Houdini公式YouTubeは4月23日(木)、OFFF HIVE 2026イベントでのJakub Spaček氏の講演動画「Simulations & Proceduralism | Jakub Spaček | OFFF HIVE 2026」を公開した。粘性流体(Viscous Fluid)やリジッドボディといったシミュレーションにおいて、内部の挙動を直接制御するプロシージャルなアプローチや、暗号資産のブロックチェーンデータを用いた大規模なジェネレーティブアートの制作手法について解説している。

FLIPシミュレーションにおける発散と粘度の制御

Jakub氏はまず、パンの生地が膨らむような表現を実現するため、FLIPシミュレーションにおいてDivergence(発散)とViscosity(粘度)を連携させるアプローチを解説。単に流体を膨張させ続けると形状が崩壊してしまうため、ダイナミクスネットワークの内部でSOP Solverを用いて時間の経過と共に粘度を高め、流体を急速に固化させている。さらに、新しく膨らんだ表面部分のNormal情報を抽出し、古い流体と新しい流体の質感を分離しつつ自然にブレンドするシェーディング手法についても解説している。

For-Eachループを活用したプロシージャルな破片の量産

園芸用の木片が大量に爆発するCM映像の事例では、木片のプロシージャルな量産手法を紹介。ベースとなる木材の形状を細かく分割し、For-Eachループを用いて各破片にランダムなBendデフォーマや表面ノイズを適用している。さらに、処理負荷を軽減するため、ビューポート表示用には低解像度のボックス形状を用意し、パックプリミティブとしてリジッドボディシミュレーションに引き渡している。

この爆発シーンでは、ポストプロセスによるリタイムで映像を遅くするのではなく、シミュレーション内で直接スローモーションの挙動を実装している。リタイムで発生しがちな破片同士の物理的な交差を防ぐため、特定のフレームから徐々にDrag Force(空気抵抗)Drag Spin(回転抵抗)Gravity Force(重力)の数値を書き換えて物理挙動を減速させている。また、空中で破片が不自然にAuto-Sleep(静止)してしまう問題を回避するため、Signed Distance Field(SDF)から水平な地面との衝突判定のみを抽出し、地面に接した破片だけを正確にスリープ状態に移行させている。

PDGによるブロックチェーンデータの読み込みとアートへの変換

講演の後半では、ビットコインのブロックチェーン履歴を視覚化するプロジェクト「The Origins」の裏側を紹介。外部APIからスクレイピングした膨大なCSVデータを、PDG(Procedural Dependency Graph )を用いてHoudiniに読み込んでいる。各ブロックのハッシュ値をXYZ座標のオフセットとしてノイズの空間位置を決定したり、末尾の16進数の文字列を逆算して10色のカラーパレットを自動生成したりするなど、無機質な暗号資産のデータをジェネレーティブなビジュアル言語に変換する手法を解説している。

本プロジェクトでは、1万本を超える動画の生成を完全自動化するため、クラウドベースのパイプラインを構築。一般的なレンダーファームではPDGのタスクを自動でトリガーすることが難しいため、AWS(Amazon Web Services)上に独自のDeadline Cloud環境を構築したという。データベース上にスプレッドシートが登録されるとAWSのインスタンスが自動で起動し、HoudiniおよびRedshiftでのレンダリング、FFmpegによるMP4ファイルの生成、Amazon S3のバケットへの保存までを無人で行う。


■Simulations & Proceduralism | Jakub Spaček | OFFF HIVE 2026(YouTube)

https://www.youtube.com/watch?v=dNXjywRruBE

CGWORLD関連情報

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https://cgworld.jp/flashnews/01-202604-Houdini-dissolve.html