オートデスクは 7月7日(火)、同社公式YouTubeチャンネル「Autodesk Media & Entertainment」で動画「Driving High-Fidelity Game Characters with 3ds Max for EA SPORTS’ F1」を公開した。Electronic Artsのテクニカルアーティスト・Shirzad Bahrami氏が登壇し、レースゲーム『EA SPORTS F1』シリーズにおけるキャラクター表現の品質向上に向けた、3ds MaxとMotionBuilderを用いた次世代リグへの移行プロセスや、膨大なアニメーションを処理する自動化パイプラインの構築手法について解説している。
レガシーリグの限界と次世代技術への刷新
Bahrami氏はまず、3ds MaxのBipedをベースとしたレガシーリグが抱える課題について説明。従来のリグは肘や膝を曲げた際に関節部分のみが変形し、上腕二頭筋や前腕の筋肉が連動するような二次的な変形を表現できなかった。この問題を解決するため、チームはEA社内で共有されているキャラクター技術「SAPIEN」への移行を決定。SAPIENはポーズベースのデフォメーションを採用しており、リアルタイムで動作する低い計算負荷を保ちながら、物理的に正確な関節配置と、曲げた際の体積保持を可能にする。
自動置換ツールによるプロポーション調整と効率化
新技術のスケルトンは従来よりも身長が約10cm高いため、何百ものアセットに対してメッシュのプロポーション調整が必要となった。さらに各キャラクターには複数のLODモデルが存在し、手作業での更新は非現実的。これに対応するため、チームは内製ツール「Sapienizer」を開発した。このツールは、複雑なノードが絡み合った古いBipedリグをワンクリックで削除し、スキン ラップを用いて新しいスケルトンの体格に合わせてメッシュを自動変形させる。なお、スキニングのウェイトペイントはMaya上で行われ、専用スクリプトを介して3ds Maxへと転送している。
体格差に起因するインタラクションのズレと設定の分離
キャラクターの身長が変化したことで、既存の数千に及ぶアニメーションファイルにも大きな影響が生じた。ドライバーがコックピットから降りる動作などにおいて、10cm高いキャラクターをそのまま適用すると、手すりに手が届かない、あるいは姿勢が不自然に歪むといった問題が発生したのだ。このインタラクションのズレを吸収するため、チームはキャラクターの視覚的なジオメトリ情報を保持するTemplateと、IKの挙動やオフセットなどのアニメーション固有のルールを定義するSettingsを分離し、MotionBuilder上で柔軟に管理・適用するアプローチを採用した。
専用マシンを活用した自動バッチ処理とロギング
膨大な数のアニメーションに対し、アニメーターのローカル環境で直接リターゲティングを実行すると作業が完全に停止してしまう。そこで「Bulk Retargeter」というツールを導入し、アニメーターはMotionBuilder上でTemplateとSettingsのコンフィグを保存するだけのワークフローを構築。実際の変換処理は、潤沢なメモリを持つ専用のサービスマシン上でバッチ処理としてバックグラウンド実行される。
パイプライン構築におけるPythonとMaxScriptの適材適所
終盤のQ&Aセッションでは、DCCツールにおけるスクリプト言語の使い分けについて言及。何百ものノードを高速にリネームするといった3ds Max特有の軽微な処理においては、現在でもMAXScriptが極めて強力かつ高速であると回答している。一方で、高度な計算を伴うコアライブラリの開発や、MayaやBlenderなど他のツールからも呼び出せるラッパーを構築する際には、構文が整理されており拡張モジュールが豊富なPythonの優位性が高いとし、タスクに応じた適材適所の運用を推奨していた。
■Driving High-Fidelity Game Characters with 3ds Max for EA SPORTS’ F1(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=NJYjodhYR2A
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