レノボ・ジャパン(以下レノボ)は、NVIDIAの年次イベント「NVIDIA GTC」で、AI開発者が自動ワークフローを通して生産性を向上できるNVIDIA AI EnterpriseおよびNVIDIA AI Workbenchを搭載したレノボワークステーションを発表した。

両製品は、NVIDIA CUDA コンピュートプラットフォームを土台とするとともに、CUDA-Xライブラリを活用し、さまざまな種類のデータタイプにおいてデータ処理を高速化させる。

NVIDIAとのパートナーシップを拡大

今回発表された製品はレノボのThinkStationおよびThinkPadのシステムにNVIDIA GPUが搭載され、あらゆる種類のAIワークフローを扱う組織に対して個別のスーパーコンピューティング環境を提供する。

そしてレノボワークステーションはNVIDIA AI Enterpriseを使用して、推論およびRAG(検索により強化した文章生成)においてNVIDIA NIMおよびNeMo Retrieverマイクロサービスをサポート。これにより、開発者は自分たちのローカルシステムで生成AIアプリケーションを使用できる。

レノボのワークステーション&クライアントAI事業部バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーであるロブ・ハーマン(Rob Herman)は、「レノボは、NVIDIAとのパートナーシップの拡大を嬉しく思います。また、GPU アクセラレーションを搭載したLenovo ThinkStation デスクトップPCとThinkPadモバイルワークステーションによる、コンピューティング、AI、および生成AIがもたらす大きなチャンスを模索する業界専門家とデータサイエンティストに対して、今後も共同で提供できる可能性を嬉しく思います。」と述べている。

The Lenovo ThinkStation PX Digital Twin Demo (2023)

生成AI向けレノボワークステーション

データサイエンティスト向けThinkStation PX

言語モデルにおける専用データの利用に伴うセキュリティの懸念、そしてデータおよびLLMのトレーニングに伴うコストの上昇を考慮した結果、現在多くの企業は、自分たちがホスティングおよび開発したLLMおよび小規模言語モデル(SLM)へと移行しつつある。多くの企業は、生成AIを推進するにあたり、既存のモデルを活用し、より安全なサンドボックス環境において自らのデータを用いてそれを補う方が簡単で有益であると気づきつつある。レノボワークステーションとNVIDIA AI Enterpriseを利用することで、AI開発者およびデータサイエンティストは、チャットボットの作成、音声文字変換、画像操作、その他の新興アプリケーションなど、先を見越したLLMおよびSMLのアドバイスを手に入れることができる。

レノボは、Linuxおよびオープンソース構想のサポートを積極的に拡張することにより、技術進歩を推進し、多くの企業や顧客の進化するニーズに応えるべく、先を見据えたアプローチを実践している。

生成AIの多様な要件に合わせた高性能構成の積極的なキュレーションは、レノボがイノベーションを重視していることを示している。レノボは、ThinkStationデスクトップPCおよびThinkPad Pシリーズ・モバイルワークステーションの品揃えにおいて、NVIDIA AI EnterpriseおよびNVIDIA AI Workbenchと戦略的提携を行うことにより、AI分野で画期的な結果をもたらすと考えているようだ。

ターンキー・デジタルツインソリューション

デジタルツインは性能が重視されているが、既存のハードウェアでは、構造的にそのようなアプリケーションに必要な性能要件を満たすことが難しい面もあった。レノボは、購入者がデジタルツインアプリケーションの潜在性を完全に実現することを支援すべく、NVIDIA Omniverse Enterpriseおよびデジタルツインに着手するために必要なターンキー・ソリューションを NVIDIAと協力して開発した。

レノボのThinkStation PXと最大4個のNVIDIA RTX 6000 Ada Generation GPUおよび NVIDIA ConnextX-6高性能ネットワークのパワーと性能、そして機能を組み合わせることにより、ワークフローのデジタル化に伴う複雑さと費用、また事業懸念を減らし、NVIDIA Omniverse Enterpriseを用いたデジタル変革の規模を簡単に拡大可能となる。

そのため1台のワークステーションで小規模に着手した後、より大規模で複雑なデジタルツインプロジェクトに素早く簡単に拡大することができる。また、デジタルツインソリューションは、デスクトップの完全なラックマウント型で着手した後に、大規模デジタルツイン向けのNVIDIAの導入モデルであるNVIDIA OVXを使用してデータセンターに至るまで拡張することができる。

エンドツーエンドの空間コンピューティングの実現

空間コンピューティングはAR、VR、MR、AI&MLなどの没入型技術を使用して、機械、人、物、および環境で構成される活動をデジタル化することにより、完全に対話型の協調環境を生み出してデジタルツインを実現することである。空間コンピューティングは、CPU、GPU、およびシステムリソースに大きな負荷がかかるため、大量のCPU コア、GPU、メモリ、およびネットワーク帯域幅が必要になる。レノボのエンタープライズクラスのワークステーションおよび仮想現実ポートフォリオはそれらを備えているため、デジタルツインの実現に大きく近づくだろう。

レノボとNVIDIAは、NVIDIA Omniverse Enterprise(OVE)やNVIDIA CloudXRなどの主要なソフトウェアを組み合わせることにより、空間コンピューティングのために完全に検証されたリファレンスアーキテクチャを提供する。

アーキテクチャは下記の構成になっている。
• ThinkStation PX ワークステーション
• ThinkReality VRX HMD
• ThinkReality MDM ソフトウェア
• NVIDIA Cloud XR
• NVIDIA Omniverse Enterprise

また、Autodesk VREDやNVIDIA Omniverse Enterpriseなどのプロ用のソフトウェアを使用することで、マルチユーザーによるVRを通じたコラボレーションを1台のThinkStation PXワークステーションから4台の異なるThinkReality VRXヘッドセットに、同時にピクセルストリーミングできる。航空宇宙、自動車、建築、技術、建設、製造、製品設計など、多くの異なる業界をわたって協働設計レビューができるプラットフォームを簡単に管理し、ホスティングできる。そして、1 台の集中型のオンプレミスリソースを没入型体験用に使用することにより、遅延を抑え、エンドユーザーに対して、より高品質の再生可能な体験を提供する。さらにVR体験は、NVIDIA CloudXRを使用してThinkReality VRXヘッドセットにストリーミングされる。

この機器は、4 台のThinkReality VRXヘッドセットをサポートする。各ヘッドセットは、プロジェクトデータセットの大きさや複雑さに関わらず、専用の NVIDIA RTX6000 Ada GPUへ完全にアクセスすることで、VR体験が可能になる。

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レノボ・ジャパン合同会社

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