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市場の変化や案件の大型化に伴い、さらなる開発体制の効率化とクオリティが求められているゲーム業界。日々肥大化するデータをやり取りする上でボトルネックとなるのがストレージの転送速度だ。こうした中、接続インターフェイスにNVM Express(NVMe)プロトコルを使用したハイエンドSSDやポータブルSSDに注目が集まっている。少数精鋭のゲームグラフィックス制作集団キャラバンズに、技術検証を依頼した。

TEXT_小野憲史

作品のクオリティを上げるための投資

カジュアルゲームからAAAタイトルまで、多様化と細分化が進んでいるゲーム業界。開発規模も年々拡大しており、開発体制の効率化は永遠のテーマだ。こうした事情から近年のゲーム業界では複数社間での分散開発が急増しているが、それにはひとつの課題がある。開発中のファイルやプロジェクトフォルダの受け渡し方法だ。ゲームグラフィックス制作に特化したキャラバンズも課題に直面した企業のひとつ。わずか5年の社歴ながら、『ゼルダの伝説 ブレス オブザ ワイルド』(SW)、『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』(PS4)など、数々の人気タイトルの制作にかかわってきた同社が、とあるプロジェクトでの経験を語る。情報システム管理を担当する小畑英樹氏は「ネットワーク経由でデータを転送したところ原因不明のエラーが頻出し、完全データを入手するだけで、都合1ヶ月くらい消費したことがあった」と振り返った。

  • 小畑英樹氏(情報システム管理)

背景にあるのが、バージョン管理ツールとゲームエンジンの普及がもたらしたプロジェクトデータの肥大化だ。複数社間で協業を行うには、開発環境の均質化と綿密なバージョン管理が欠かせない。しかし、管理用の中間ファイルが数十万個も作られるようになった結果、修正時に関連データをまとめて転送する手法が一般化した。人為的ミスを避けるためだが、データコピーだけでかなりの時間が取られるようになったのだ。

特に同社ではクライアントPCに作業データを置かず、サーバ上にMayaのシーンファイルなどのデータを集約させたまま、必要に応じて各々のアーティストがアクセスし、開発を進める手法を採用している。そのため開発の初期段階では数TBものデータをやりとりすることがあり、コピー時間がボトルネックになっているという。

同社でシニアデジタルアーティストを務める齋藤光司氏は「こうした問題はゲーム業界だけにとどまらない」と警鐘を鳴らす。自動車・建築・映像業界など、リアルタイムCGの需要拡大と共に、今やゲームエンジンは様々な業界に普及しつつある。肥大化するデータの転送は大きな課題となっているのだ。

  • 齋藤光司氏(シニアデジタルアーティスト))

今回検証された「Samsung SSD 960 PRO M.2」(以下、960 PRO)は、そのための解決策のひとつになり得ると小畑氏は語る。「動画ファイルなどとちがい、ゲームエンジンのプロジェクトフォルダは、数十万個もの細かいファイルで構成されています。こうした条件下でのデータ転送はランダムアクセスが中心となり、SSDといえども速度が出にくい状況です。しかし960 PROではHDDと比べ転送速度が3~5倍も向上しており、驚かされました。ランダムアクセスに強い製品特性がうかがえます。ただしポータブルストレージを含め、SSDだけで構成する必要があるので、その点は注意が必要ですね」(小畑氏)。

「作品のクオリティを上げるにはトライ&エラーの回数を増やすことが重要で、そのためには開発環境のボトルネックを常に意識し、改善していくことが重要です」と分析する齋藤氏。ボトルネックの正体は各社で異なるが、ネットワーク速度、インターフェイスの規格、CPUやGPUなど、様々な要因が存在する中、新たにストレージの存在がクローズアップされてきた。少なくともHDDを安価だからという理由で使用する時代は、そろそろ終わりかけているといえそうだ。

  • キャラバンズ
    デザインワークを通して「感動体験」を届けるクリエイティブスタジオ。2D/3DCG、ドット、演出等ゲームグラフィックス受託制作及びオリジナルコンテンツ企画、制作、販売を行う。
    www.charabans.co.jp

HDDの有無で転送時間が3~5倍も変化


※本検証では、SATA SSD→Samsung SSD 850 EVO(以下、850 EVO)、NVMe SSD→960 PRO、pSSD→Samsung Portable SSD T3(以下、T3)を使用。
 PCホスト側がUSB3.1 Gen1環境につきT3を使用したが、現行モデルとしてUSB3.1 Gen2(10Gbps) 対応の新モデル「T5」が販売されている。「T5」製品情報はこちら

※動作検証環境:TSUKUMO BTOパソコン
G-GEAR GA7J-H91/T(CPU:Core i7-7700 / マザーボード:ASUS PRIME H270-PLUS / メモリー:16GB / グラフィック:NVIDIA GeForce GTX1070)

今回の検証ではデータ用ストレージに「HDD」、「SATA SSD」、「NVMe SSD」、外部ストレージに「pHDD」、「pSSD」の計5種類を用意し、サイズが異なる2つのUnreal Engine 4 向けプロジェクトデータを用いて、各内蔵ストレージとポータブルストレージ間での転送速度を計測した。接続インターフェイスはpHDDとpSSD がUSB3.1 Gen1 (5Gbps)、HDD とSATA SSD がSATA3(6Gbps)、NVMe SSD がPCIe3.0x4NVMe1.2(32Gbps)となっている。規格だけを考えればNVMe SSD以外は大差はないように思えるが、これは理論値に過ぎないことに注意して欲しい。検証結果からわかるように、pHDD、HDDが加わると一気に転送時間が必要になることがわかった。これはHDDのアクセスが物理的に行われるのに対して、SSDは電気的に読み書きが行われることに起因している。また、pSSDとNVMe SSDの組み合わせが最も転送時間が短く、pHDDとHDDとの比較で最大3~5倍も時間が短縮されることがわかった。SSDは一般的に長期間使い続けると速度が低下してくるが、960 PROは長期間データの読み書きを行なっても速度が低下しにくいという特性もある。普段扱うデータの特徴を考え、ストレージの選定に活かしてほしい。

製品情報

>Samsung SSD 960 PRO
>Samsung SSD 960 EVO
>Samsung SSD 850 PRO
>Samsung portable SSD T5



※製品保証は、期間もしくは各容量毎に定められたTBWしきい値に到達した日の、いずれか短い期間までとなります。

◆問い合わせ



日本サムスン株式会社
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(製品について)

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