EA SPORTS FC』や『Madden NFL』などのタイトルにおいて、高品質なキャラクターデフォメーションを効率的にオーサリング・共有する基盤となっているという。

Raycastを活用したジョイント配置

Sapienスケルトンの一貫性を活かし、特定のメッシュに対してBifrostを利用したRaycastによるセカンダリジョイントの配置が行われている。鎖骨と腕の間の中間点などから特定の方向へレイを飛ばすことで、どのような体型であっても僧帽筋などの正確な位置を特定できる。Bifrostの高速なインタラクティブ性により、角度や長さなどのパラメータ調整がリアルタイムに反映され、作業効率が飛躍的に向上したという。

ポーズの空間デフォメーションのグラフ構築

Bifrostの大きな活用ポイントとして、セカンダリジョイントの駆動、Pose Space Deformation(ポーズの空間デフォメーション)が挙げられている。処理は「Driver Graph」「Pose Graph」「Secondary Base Graph」の3層のグラフ構造に分かれている。ドライバの数値をわかりやすいポーズ割合に変換し、入力値としてサポートされているマトリックス(行列)を用いて各関節の変換を計算する仕組みである。これらをコンパウンド(Compound)として階層化し、リグのロジックとなるグラフを作成・整理することで、アーティストが直感的にデバッグやチューニングを行える環境を提供している。

MayaノードからBifrostへの移行と利点

初期は伝統的なMayaノードを用いてリグを構築していたが、保守性と拡張性に課題が生じたため、わずか2〜3週間でBifrostでのリグ再構築が行われた。EAの自社製エンジンFrostbite用のノードベースリギングツール「Rigamate」とBifrostは構造が似ており、数学的な互換性も高かったという。複雑なコードを記述するのではなく、ビジュアルスクリプトのコンパウンド化によってバグの特定や修正が容易になり、パフォーマンスもMayaノード時代から大幅に改善したとのことだ。

■Character Deformation and Rigging Using Bifrost for EA SPORTS(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=eFH53W7kPZs

Bifrostについて

Bifrost for Mayaはシミュレーション、スキャタリング、インスタンス化、リギングなど、様々なタスクに対応するプロシージャルなグラフベースの環境。USDアセットのインスタンス化などを可能にするBifrost-USDも統合され、ノードベースの柔軟性とプロシージャルを活かした高度なワークフローを提供する。

■Bifrost for Maya公式ページ
https://www.autodesk.com/jp/products/maya/bifrost

■Maya ヘルプ | Bifrost for Maya(Autodesk 公式ヘルプ)
https://help.autodesk.com/view/MAYAUL/2026/JPN/?guid=GUID-1223AA4F-1CD7-473C-87EA-C16C6B28F7FD

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