WebGLの標準フォーマットglTFを開発するThe Khronos Group社は12月2日(月)、Webブラウザ上でglTFファイルの閲覧とバリデーション(評価)が行えるオープンソースのJavaScriptビューア「glTF Sample Viewer 1.1」をリリースし、パッケージをnpmで、ソースをGitHubで公開した。

glTF Sample Viewer 1.1はglTF 2.0のデータをブラウザ内で直接レンダリングできるだけでなく、整理されたUIを通じて表示モデルの切り替えやライティング・トーンマップ・背景など表示要素の変更、glTF-Validatorによるデータのバリデーション(評価)、アニメーションの再生、キャプチャ画像のダウンロード、デバッグなどが行えるツール。レンダラはWebページ内に容易に埋め込み可能なうえ、モバイルデバイスでの動作も強化されている。

画像フォーマットとしてはPNGとJPEGに加えてWebP形式をサポートし、ビューア上でWebPを適用したglTFモデルのテストやビジュアル品質比較も行えるようになった。ただし、各種画像はGPUメモリの消費が大きいため、パフォーマンスへの影響に留意すべきとのこと。

一方で、プラットフォームに依存しない圧縮テクスチャのサポートを提供する「KHR_texture_basisu」拡張が用意され、KHR_texture_basisuを用いたテクスチャはGPU上で圧縮されたまま運用できることから、上記画像フォーマットと比較してGPUメモリ・消費電力が大幅に削減され、パフォーマンスが向上するという。

アニメーション機能の強化

glTF Sample Viewer 1.1では「KHR_animation_pointer」拡張が追加され、glTFシーン内のアニメーション機能が大幅に強化された。従来は位置・回転・スケールのアニメーションのみに対応していたところ、本バージョンでは発光色、ライトの強度、カメラのFoV、エクステンションの任意のプロパティのアニメーション化などにも対応できるようになった。

glTF Validatorの統合によりビューア内でアセットの評価が可能に

制作したglTFアセットが視覚的に正しいだけでなく、構造的に正しいかどうかをビューア内で確認できるよう、glTF Validatorがビューアに統合された。

ViewerタブからValidatorにアクセスし、現在表示されているglTFに関連するエラーや警告、情報コメントを確認できる。

■glTF Sample Viewer 1.1 Released(Khronos Blog、英語)
https://www.khronos.org/blog/gltf-sample-viewer-1.1-released

■Khronos glTF Sample Renderer(npm)
https://www.npmjs.com/package/@khronosgroup/gltf-viewer

■glTF Sample Viewer Web App(GitHub)
https://github.com/KhronosGroup/glTF-Sample-Viewer

glTFについて

glTFフォーマットは、オープンソース・クロスプラットフォームのWeb上の3D表示(WebGL)における事実上の標準フォーマット。現行のglTF 2.0はISO/IEC規格(ISO/IEC 12113:2022)でもある。

https://www.khronos.org/files/gltf20-reference-guide.pdfより
glTFの紹介動画「What is glTF?」

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