Houdini公式YouTubeは5月19日(火)、The Yard VFX・Fabien Novak氏によるFMX HIVE 2026イベントでの講演「The FX of Predator: Badlands | The Yard VFX | FMX HIVE 2026」を公開した。映画『プレデター:バッドランド』の制作において同スタジオが手がけたVFXワークフローを解説。広大な異星の環境ダイナミクスから、アンドロイドの身体を再構築する有機的なシミュレーション、そして80カット以上にわたる剣劇アクションシーンを短期間でさばくためのプロシージャルなアプローチに至るまで、高度なパイプライン構築の手法を紹介している。
マクロスケールの破壊から微細な流体までを統合する環境エフェクト
講演序盤では、プレデターの母星である「ヤウジャ・プライム」を舞台としたオーバーバイクの走行シーンにおけるエフェクトを解説。浅瀬を疾走するショットでは、土煙だけでなく、微細なミストや水滴のパーティクル、機体の濡れ具合を表現するウェットマップ、スラスターの陽炎(Heat Haze)、Vellumによるクロスシミュレーションといった複数のレイヤーを緻密に重ね合わせている。
マクロレンズによるクローズアップショットでは、砂利のリジッドボディ(RBD)シミュレーションに加え、轢かれる小さなクリーチャーの破壊表現や、粘性流体(Viscous FLIP)による血液シミュレーションを追加。これらをオーバーバイクのダイナミクスとシームレスに連動させ、説得力のある画づくりを行っている。
VellumとFLIPを組み合わせた有機的なサイボーグ修復シミュレーション
中盤では、下半身を欠損したアンドロイド・ティア(Tia)が自身を修理するシーンのブレイクダウンを紹介。メカニカルなクランプが皮膚を引き寄せる動作において、ゴムのような不自然なシワを防ぐために、Vellumを用いて皮膚の張力テンションを細かく調整している。
また、接合部に散布されるサージカルジェルの表現では、液体が過剰に垂れ流れないようFLIPの粘度(Viscosity)を厳密に制御。合成血液の流体や内部ケーブルのダイナミクスなど多岐にわたるセットアップは全てHoudini内で処理し、最終的にUSDフォーマットとして出力され、ライティング部門へと受け渡したという。
原点でのプロシージャル処理を徹底した短納期向けHDAの構築
講演の後半は、82カットの長尺剣劇アクションシーンをわずか数ヶ月で完成させた効率的なパイプラインについて紹介。Novak氏は、シミュレーションにかかる計算時間を極限まで削減するため、発光する刃先やテスラアークのような複雑な放電エフェクトを、極力プロシージャルなネットワークで完結させている。具体的には、アニメーションが適用されたキャラクター上で直接計算を行うのではなく、ワールドの原点に配置した静止状態の剣に対してエフェクトを生成し、最終段階でショットのアニメーションを再適用してVelocityを正しい空間に再計算する手法を採用した。
これらの仕組みはHDA(Houdini Digital Asset)化し、グローバルコントローラでキャラクターやフレームレートを一括管理できるようにした。アーティストごとの品質のブレを防ぎ、クライアントからの修正指示に対してもHDAのバージョンアップのみで全ショットに変更を反映できるという、強固なワークフローが構築できている。
■The FX of Predator: Badlands | The Yard VFX | FMX HIVE 2026(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=_XHR7_SDIqE
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