>   >  大阪で働く~独特の文化を育んできた、この地でのCG制作の魅力とは~
大阪で働く</br>~独特の文化を育んできた、この地でのCG制作の魅力とは~

大阪で働く
~独特の文化を育んできた、この地でのCG制作の魅力とは~

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ロケーション協力:ノホホンレトロBAR ハライソ
TEL:06-4964-2522、住所:大阪市中央区南船場2-7-20

関西圏の経済の中心地であり、独自の食文化や芸能文化を育んできた大阪。CG・映像業界だけにフォーカスしても、プロダクションはもちろん、大学や専門学校の数も他の地方都市に比べれば豊富だ。そんな大阪を拠点に活動する4人のプロフェッショナルに、大阪の魅力を語り合ってもらった。
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平均化されない独自の"色"をもった街

CGWORLD(以下、C):最初に、自己紹介がてら皆さんと"大阪"のご縁を語っていただけますか?

実川正和氏(以下、実川):出身は大阪ですが、学校卒業後は東京のCGプロダクションに勤務していました。1年前に大阪に戻り、今は株式会社2055で3DCGのディレクターをしています。

合田健二氏(以下、合田):出身は京都で、京都市立芸術大学を卒業しました。その後は就職することなく映像作家となり、ご縁でいただいた仕事をやってきました。3年ほど前に似たような経歴の仲間を集め、株式会社ギャラクシーオブテラーを設立しまして、私が代表取締役を務めています。

アサオヨシノリ氏(以下、アサオ):出身は福島ですが、米国の大学と大学院に通うため渡米したのです。卒業後は現地で起業し、映像・CG制作に携わっていました。大阪芸術大学に招かれたのをきっかけに帰国し、今は映像学科で准教授をしています。その一方、株式会社月眠と、株式会社吉祥寺トロンの代表取締役、株式会社ガイナックスのプロデューサーもやっています。いったい何者なのか、まったくもってわかりにくい(笑)。

SWERY氏(以下、SWERY):本名は末弘ですが、海外の方と仕事をする機会が多いのでSWERYと名乗っています。大阪芸術大学に通っていた当時"スエリー"と呼ばれていたのが名前の由来です。在学中、アサオさんには副手としてお世話になりました。卒業後は大阪のゲーム会社に勤務し、2002年に株式会社アクセスゲームズのゲーム開発部門を設立。今はディレクターです。合田さんにはゲームの映像演出を何度も依頼していますね。

アサオ:末弘さんが学生だった頃の関西は、「面白いことをしてやるんだ」という熱気が充満していましたね。学生たちも今以上に尖った人が多かった。例えば映画監督の熊切和嘉さん(※1)も、この時代の卒業生ですね。

SWERY:今ふり返ると青いなあと思うのですが、大学1年生時のメッセージ集で「大阪から何かを発信したい!」とすでに宣言していたのですよ(笑)。

大阪

C:見事な初志貫徹(※2)、確かに面白そうな生き方ですね。あえて"大阪からの発信"にこだわる理由は何ですか?

SWERY:各地方には大なり小なり独自色がありますが、その"色"が大阪は特に濃くて、平均化されない強みがあると思います。

合田:映像に限らず、何をとっても東京のクオリティは高い。その反面、最も平均化が進んでいる印象は受けますよね。

実川:東京の場合、投入される資金が桁ちがいですからね。そもそもの予算がちがうので、大阪で東京と同じ映像制作はできません。

アサオ:予算が少額なので、代理店が仲介する仕事は少ないです。お客さんが直接相談に来てくださる。こちらからの企画や演出提案が歓迎されますし、面白いと感じる仕事が多いです。シナリオも何もない状態で、「こういう映像をつくりたい!」という思いだけを携えて飛び込んで来る方もいる。そうなると「いったい全体、どうやったら実現できるんだ?」って、皆で知恵を絞って何とかするしかない。

合田:そういう仕事は多いですね。必然的に「私はコンポジターです」とか「アニメーターです」とは言っていられなくなる。東京の大規模プロダクションのような分業体制を採っていては、仕事が進みません。

SWERY:ゲーム業界も昔に比べれば随分と成熟し、大手は分業化が進みましたが、当社は皆さんと同じようなつくり方をしています。3DCGだけでなく、2Dの絵も描くし、スクリプトも書く......といったような人たちが、ゴチャゴチャと交差しながら1つの作品をつくっています。昔のゲーム業界の熱量を、今も維持し続けているような側面がありますね。

実川:東京と比較すると、「こうじゃないといけない」というルールは少ないですよね。

SWERY:やり方を自由に選べる柔軟さが、私のスタイルには合いますね。例えば合田さんに修正を相談した場合、見積ありきではなく、先にプランを出してくださる。

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C:そういうやり方であっても、お互いにとって無理のない落としどころに着地できる信頼関係があるのでしょうか?

アサオ:競争するより共存しないと、大阪ではやっていけないですからね。資金も人材も潤沢ではないから、自分の会社ができないことは他社にお願いするしかない。付き合いやすい気の合う人に声をかけて助けてもらう。それで世話になったら、次の機会には自分たちが助けましょう......ってね。

実川:東京以上に、持ちつ持たれつの関係性が大切ではありますね。

合田:大阪とその近郊には大きなゲーム会社や家電メーカーなどが複数あり、特にゲーム・遊技機・展示映像などの仕事は豊富で途切れることがない。他の地方都市よりは恵まれた環境と言えます。

SWERY:とは言え、大阪のCG業界は東京ほどには産業化されていませんね。

合田:規模の大きい映画やTV番組、CMの仕事は東京に集中しており、ベルトコンベアー方式の大規模な分業体制も東京でなければ経験できない。それらをやりたい人は東京に行きますね。一方で、1つの役割を突き詰めることに疲れた人は大阪に帰ってきます。

アサオ:CGを産業と考えるなら、ベルトコンベアー方式の導入で安定した制作体制を構築し、一定数の雇用を確保することは必須でしょう。そうしなければ、先々の見通しがたたない。しかし大阪では、かつてボルボが実践していたような少人数チームでの制作(※3)が、今も各所で行われています。

実川:専門職に特化せず、ゴチャゴチャと仕事をするボルボ式が好きな人には、大阪は居心地が良いでしょう。

SWERY:そういう体制の方が自分で考えられる要素が多いし、面白いと感じる。だから私はずっと大阪で働いているのですよね。完全に産業化されることなく、インディーズの精神を持ち続けながら、ものづくりができる街。それが大阪の魅力だと思います。

※1 熊切和嘉:大阪芸術大学芸術学部映像学科卒業。日本国内外の映画祭に多数出品・招待されている。2014年のモスクワ国際映画祭では、『私の男』が最優秀作品賞を受賞した。

※2 初志貫徹:SWERY氏が所属するアクセスゲームズは、"オリジナルのハイエンドゲームを開発し、大阪から世界に打って出る"というコンセプトを掲げている。2014年9月19日には、Xbox One専用のミステリーアドベンチャーゲーム『D4:Dark Dreams Don't Die』が発売された。

※3 少人数チームでの制作:1970年代、「労働の人間化」を目指したボルボは、少人数のチームが作業台を取り囲み1台のクルマを組み立てる生産方式を採用していた。しかし後年には業績不振となり、ベルトコンベアー方式への移行を余儀なくされている。

座談会の参加者に聞く!大阪で働く魅力とは?

大阪

Q:東京と大阪での監督業のちがいは?

アサオヨシノリ氏:東京の場合は、工程が確立しているので、流れ作業に近い印象を受けます。監督は要所、要所で確認をして、意見を言うのが仕事です。ところが大阪の場合だと、自分が動かなければ仕事は先に進まない。大阪の監督には強いリーダーシップが求められます。後者の方が大変ですが、同時に楽しいとも感じますね。

Q:東京の人と仕事をする機会はありますか?

合田健二氏:大阪や京都で働いた経験のある人を東京に送り込むと、喜ばれることが多いです。何を頼んでも「ハイハイ」とやってくれて融通がきく。一方で、完全な分業体制のなかに入ってしまうと、例えば「コンポジットだけに特化するのはつまらない。演出もやりたい」などの理由で大阪に引き上げてくる人もいますね。

Q:大阪でのCG制作の特徴は?

実川正和氏:自分たちの"色"を出しやすい環境だと思いますね。人も予算も限られているので、ある程度の権限を現場にもたせて、各自で何とかしてもらおうという発想になる。東京ほどには人材が流動しておらず、1つの会社に長年勤め続ける傾向が強いです。辞めるのは、独立するときか、CGの仕事自体を止めるとき、というパターンが多いです

Q:他国の都市と大阪を比較した場合の魅力は?

SWERY氏:北米や欧州の開発者から見れば、日本自体が"地方"であって、東京も大阪も大差ない。だったら、自分たちの色を出しやすい大阪から、インディーズの精神を売りにして発信する方が有利だと感じますね。大阪のような産業化されきっていないコミュニティは他国にもあり、世界に目を向ければ決して少数派ではありません。


なお、現在大阪ではデジタル・メディア・ラボ、アクセスゲームズ、オーツー、2055の4社が積極求人中だ。詳しくは次ページを見てもらいたい。

TEXT_尾形美幸(Educat)
PHOTO_大沼洋平

Profileプロフィール

(左から)
アサオヨシノリ氏
(大阪芸術大学 芸術学部 映像学科 准教授/株式会社月眠・株式会社吉祥寺トロン代表取締役/株式会社ガイナックスプロデューサー)

合田健二氏
(株式会社ギャラクシーオブテラー 代表取締役)

実川正和氏
(株式会社2055 3DCG制作部 ディレクター)

SWERY氏
(株式会社アクセスゲームズ ディレクター)

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