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担当する職務内容によって大きく異なるデジタルアーティスト向けのPCスペック。その中でも汎用性が最も問われるのがゼネラリスト向けのマシンだ。自身も自作PC好きだという田代恭規氏に、「パソコン工房」で知られるユニットコムの機材協力を得て、CGゼネラリストの立場から2018年の推奨マシンスペックを検証してもらった。

▲パソコン工房 CG・映像制作者向けブランド「CG・MOVIE GARAGE」販売サイト。本企画で田代氏が監修した3ds Maxゼネラリスト向けPCが紹介されている。各ラインナップともに、目的に合わせて余分な構成は省き高いコストパフォーマンスを実現している。今後さらなるラインナップが登場予定だ >>>製品紹介ページはこちら

CPUは6コア以上、メモリは最低32GB推奨Core i9×高速SSDの活用が◎

パソコン工房スタッフ:田代さんのように実写VFX・フルCGを手がけるゼネラリストにはどのようなPCが求められますか?

田代恭規氏(以下、田代):モデリングからコンポジットまで一通りこなすので、PCは予算30万前後のなるべく高スペックなものを選択しています。特に、近年では4K映像やVRなど重量級のデータを扱う案件も増えてきたので、ストレージの容量と読み書き速度にはこだわっています。キャッシュで480GBぐらいの容量は一瞬で一杯になります(笑)

パソコン工房スタッフ:NUKEなどキャッシュを大量に使用し、高速化を図るツールが増えていますしね。CPU、GPU、メモリについてはいかがでしょうか?

田代:CPUはV-Rayを使用しているので、6コア12スレッド、クロック3.60GHzと比較的高スペックなものを選んでいます。GPUも最上位クラスのGeForce GTX 1080を選択していますが、これはRedshiftなどのGPUレンダラーの活用もにらみつつ、自動車などの数百万ポリゴン程度のCADデータを扱う案件が多いのでなるべく軽快な表示レスポンスを求めているからです。メモリについては、Phoenix FDなど高負荷なシミュレーションもかけることが多いので、96GBを選んでいます。

パソコン工房スタッフ:全体的にハイスペックな構成が必要というわけですね...。今回はハイエンド志向のアドバンスモデルではCPUに16コア32スレッド搭載したCore i9-7960X、GPUには耐久性・信頼性に優れたELSA製のグラフィックカードのGTX 1080 S.A.Cを選択してみました。さらに、ストレージについては1TBのハイエンド向け高速SSD(M.2 NVMe)も搭載しました。

田代:この構成はうらやましい! ストレージについてはCドライブに通常のSSDを搭載して、高速SSDはDドライブでキャッシュに使うと良いかもしれません。データの読み書きが高速化すると、作業効率も段違いに向上します。

パソコン工房スタッフ:一方で、予算20万円前後のスタンダードモデル2種についてはいかがでしょう?

田代:私のPCに肉薄したスペックだと思います。スタンダードAはメモリが32GBなので、シミュレーション案件が増えてきて性能に限界を感じたら64GBに増強すればいい。スタンダードBは最初から64GBなので、プロでも当面は大丈夫ですし、最大128GBまで増強できます。一方で、水冷式クーラー採用しているのもいいですね。フリーランスだと、レンダリングしながら就寝することもあるので、静音性は重要です。

パソコン工房スタッフ:ハイエンドCPUは熱量を発しますので、高負荷時でも温度をほぼ一定に保つ12cmファン搭載の水冷クーラーがオススメです。 田代様よりお聞きした使い方やワークフローを基に、今回の企画で用意したモデルは水冷クーラーを標準で搭載しました。

田代:そこは専門家に任せたほうが安心ですね。

Point1 3ds Maxゼネラリスト向けPC各モデルの選び方

※価格及び各パーツのスペックは2017年11月時点の情報です。予告なく変更される場合があります。 >>>製品購入ページはこちら

スタンダードモデルAとスタンダードモデルBでは、CPU・メモリ・マザーボードの構成がそれぞれ異なっている。CPUはいずれも最新世代で、Aは第8世代、BはCore Xで、前者の方がクロック周波数が高い。その一方で両者はCPUソケットに互換性がなく、メモリもAは最大64GBまでしか増設できない(Bは128GB)。つまりCPUのスペックはほぼ同じながらも、Aはコストパフォーマンスを重視した構成で、Bは拡張性重視の構成だといえる。シングルコアの性能を活かしたツールやプラグインを使用したり、拡張性をある程度切り捨てるならAがお勧めで、学生用の入門機としても十分な性能を誇っている。逆に拡張をみこしたベースマシンにするならBがお勧めだ。実際、このBをベースに現状で最高水準のパーツを搭載したのがハイエンド向けアドバンスモデルで、CPUは最新のCore i9、GPUもGeForce GTX 1080 S.A.C.を選択している。ストレージに「M.2 NVMe」接続規格を採用した、1TBの大容量・超高速SSDが選択されている。詳細は検証結果を確認して欲しいが、対応マザーボードと組み合わせれば、通常のSSDと比較して数倍の高速化を計ることができ、作業効率を一気に向上できる。

Point2 各モデルパフォーマンス検証

V-Rayレンダリングテスト

V-Ray BENCHMARKを使用して、3機種でCPUレンダリングとGPUレンダリングにかかる時間を、それぞれ計測。CPUではアドバンスモデルの42秒が突出しており、Core i9とそれ以外の性能差を如実に示す結果となった。クロック周波数にまさるAモデルが1分29秒と、Bモデルの1分40秒を若干上回った。GPUではアドバンスモデルの1分38秒に対して、A・Bモデルはともに2分7秒となりCPUを問わずGPUの性能に依存した結果となった。

NUKE巨大データ読み書き検証

デジタル合成ソフトのNUKEを使用し、HDサイズで非圧縮の連番ファイルを作成して、ストレージのアクセス速度を検証した。動画ファイルは1フレームが500MBで、100フレームを書き出しており、合計で50GBとなる。なお、ベンチマークソフトはCrystalDiskMark 6を使用した。結果はM.2 NVMe規格のSSDを搭載したアドバンスモデルが、シーケンシャルアクセスでは3~4倍、ランダムアクセスでは6~7倍の差を記録するなど、通常のSSDを搭載したA・Bモデルを凌駕。書き出し速度も体感で約2倍となった。

Phoenix FD シミュレーションテスト

流体シミュレーターソフトのPhoenix FDを使用し、シミュレーション時におけるCPUのパフォーマンスの違いを計測した。アドバンスモデルではモデルA・Bに比べて、CPUの使用率が短期間でアップ・ダウンしているのがわかる。これは他モデルと比較して、より高速で計算と出力(書き込み)を繰り返しているため。これに対してモデルA・BではCPUの使用率に大きな違いは見られず、ほぼ同スペックの性能であることがわかる。



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TEXT_小野憲史
PHOTO_弘田充