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劇場アニメ『BLAME!』でポリゴン・ピクチュアズがこだわったキャラクターづくり

劇場アニメ『BLAME!』でポリゴン・ピクチュアズがこだわったキャラクターづくり

連載開始から実に20年を経た今も根強いファンに読み継がれる弐瓶 勉原作のハードSF漫画『BLAME!』がついに劇場長編アニメ化。映像制作を担当したポリゴン・ピクチュアズ(以下、PPI)は、アニメ『シドニアの騎士』において証明された通り、画づくりにおける弐瓶作品との相性は抜群との評価も高い。『シドニアの騎士 第九惑星戦役』の劇中劇『BLAME! 端末遺構都市』当時のスタッフを中心に結成された精鋭チーム(含・原作ファン)の手による、最先端と呼ぶにふさわしいアニメ制作に迫ってみたい。

本記事では、制作体制とデザインの両面でこだわったキャラクターづくりを紐解く。

※本記事は月刊「CGWORLD + digital video」vol. 226(2017年6月号)からの転載記事になります

TEXT_石井勇夫(Z-FLAG)/ Isao Ishii(Z-FLAG)
EDIT_海老原朱里 / Akari Ebihara(CGWORLD)、山田桃子 / Momoko Yamada
PHOTO_弘田 充 / Mitsuru Hirota
©Tsutomu Nihei, KODANSHA/BLAME! Production Committee

美少女から男性キャラクターまで様々なキャラを魅力的に描く

キャラクターモデリングを統括したのは『シドニアの騎士』から続けてPPI作品に参加しているフリーランスのアーティスト、綿引 健氏だ。長く一緒に仕事をしてきていることもあり、キャラクターデザイナーの森山佑樹氏とは横断的に直接雑談を交えながらやり取りしていたという。「森山さんとは部署を超えて直接必要なことを密に話し合った感じです。その分、デザイナーの意図をより明確にしてモデルに反映できたと思います」と綿引氏。

キャラクターのベースメッシュやトポロジーなどは『亜人』の制作時と同一のものが採用され、効率化が図られている。キャラクター制作で大きく変更があったのは顔のモデリングだ。これまでは「ロクヨン顔」と呼ぶ斜め顏のデザイン画を優先してモデリングしていたが、今回は基準を正面顔に切り替えた。森山氏と細かく話し合い、デザイン画にぴったり合わせるモデリングの正確さより、印象を合わせて絵の雰囲気が出ることを重要視すべきだと結論づけたためだ。大事なのは頬の線の勢いや、線の変わり目のリズムを生むポイントなどで、「絵に合わせる」という方向性は変えることなく、どこに着地すべきかを検討し、"印象値を合わせることで絵に合わせる"ための調整が重ねられた。

また、男性キャラクターの顎のラインもこだわった点だ。いわゆるエラの内側のジオメトリを押し込むことで明示的に顎のラインが描画されるようにした。「2人の活躍でキャラクターの魅力をきちんと掘り下げられたと思います」と、吉平氏もモデル段階で納得のクオリティだ。

キャラクターモデリングシーンの変更

担当者によってモデリング時のカメラ設定が作品ごとに異なると、印象にばらつきが出てしまうため、PPIではカメラの位置とフォーカルレングスを標準化している。『シドニアの騎士』で は120mm、『亜人』では50mmだったが、本作では70mmに変更



  • カメラの距離、画角による印象の変化。ここが担当者ごとに異なっては仕上がりが統一できない



  • カメラのアイレベルによる印象の差。本作では目の高さ(瞳孔の中心)で統一した



  • チェックカメラの回転軸も変更。『亜人』ではモデルの首の後ろに軸があり、回転させるとアングルによって顔の大小が変わる



  • 本作では回転軸を頭の中心に設定。アングルによる顔の大きさの差異が少なくなる

霧亥のモデルとリグ

TVアニメ『シドニアの騎士 第九惑星戦役』の劇中劇『BLAME! 端末遺構都市』のモデルをブラッシュアップしてつくられた本作の霧亥。森山氏のペイントオーバーを基に、髪型を変えて鼻筋を通し、目も鋭くなるよう手が加えられた

『BLAME! 端末遺構都市』のモデル

本作のモデル。PPIの研究開発サービス会社であるJ Cubeが開発したアニメレンダリングソリューション「Maneki」を使用している

リグはPPI作品で長年使われているeSTで構築。『亜人』から継承されている

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電基漁師の少女・づる

Profileプロフィール

綿引 健/Watahiki Takeshi

綿引 健/Watahiki Takeshi

長編アニメ『BLAME!』モデリングスーパーバイザー

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