NVIDIA「Omniverse USD Composer」リリース！　USDアプリケーション「Omniverse Create」がジェネレーティブAI関連ツールへのアクセスを追加して新生

NVIDIAは、メタバースアプリケーション開発・運用を行うプラットフォーム「NVIDIA Omniverse」のアプリケーション「Omniverse USD Composer」をリリースした。

NVIDIA Omniverseは、Pixarが策定した汎用ファイルフォーマットUSD（Universal Scene Description）をハブにすることで複雑な3DCGコンテンツ制作ワークフローを一元化し、NVIDIA RTXテクノロジを活かした高速かつ精細なリアルタイムレンダリングを行うプラットフォーム。

今回リリースされた「Omniverse USD Composer」は、これまで「Omniverse Create」と呼ばれていた、3Dシーンのリアルタイム合成やライティング、シミュレーション、レンダリングまで行える、Omniverse内部のUSDアプリケーション。ジェネレーティブAI関連ツールへのアクセスを追加するなど大幅に機能強化されたことから、名称を新たにリリースした。

AI Toyboxツール群による機能拡張

「AI Toybox」は、ジェネレーティブAIを活用することで作業を簡素化できるテクノロジが詰まったOmniverseの機能拡張ツール群。「AI Animal Explorer Extension」、「GANverse3D Extension」、「Inference API Extensions（推論API拡張）」、「Machine Learning Library Extensions（機械学習ライブラリ拡張）」という4つの機能拡張で構成されているが、ここでは前者ふたつの機能を簡単に紹介する。

AI Animal Explorer Extension

「AI Animal Explorer Extension」は、ジェネレーティブAIを活用した、独自の“動物”モデリングツール。プリセットを組み合わせてモデリングするのではなく、ユーザーが動物の身体の各形状を指示して、それらの配置を直接制御できる。AIは指示内容に沿って各パーツをポイントクラウドの状態で組み上げ、最後にメッシュ化を行う。

CGWORLDアドバイザリーボードのコロッサス澤田友明氏は、「2DのAIイメージジェネレータの3D版のような位置付けのツールです。ゲームや映画などのキャラクターデザインで、アイデアをリアルタイムで生成するのに役立ちそうです」とコメント。

GANverse3D Extension

「GANverse3D Extension」は、1枚の車の写真から3Dモデルを生成してくれるだけでなく、AIで複数のバリエーションのつくったり、試運転ができたりが可能なOmniverse内の拡張機能。

「いわゆるモブキャラをAIがつくってくれるというツールですね。これも将来に期待が持てる機能です。まだ車だけですが、この先様々なオブジェクトを学習させていけば、モブの制作作業は楽になるでしょう」（澤田氏）。

ペイントでイメージ生成を指示できるNVIDIA Canvas

ジェネレーティブAIの活用はOmniverseの外にも広がっている。独自のクリエイティブツールを提供するNVIDIA StudioファミリーのNVIDIA Canvas（ベータ版）は、AIを活用したランドスケープのイメージ生成ツール。

Canvasでは、従来のようなプロンプトによる言語指示ではなく、直感的なペイントによる指示によって風景のイメージをリアルタイムで生成できる。描画はRTX GPUに搭載されているTensorコア（ディープラーニングに特化した演算回路）により高速に処理される。

「マウスだけでなく、タッチスクリーンやペンタブでも使えるので、デザイナー向けと言えるでしょう。Canvasは風景だけですが、これが今後様々なジェネレーティブに応用されていけば、アーティストが排除されるAIではなく、アーティストの技量によって直感的にコントロールできるAIが生まれてくると期待しています」（澤田氏）。