オートデスク株式会社2月13日(木)、長編アニメーションやVFXプロダクション向けのモンテカルロレイトレーシングレンダラ「Arnold 7.3.7.0」をリリースした。ガラスオブジェクトのシャドウ品質が改善され、光沢マテリアルにおけるグローバルライトのサンプリングの改善、シーンIPR(Interactive Preview Render)更新の高速化などを実装している。

ガラスオブジェクトのシャドウ品質改善

Arnold 7.3.7.0ではガラスオブジェクトのシャドウがよりリアルに描画されるようになった。シャドウの外観はopenpbr_surfaceシェーダとstandard_surfaceシェーダに新搭載されたtransmission_shadow_densityパラメータで制御できる。

▲新搭載のtransmission_shadow_densityパラメータ値によりシャドウの描画を制御
▲コースティクスオフ
▲コースティクスオン

光沢マテリアルにおけるグローバルライトサンプリング(GLS)の改善

グローバルライトサンプリングはArnold 7.3.7.0でサンプリング時にマテリアルの光沢を考慮するよう変更された。これにより、特に小さなライトが多数存在するシーンの品質が大幅に向上するという。この機能はGLS_glossy_enableパラメータによりオンオフを切り替えることができる。


速度については、Fixed AA(Anti Aliasing)でのレンダリングではわずかに低下するものの、アダプティブレンダリングでは全体的にスピードアップする。

▲マテリアルの光沢が考慮され、小さなライトが多数あるシーンでは品質が大きく向上。なお、このシーンのアダプティブレンダリングでは従来比1.7倍の速度向上を実現したという

その他、インタラクティブなオブジェクトの可視性変更処理が最適化され、シーン更新が高速化したほか、Alembicのモーションキー制御、OpenVDBポイントのロードとレンダリング、OpenImageIOの更新(v2.6.3.0)なども実装。USD関連ではサポートするUSDとSolarisのバージョンが更新されたほか、HydraのDirtyRenderタグが適切にハンドリングされるよう修正されている。

全更新内容はこちら。

■7.3.7.0 - Arnold User Guide(Arnoldヘルプ、英語)
https://help.autodesk.com/view/ARNOL/JPN/?guid=arnold_core_7370_html

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