NVIDIA社は10月21日(水)、ロボティクスやAI工場のデジタルツイン構築に利用できる3Dアセットライブラリ「SimReady Central」をHugging Face上で公開した。2,000点以上のOpenUSD形式のアセットを収録し、ロボットアームやグリッパー、倉庫設備、サーバーラック、冷却設備などを提供する。物理シミュレーションに必要な属性が設定済みで、対応するアセットを組み合わせることで、ロボットの学習・評価環境や工場のシミュレーション環境を効率的に構築できる。無料で利用でき、アセットの検索やAIエージェントによるシーン構築にも対応する。

仕様を標準化したシミュレーション向けOpenUSDアセット

▲SimReady Foundationの構成図。OpenUSDベースのアセット仕様や検証ルール、実行環境でのテストに加え、検証・評価・サムネイル生成・パッケージ化・検索用の開発ライブラリを提供する

SimReadyアセットは、形状やマテリアルに加え、質量、摩擦係数、コリジョン形状など、物理シミュレーションに必要な属性を設定したOpenUSDアセット。ロボットなどの可動機構ではジョイント構造や可動範囲、物体認識や合成データ生成ではセマンティックラベル、センサーシミュレーションではマテリアルやセンサー関連の属性なども扱う。

これらの仕様は、オープンソースの「SimReady Foundation」によって定義。用途ごとに必要な機能をまとめたプロファイルが用意され、アセットの構造や物理属性が要求仕様を満たすか検証できる。これにより、異なるメーカーのアセットを組み合わせる際の調整作業を削減し、NVIDIA Isaac Simなどのシミュレーション環境で再利用しやすくする。

主要メーカーのアセットを集約しCADからの変換・検証・公開フローも提供

  • ▲Vertivの産業設備アセット
  • ▲Palatialの生活用品アセット
  • ▲LGの家電アセット
  • ▲ForgeCADの可動アセット

ライブラリには、Comau、FANUC、Franka Robotics、Robotiq、Universal Robotsなどのロボット関連メーカーのアセットを収録。AI工場向けにはVertivのサーバーラックや冷却設備、家庭用ロボットの開発向けにはLGの家電製品なども含まれる。また、Palatialによる「NVIDIA Robotics 1K Dataset」や、ForgeCADによるテクスチャ付きの可動アセットも提供する。

メーカーは、既存のCADモデルをOpenUSDに変換し、SimReady Foundationのプロファイルに沿って属性の検証を行った後、Hugging Faceのデータセットとして公開できる。提出にはGitHub上の「SimReady Central submission skill」を利用でき、アセットの検証、パッケージ化、アップロード、Pull Requestの作成を支援。アセットの所有権やバージョン、ライセンスは各メーカーが管理し、NVIDIAの審査を経てライブラリに登録される。

USD Searchによる自然言語検索

アセット検索にはNVIDIAの「USD Search」を採用。ファイル名だけでなく、OpenUSDの属性やシミュレーション用メタデータを対象に自然言語で検索でき、用途に適したアセットの発見を支援する。Hugging Face側の検索機能にもUSD Searchが統合され、AIエージェントによるアセット検索にも対応している。

ライセンスは3Dアセットごとに異なり商用利用可能なCC BY 4.0も採用

SimReady Central Libraryの3Dアセットは、各提供元が所有権とライセンスを管理する方式で公開され、ライブラリ全体に共通のライセンスが適用されるわけではない点に注意が必要となる。

NVIDIAが提供する「SimReady Assets」データセットにはCC BY 4.0が適用され、適切なクレジット表記などを条件に、商用利用、改変、再配布が認められる。一方、他のメーカーが提供するアセットには、非商用限定を含む異なるライセンスが適用される可能性がある。

■NVIDIA SimReady Assets(Hugging Face)
https://huggingface.co/datasets/nvidia/simready-assets

■SimReady Central Library — Omniverse SimReady(公式ドキュメント)
https://docs.omniverse.nvidia.com/simready/latest/simready-central.html

■Announcing SimReady Central: An Open Library of Simulation-Ready 3D Assets for Robotics and AI Factories(Hugging Faceブログ)
https://huggingface.co/blog/nvidia/simready-central-assets-robotics-ai-factories

CGWORLD関連情報

●UnityとNVIDIA、産業向けOpenUSDワークフローツール「Unity USD Toolkit」リリース OpenUSDの入出力やIsaac Simとの双方向同期に対応

Unity TechnologiesとNVIDIAが産業向けOpenUSDワークフローツール「Unity USD Toolkit」をGitHubで公開。製造業、ロボティクス、シミュレーション分野を対象に、UnityとIsaac Simなどのアプリケーション間でUSD形式の3Dシーンをやり取りできる。実行中のUnityアプリケーションからのUSD入出力に加え、Omniverse Kitを使用してIsaac Simとオブジェクトの位置・回転などを双方向同期する試作拡張機能を含む。また、10月14日(水)付の0.8.0-exp.1では、MaterialX対応の拡充、USDの構成情報を保持するエクスポート、テクスチャのストリーミング処理などの機能も追加されている。ソースコードは公開されているが、ライセンスにはUnity製品との併用を条件とする制限がある。
https://cgworld.jp/flashnews/01-202610-USDToolkit.html

●NVIDIA鈴木剛夫氏ら、OpenUSD向けリファレンスレンダラ「Typhoon」をGitHubで公開

NVIDIAのエンジニア・鈴木剛夫(Masuo Suzuki)氏とAnders Langlands氏が、OpenUSDにおけるレンダリング結果の一貫性と相互運用性を担保するための参照レンダラ「Typhoon」をGitHub上で一般公開。OpenUSDのHydraフレームワーク向けプラグイン「hdEmbree」の拡張として実装され、Linux、macOS、Windowsでのビルドに対応。様々なレンダラやDCCツール間におけるシェーディングやライティングの忠実な再現性を検証する環境を提供することにより、業界全体のパイプライン効率化を目指す。
https://cgworld.jp/flashnews/01-202609-Typhoon.html

●デジタル・フロンティア、「USDをワークフローに取り込んでみてわかったこと」note公開 USDのデータ構造からワークフロー上の課題までを当事者視点で解説

デジタル・フロンティアが公式note「DF TALK」にて、3DCGの制作フローにおけるUSD(Universal Scene Description)の検証記事「USDをワークフローに取り込んでみてわかったこと」を公開。近年VFXやゲーム業界で普及が進むオープンソースの3Dシーン記述フォーマットUSDについて、その核となるレイヤー構造の仕組みと、実際の制作パイプラインへ組み込んだ際のメリットおよび課題を実務的な視点から解説している。
https://cgworld.jp/flashnews/01-202606-DF-USD.html