ユニティ・テクノロジーズ・ジャパンは、8月5日(水)に開催されたオンラインカンファレンス「Unity 産業DXカンファレンス PLUS 2026」のセッション動画24本を、Unity Japan公式YouTubeで公開した。本稿では、公開されたセッションのうち、基調講演とAIエージェントの拡張実装、マツダの車載HMI、ソニーXYNの空間キャプチャ技術についての4講演を解説する。

アイデアを現実にUnityで加速させる産業現場におけるDX

ユニティの松原達也氏による基調講演では、製造業や医療などの産業現場における3Dデータ活用が実用フェーズへ移行している現状を解説。CADデータのアセット化による業務効率化を軸に、「Adapt(適応)、Bridge(連携)、Create(創造)、Deploy(展開)」という4ステップのエコシステム構築を提唱した。

特に、設計工程で用いられるCADデータを変換し、Asset Managerを介してクラウドで共有することで、営業や保守など後工程のアプリケーションへ展開できる利点を強調。CADデータをUnityプラットフォームに適用させる際、自動・半自動で最適化し汎用フォーマットに変換する工程や、変換後のデータをプライベート環境を含めたクラウドで共有する手法、そして共有されたデータを用いた3Dアプリケーションの作成工程を示している。

アプリケーション作成については、VRやデジタルツイン、HMIなどの高度な開発を担う中核エディタ「Unity Industry」と、Webブラウザ上でビジュアルスクリプティングを活用し、ローコード・ノーコードで3Dプレゼンテーションなどを構築できる「Unity Studio」の2つのアプローチを紹介した。

■【基調講演】アイデアを現実にUnityで加速させる産業現場におけるDX(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=9789FfHRPzw

AI Agentの仕組みを理解する

ユニティの冷 明川氏による講演では、「Unity in-editor AI Assistant」の根幹であるAI Agentの仕組みを技術解説。大規模言語モデル自体は文章の予測しか行えないが、AI Agentはシステムを通じたツールの呼び出し機能により、アセット生成やコード編集などのマルチステップタスクを実行可能にしている。

拡張手法としては、独自のスクリプト(Tool)やマークダウン形式のテキストファイル(Skill)を追加し、エージェントに新たな振る舞いを定義する。Skill設定ファイルにおいてMarkdownのフロントマターを活用する手法や、静的ユーティリティ関数をエージェントに認識させるためのC#コードの書き方、引数にインスタンスIDを用いるシリアライズの要件など、開発環境のAIをカスタマイズするための具体的な実装方法も提示している。

■AI Agentの仕組みを理解する(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=T2DI10992vk

マツダ 新型CX-5におけるUnityを用いた車載HMI開発の軌跡

マツダの君嶋良太氏と長谷部直起氏による新型CX-5へのUnity搭載事例は、国内メーカー初の量産車への採用プロセスである。ゲーム開発と車載アプリ開発の決定的なちがいとして、SOCの限られたリソース内で、ナビゲーションや安全機能などの複数機能と共存させる厳密な全体最適化が不可欠な点を指摘した。

車載特有の課題として、長時間の連続稼働に伴う小規模なメモリリークが重大な不具合に直結する懸念を挙げた。その対策としては、起動時のアセットロード制限によるメモリ抑制、重複アセットやフォントアトラスの削減、シェーダバリアントのストリッピング、非同期アップロードによる初期化負荷の低減、動的生成リソースの明示的な破棄、マテリアルインスタンスの適切なライフサイクル管理など、描画負荷とメモリ消費を抑える最適化手法を具体的に示している。

■マツダ 新型CX-5におけるUnityを用いた車載HMI開発の軌跡(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=V1ZBiNlu2yg

ソニーによるXYN 空間キャプチャソリューションを活用した産業ビジュアライゼーション

ソニーの塩月拓馬氏は、空間キャプチャソリューション「XYN」の産業応用事例を紹介。XYNは、フォトグラメトリと3DGS(3D Gaussian Splatting)の利点を組み合わせ、透明な被写体や金属の反射、微細なケーブル構造など、従来の手法では3D化が困難だった物体の高精細なキャプチャを可能にしている。

講演では、スマートフォンアプリのARナビゲーションを利用して撮影ポイントを指示し、クラウドで自動的に3D再構成を行うワークフローを紹介。また、Asset Managerとの連携により、生成された3Dデータをクラウド上で最適化し、Unity Studioや空間再現ディスプレイなど、他のプラットフォームへ展開するパイプライン構想も説明していた。

■ソニーによるXYN 空間キャプチャソリューションを活用した産業ビジュアライゼーション(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=zF54alvKH6A

Unity 産業DXカンファレンス PLUS 2026について

ユニティ・テクノロジーズ・ジャパンが主催する産業分野に特化したオンラインカンファレンス。リアルタイム3D技術が切り拓く産業DXの最前線をテーマとし、製造、建設、医療など多様な業界を対象に、デジタルツインや組み込みシステムの開発プロセスなどを同社スペシャリストやUnityユーザー企業が講演した。

■Unity 産業DXカンファレンス PLUS:2026 公式サイト
https://event.unity3d.jp/sangyodx-plus26

CGWORLD関連情報

●Unity、Unite Seoulのキーノート講演「The road to Unity 7」のハイライト動画を公開 ロードマップから最新エンジンの機能群紹介、UEとの同期まで

Unity Technologiesが動画「The road to Unity 7 | Unite Seoul Keynote Engine highlights」を公開。次期メジャーアップデート「Unity 7」に向けた技術的なロードマップや、次世代のライティング機能、ニューラルネットワークを用いたリソース圧縮技術、エディタを介さない新たなWebベースのアセット修正手法など、最新エンジンのハイライトを16分の動画にまとめている。
https://cgworld.jp/flashnews/01-202609-Unity7-Unite.html

●「Unity AI」オープンベータ開始 エディターに統合されたAIアシスタント、AIモデルをUnityに接続するAIゲートウェイ、MCPサーバから構成

Unity Technologiesが、Unity 6以降を対象としたゲーム開発を支援するAI機能群「Unity AI」のオープンベータ版をリリース。エディターに統合されたエージェント機能を中心に、サードパーティ製のAIツールを接続できる拡張機構、外部の開発環境からエディタを直接制御する機能などを備える。Unity Pro以上の上位ライセンス契約者は追加費用なく既存のシート内で利用可能で、Personal版ユーザーにも14日間の無料トライアルが用意される。
https://cgworld.jp/flashnews/01-202605-UnityAI.html

●Unity上で動作する照明制御システム「Art-Net DMX Lighting for Unity」リリース オープンソース、商用利用可

Oshino氏が、Unity上で動作する照明制御システム「Art-Net DMX Lighting for Unity」をGitHubで公開。本システムは、実際の舞台照明などで用いられる標準的な通信規格のDMX信号を、ネットワーク経由で送受信するプロトコルのArt-Netを介してUnityで受信し、バーチャル空間内の照明をリアルタイムに制御できるオープンソースのプロジェクト。ソースコードおよびUnityアセットは商用利用も含めて自由に使用・改変ができるMITライセンスで提供されている。
https://cgworld.jp/flashnews/01-202603-Art-NetDMX.html