FramestoreのFX TD・Daniel Albarracín氏は9月1日(火)、自身のYouTubeでHoudiniを用いた建物再構築エフェクトのチュートリアル動画「Procedural Building Reconstruction FX | Houdini Tutorial」を公開した。TVドラマ『ワンダヴィジョン』(ディズニープラス)におけるILMのVFXから着想を得た、テトリスのブロックのように直角に切り出された建物の破片が、ジオメトリックな形状のまま空間に構築されるアニメーションの制作手法を解説している。

面積と体積に基づくジオメトリックな分割

最初のステップとして、建物の各パーツを面積と体積のアトリビュートを用いて選別するアプローチを解説。屋根瓦や窓枠などの極端に小さなパーツを除外したのち、面積に応じて分割レベルを制御している。また、大きな壁面などはより細かく分割し、小さなパーツは分割数を減らすことで、処理負荷を抑えながらも自然なディテールを実現。さらに、分割用の平面を押し出してカッターとなる立体を作成し、BooleanノードのShatter機能を用いることで、全破片を直角が特徴的なジオメトリック形状へと正確に分割している。

ポイントクラウドとソルバを活用したアトリビュートの伝播

続いて、各破片がどのタイミングで移動や拡縮、回転を開始するかを制御するため、ポイントクラウドを用いてアトリビュートを伝播(Propagation)する方法を紹介。建物をポイントクラウド化し、特定の開始ポイントにMaskアトリビュートを与えた後、Solverノード内で時間経過と共にその値が広がるように設計している。この際、pcopenおよびpcfilter関数を用いて周囲のポイントを検索し、隣接するポイントのマスク値をフィルタリングして加算していく仕組みを構築。さらに、空間にNoiseアトリビュートを付与することで、伝播速度に局所的な遅延や加速のバリエーションを持たせている。

移動距離に応じた回転量と外積による回転軸の計算

次に、パックプリミティブに対するTransformの前準備として、各破片の初期位置と回転量の計算方法を解説。破片が単にその場で拡大するだけでなく、ランダムな初期位置から本来の位置へと移動する動きを持たせるため、本来の座標にノイズを加算して任意の初期位置を生成する。さらに、移動距離の長さに応じて回転量を増減させる仕組みを導入し、本来の位置から遠く離れた場所から飛んでくる破片ほど大きく回転するように設定。回転の軸は、上方向ベクトルと移動方向のベクトル同士の外積を計算して求めている。

行列を用いた高度なTransformの適用

終盤では、VEXを用いて伝播のマスクアトリビュートを読み込み、実際の変形を適用する工程を解説。破片の移動は、補間を用いて任意の初期位置と最終位置をマスク値の増加に応じてブレンドしている。一方、拡大縮小と回転については単位行列を作成し、そこに計算したスケール値と回転角度を格納する手法を採用。最終的に、setprimintrinsic関数を呼び出してパックプリミティブのTransform Intrinsicを直接書き換えることで、スケールが0から1へと成長しながら所定の角度から回転が収束していくアニメーションが完成する。

■Procedural Building Reconstruction FX | Houdini Tutorial(YouTube)

https://www.youtube.com/watch?v=eCdNxVA8szE

CGWORLD関連情報

●SideFX、Houdiniユーザーグループの講演動画公開 SideFX Labsのアップデート情報、Copernicus、MLモデルの活用など

Houdini公式YouTubeが動画「Summertime HUG」を公開。本動画では4名のプレゼンターが登壇し、SideFX Labsの最新アップデートをはじめ、SDFを活用したモデリングから群衆制御に至るキャラクターワークフロー、刷新された画像処理フレームワークCopernicusによるプロシージャルなパターン生成、そしてMLモデルを直接読み込んで実行するライブリライティングなど、Houdini 22の新機能を中心とした技術情報を解説している。
https://cgworld.jp/flashnews/01-202609-Houdini-HUG.html

●SideFX、4DGSワークフロー解説動画公開 HoudiniからUnreal Engineへの技術パイプライン、Karim Rehimi氏による解説

Houdini公式YouTubeが動画「4D Gaussian Splats | Karim Rehimi | HEX」を公開。エフェクト・エンバイロメントアーティストのKarim Rehimi氏をゲストに迎え、HoudiniからUnreal Engineに4DGS(4D Gaussian Splatting)データを移行するための高度なパイプライン構築と技術的課題について解説している。
https://cgworld.jp/flashnews/01-202609-Houdini-4DGS.html

●SideFX、SolarisのUSDワークフロー解説動画公開 FMX HIVE 2026でのMilk VFXによる講演

Houdini公式YouTubeが、Milk VFXによるFMX HIVE 2026イベントでの講演動画「Designing Solaris USD Workflows for Cross-Department VFX | Milk VFX | FMX HIVE 2026」を公開。従来のパイプラインからUSD(Universal Scene Description)を用いた非破壊的かつ並行作業可能なワークフローへの移行をテーマに、HoudiniのSolaris環境とShotGrid(現Flow Production Tracking)を連携させたアセット管理、および大規模なクリーチャーや環境構築における実務的な最適化手法について解説している。
https://cgworld.jp/flashnews/01-202608-Houdini-SolarisUSD.html