Janga FXは7月22日(月)、同社シミュレーションツール製品の最新アップデート、「EmberGen 1.2」、「LiquiGen 0.3 Alpha」、「GeoGen 0.3 Beta」をリリースした。また、従来「JangaFX Suite」として提供されていたスイートパッケージは、上記3製品からなる「Elemental Suite」に変更され、新しいライセンスモデルとなっている。
そして同社は今回のアップデートと新スイートパッケージのリリースにあたり、Unreal Engine 5によるショートフィルム『Master of the Elements』を公開。火、煙、霧、水、溶岩、泥、山、崖などにEmberGen、GeoGen、LiquiGenを使用した約5分の作品である。
EmberGen 1.2の新機能
リアルタイム流体シミュレーションツールのEmberGen、バージョン1.2には移動可能なシミュレーションドメインが追加。インポートしたメッシュやバックプレートでシミュレーションを自由に動かすことができるようになった。そして、シミュレーションノードに追加された「Bounds Position」パラメータにより、アニメーションやモジュレーション、メッシュのペアレント化、ビューポートでのインタラクションが可能となっている。
また、タイムラインにギズモ/パラメータ変更のライブレコーディング機能が追加。ビューポート上でオブジェクトをドラッグすると、その動きをタイムラインに記録できる。
購入可能となったLiquiGen 0.3 Alpha
リアルタイム液体シミュレーションツールのLiquiGenは今回のバージョン0.3 Alphaでシミュレーション・レンダリング・UI/UXと全体的に多数の変更が施され、製品自体の購入も可能となった。
LiquiGenはシミュレーションソルバを全面的に見直したことにより、表面張力やホワイトウォーター(Whitewaterノードの追加)、パーティクルの寿命の追加、Forceノードの変更と追加、新しいラスラタイズレンダラの搭載、APICからPIC/FLIPソルバへの移行など、変更は多岐にわたる。
GeoGen 0.3 Beta
地形作成ツール GeoGen 0.3 Betaにも新機能が追加され、多数のバグフィックスと最適化が実施された。新機能となるサブグラフのサポートでは、ノードをサブグラフに変換することで再利用可能なノードを作成したり、グラフの整理が行える。
また、Rockノード、Noiseノード、Fractalノードに対する新しいオプションが追加され、ハイトマップやマスク、ワーピングがスプラインをサポート。さらに、プレビューレンダリングと最終レンダリングにAO(アンビエントオクルージョン)も追加され、解像度の調整も可能となった。
なお、EmberGenとGeoGenについてはこちらの動画でも新機能デモが公開されている。
スイートElemental Suiteと新ライセンス
従来提供されていたスイートパッケージ「JangaFX Suite」は今回リリースされた3製品による「Elemental Suite」に変更、新しいライセンスモデルとなった。ライセンスは収益または資金調達額に応じて「Indie & Hobby」、「Studio」、「Enterprise」の3種と教育機関向け「Educational」の計4種が用意され、年払いの永久ライセンス(Permanent)、または月払いのレンタルライセンス(Rent to own)を選択可能。Rent to ownは18カ月連続で支払いをした場合、永久ライセンスになる。
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2021年6月放送のTVアニメ『ゴジラ S.P<シンギュラポイント>』VFXメイキング記事。汎用素材の作成にEmberGenを活用している。
https://cgworld.jp/feature/202106-godzillasp.html