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フルCG映画『放課後ミッドナイターズ』を筆頭に、CM・ゲーム・プロジェクションマッピングなど、さまざまなジャンルで話題作をつくり続けるモンブラン・ピクチャーズ。同社の立ち上げ時から参加し、現在はコンポジターとして活躍するかたわら、ワークフロー構築なども担当しているのが内山知亜莉氏だ。入社時から内山氏をそばで見てきた田中賢一郎氏も交えて、現在の仕事や就職までの経緯、将来の夢などについて伺った。

CGWORLD(以下、CGW):はじめにモンブラン・ピクチャーズがどのような会社か教えていただけますか?

田中賢一郎氏(以下、田中):弊社は監督で代表もつとめる竹清仁を中心とし、2011年に福岡で設立したスタジオです。フルCG映画「放課後ミッドナイターズ」をはじめ、さまざまなジャンルで映像の企画・制作を行っています。2016年にはオリジナル作品「チャドとクラークのぼうけん島」など3冊の絵本も出版しました。今後もメディアやジャンルにとらわれない作品を発進し続けていきます。

放課後ミッドナイターズ
AFTER SCHOOL MIDNIGHTERS
2012年に劇場公開した、オリジナル企画による長編アニメーション映画。
長年理科室に立ち続けてきた人体模型が、真夜中の小学校で大騒動を巻き起こす!
モーションキャプチャによる人間臭い演技がコメディアニメーションの新たな可能性を広げ、 その新しさと面白さが巷で話題に。
海外でも広く評価され、フランス・イタリアなど世界7カ国で劇場公開、 シッチェス・カタロニア国際映画祭やファンタジア国際映画祭で賞を受賞。
©AFTER SCHOOL MIDNIGHTERS PARTNERSHIP.

チャドとクラーク
「チャドとクラーク」は、「自分の足で世界を広げる」ことの楽しさをテーマにした、小さなふたりの大ぼうけんの物語。 絵本シリーズでは、第1作「チャドとクラークのぼうけん島」、第2作「チャドとクラーク 都会で大ぼうけん」、第3作「チャドとクラークのさがしもの」と続く。

CGW:内山さんは設立時のメンバーのひとりなんですよね。どういった経緯で入社に至ったのですか?

内山知亜莉氏(以下、内山):地元福岡の専門学校を経て一般企業で働きつつ映像業界への転職を目指してデジタルハリウッド福岡校の半年間コースに通っていました。そこで出会ったフリーランスのクリエイターに紹介してもらい、竹清のプロジェクトにアルバイトとして参加したのが最初です。それがたまたま『放課後ミッドナイターズ』でした。

CGW:なるほど、そんな経緯があったんですね。

内山:その後、竹清のプロジェクトチームがモンブラン・ピクチャーズとして作品制作をすることになり、私もそのまま参加しました。設立当初から参加しているので、就職という点では、かなり特殊なスタイルかもしれませんね。

CGW:専門学校ではどのような勉強されましたか?

内山:子どもの頃からアニメが大好きで、スタジオジブリで活躍されていた保田道世さんにあこがれて、色彩設計になりたいと思っていました。最初に通った専門学校ではデッサンやデザインを勉強し、将来役に立つかと思い色彩検定は1級まで取得しました。その後、一般企業に勤めつつ業務のかたわらデジタルハリウッド福岡校に通い始め、半年間で映像制作について学びました。

CGW:学校の授業と仕事ではどのような違いがありましたか?

内山:すべてが衝撃的でしたね......。特に学校では全ての作業をひとりで行っていたため、自分だけが把握できていれば良い制作方法しか取ったことがなく、After Effectsの使い方ひとつとっても、洗練されたワークフローが印象的でしたね。

CGW:在学中、どういった作品をつくられたんですか?

内山:最初の課題は、「天神イムズ(デジタルハリウッド福岡校も入居している、福岡のファッションビル)のクリスマス」というテーマでCM制作をしました。はじめにキャッチコピーを考え、そこから逆算しコンテを描き、撮影・編集をするというつくり方でしたね。これは「CGクリエイターでも企画の意図を理解する力が必要」という先生の考え方で、基礎の基礎から教わりました。

デジタルハリウッド福岡校に入学して1ヶ月後に制作した作品
作品タイトル「彼がもたらす最高の瞬間」

絵コンテ

CGW:たしかに、技術はどんどん進化する中で、基礎は古びませんからね。

内山:クラスメイトとチームを組んでメンズコスメ「GATSBY」のCMコンペや、「モーニング娘。」のPVイベントコンペなど、色々な学生コンペにも挑戦しました。「GATSBY」では、制作にあたり過去の応募作品や受賞作を分析したところ、まとまりのある作品が多い印象を受けたので、フックのある映像をめざしました。「モーニング娘。」では、アイドルPVらしさの表現にこだわり、用意された100種類以上の素材を使って制作に挑みました。

CGW:入社時から見ていた田中さんからみて、内山さんはどのようなスタッフですか?

田中:先ず、まじめで勉強熱心ですね。CGだけでなく英語でのコミュニケーションに取り組むなど新しいスキルを身につけることに熱心な一方、コンポジターとしての力もだんだんとついてきて、今では小規模のプロジェクトなら任せられますし、お仕事を受注する時のキーマンのひとりになっています。また、いろいろなところに目を配るタイプで気が効くんですよ。

CGW:現在はどういった仕事をされていますか?

内山:基本的には本職のコンポジターとしての仕事をしています。ただ、自分のパート以外も俯瞰して全体を見れるようになりたいという思いから、入社して間もなくPMの仕事も担うようにしていました。現在ではその経験が活きて、クライアントワークでは、やり取りから制作、納品まで管理しています。また、コンポジターという利点を活かし、プロジェクトの立ち上げ時にディレクターと一緒になって画づくりの提案や、最終のあがりから逆算したワークフロー構築や人員の配置などもおこなっています。

CGW:それはおもしろいですね。もともとPM的な仕事に興味があったんですか?

内山:さっきも軽く話しましたが、アルバイトをはじめて、効率性と汎用性を意識しておくことがプロの現場では必要なのだなということを実感しました。その経験が大きかったのかもしれません。また、昔から他人の表情や仕草などを無意識のうちに観察するタイプで、「この人はこんなことを感じているんじゃないか」というのが、PMの仕事に活かされていると感じます。

田中:おかげで今では欠かせないスタッフになっていますね。

CGW:内山さんが今後挑戦していきたいことはありますか?

内山:やっぱりオリジナルの作品をつくるということをやっていきたいですね。今は竹清発案の作品を同期のクリエイターと二人で進行していますが、やること全てが初経験のことだらけで、作品づくりの厳しさを痛感しながら日々勉強しています。また、自分ひとりではできないことがほとんどなので、将来を見据えて交友関係を広げ続けていきたいです。

CGW:なるほど。でも、そうした挑戦は御社の方向性にも合致していそうですね。

田中:そうですね。オリジナルのコンテンツをつくって、国内だけでなく世界からも「個性的でユニークな作品を発表している」と評価されたいですし、そのための体制づくりを進めていきたいと思っています。ピクサーやディズニーをトレースするのではなく、オリジナルの作品をつくって世の中に問いかけていきたいですし、そのためのサポートはしっかりとしていきたいですね。

CGW:最後に、高校生の自分に一つだけアドバイスするとしたら何でしょうか?

内山:留学しろといいたいです。アジアやヨーロッパのように、歴史が古くて人の営みが地層のように積み重なっている国や地域が良いですね。私は、はじめて海外に行ったのが二十歳をすぎてからなんですよ。生まれも育ちも文化も人種も違う人たちとコミュニケーションする機会を、10代のうちにしておけばよかったと、今になってよく思うんです。

TEXT_小野憲史

INFORMATION

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【募集職種】
CGジェネラリスト

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