大日本印刷株式会社(以下:DNP)は、岡山県瀬戸内市の備前長船刀剣博物館所蔵の国宝「太刀 無銘一文字(山鳥毛:さんちょうもう)」(以下:山鳥毛)の高精細な三次元(3D)CGデータを制作し、日本語版と英語版の二ヶ国語対応のVRコンテンツとして開発・公開する。本VRコンテンツは備前長船刀剣博物館にて4月2日から公開展示され、国内・海外からの来館者に、「山鳥毛」の魅力についての新しい体験価値を提供するという。
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■山鳥毛VRコンテンツ開発の背景
古くから日本刀づくりが盛んな岡山県瀬戸内市では、質の高い日本刀づくりの伝統技術の継承や刀鍛冶の育成に取り組むとともに、日本の歴史や日本刀文化を知る機会を国内外に提供している。同市の備前長船刀剣博物館は、ふるさと納税制度等を活用したクラウドファンディング「山鳥毛里帰りプロジェクト」の寄附金により、戦国時代の名将上杉謙信・景勝親子の愛刀である「山鳥毛」を所蔵している。この「山鳥毛」は特別公開の期間などに展示の機会が限られており、来館者がいつでも鑑賞できる機会を創出することが課題だった。そこで、来館者がいつでも「山鳥毛」の魅力を体感でき、理解を一層深めることができる、高精細3DCGを活用した日本語版と英語版の二ヶ国語対応のVRコンテンツを開発し、公開することとなった。
DNPは、世界遺産をはじめとする有形・無形の文化遺産を毀損することなくデジタルデータ化して保存し、次世代へ継承する「京都・文化遺産アーカイブプロジェクト」や、フランス国立図書館の貴重な作品のデジタル化や鑑賞システムの開発を行う「リシュリュー・ルネサンス・プロジェクト」などに取り組んでいる。これによって培った高精細デジタル化、カラーマネージメント、高精細表現など文化遺産の保存・公開・利活用の技術・ノウハウを活用して、備前長船刀剣博物館の取り組みに対し、「山鳥毛」の日本語・英語対応のVRコンテンツを開発した。
■山鳥毛VRコンテンツの特長
DNPは、高解像度の画像撮影と、レーザーを対象物に照射して3Dデータを取得するレーザー計測を最適に組み合わせることで、「山鳥毛」の形状、テクスチャ(質感)などを忠実に再現した高精細な3DCGを制作、これを活用し日本語・英語対応のVRコンテンツを開発した。
1.4Kヘッドマウントディスプレイでの「国宝山鳥毛VR鑑賞」
来館者がヘッドマウントディスプレイを装着し、コントローラーを操作することで、通常は触れることのできない「山鳥毛」の、蝋燭の光で変化する刃文や地鉄の様子をあたかも手に持っているかのように見ることができ、断面形状を間近で鑑賞できる。また、来館者は特徴的な意匠や見どころについて日本語と英語で解説を聞くことができる。
2.4Kタッチパネルディスプレイでの「国宝山鳥毛ビューア」
DNPコンテンツインタラクティブシステム「みどころビューア」を用いることで、「山鳥毛」を回転・拡大・縮小するなど、4Kタッチパネルディスプレイ上での直観的な操作で、豪壮な日本刀の姿や、特徴的で華やかな刃文を細部までじっくりと鑑賞できる。初心者に向けては刀の鑑賞方法を順序立ててわかりやすく、また見どころポイントについても、日本語と英語のテキストで説明。その他、備前長船刀剣博物館周辺の刀剣ゆかりの文化観光スポットも紹介する。