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光と影の圧倒的なリアリティ<br />『NieR:Automata』×Enlighten

光と影の圧倒的なリアリティ
『NieR:Automata』×Enlighten

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退廃的なビジュアル表現が魅力のPS4アクションRPG『 NieR:Automata』。その独創的な色彩の作品世界では、各空間での光の美しさがひときわ目を引く。本作の動的な間接光による照明効果を生み出しているのが、高品質なGIソリューションとして名高い「Enlighten」だ。

Product Info



  • Enlighten



    対応プラットフォーム:PC Games for Windows、Linux、Mac OS X、Xbox One、PlayStation®4、PlayStation®Vita、Android、Android x86、64-bit Android、iOS、64-bit iOS、Windows RT、Nintendo Switch™
    問:シリコンスタジオ
    価格:要見積もり
    www.siliconstudio.co.jp/enlighten/

次世代ゲームとしてのカギを握る「Enlighten」という秘密兵器

吉田明彦氏が手がける「アンドロイド」のキャラクターたちに、
アクションゲームを得意とするプラチナゲームズが「生命」を吹き込んだアクションRPG『NieR:Automata』。PS4版のリリースから約半年で、Steam版のダウンロード数と合わせて200万本を出荷した本作の評価は高く、約1年が経過した現在でも、ヨルハ二号B型(2B)をはじめとする個性的なキャラクターや、ディレクターのヨコオタロウ氏が志向した独特な世界観への人気は冷めやらない。それらの背景には、プラチナゲームズ独自の描画エンジンの存在がある。本作以前のプラチナゲームズでは、3Dグラフィックスの開発をアーティストの技能に頼ったレガシーな手法で開発してきた。それに対して、本作では画づくりの中心人物、テクニカルアーティストの久禮義臣氏とレンダリングプログラマーの髙橋遼一氏が主導するかたちで、モダンな物理ベースレンダリング(PBR)をサポートするように描画エンジンの機能拡張を行い、PBRによるノンフォトリアルなグラフィックスという本作の新境地を実現している。

PBR移行にあたって導入されたのがグローバルイルミネーション(GI)に特化したミドルウェア「Enlighten」だ。Enlightenは、速度、品質、負荷のどれを取っても評価が高く、Unityの標準GIとして統合されているほか、Unreal Engineでも利用できる。これまで自社エンジンベースのワークフローにGIを組み込むことに苦労してきたプラチナゲームズは、Enlightenを導入することで問題解決を試みる。自社の描画エンジンへ組み込む約3ヶ月の期間と並行して、作品性にふさわしい画づくりのために、Enlightenが要求するデータ制作のノウハウを蓄積しつつ、プロトタイプ用データの作成を進めた結果、良好なレンダリング出力が得られた。社内評価でも好感触を得たことから、晴れて『NieR:Automata』×Enlightenという新機軸で、次世代プロジェクトが始動した。

  • NieR:Automata/ニーア オートマタ 好評発売中
    発売:スクウェア・エニックス
    開発:プラチナゲームズ
    発売日:発売中
    価格:7,800円+税
    Platform:PS4/Steam
    ジャンル:アクションRPG
    www.jp.square-enix.com/nierautomata
    ©2017 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. Developed by PlatinumGames Inc.

Topic1 次世代品質に押し上げたEnlightenの実力

物理ベースで開発された本作のワークフロー

貪欲に「スタイライズなビジュアルクオリティ」を追求するという同社のアーティストだが、数年かけて地道に勉強会などを行い、PBRに必要なアルベド、ノーマル、ラフネスの各マップや、Enlightenがランタイムで動的に変化する光源影響を書き込むライトマップ、反射率等のマテリアルパラメータを構築していった。Enlighten用ライトマップのUV展開には、まずEnlightenの特徴的なAutoUV機能を活用し、球状のオブジェクトのように、形状的に適切にアンラップされないものは、手動でUVを開くという手法が採られている。AutoUVは非常に便利な機能ではあるが、他の自動UV展開プラグイン同様、手作業での調整も必要になってくるようだ。

また、ランタイムでの間接光の影響を高速に計算するためのジオメトリキャッシュをプリコンピュートする工程では、スタンドアロンツールとして提供されているForgeにMayaから内製ツールを使用してシーンデータのインポートを行い、Forge上でプリコンピュートした後、生成されたジオメトリキャッシュデータを、内製ツールでMayaにインポートして、Mayaからまとめてゲームに組み込むデータを出力するというデータのながれになっている。シーンをForgeにインポートするなら、Forgeからゲームデータを出力する、あるいはMayaからForgeにシーンデータをエクスポートせず、MayaのプラグインからForgeのキャッシュ生成機能を呼び出してキャッシュを得た後にゲーム用データを出力するというながれも考えられるため、この工程は改善の余地があるとしていた。

このほかにも、頂点がマージされておらず、閉じた3Dモデルになっていないオブジェクトが存在してしまっていたため、反射面や遮蔽物として適切に機能することができずに、不適切なアーティファクトが描画されてしまうこともあったという。3Dモデルは閉じているのが当たり前ではあるが、従来のプロジェクトでは、直接光しかなかったため目立ちにくく、問題視されていなかった。プラチナゲームズの場合、モデル制作上の厳密性を引き上げる結果となってしまい、問題解決のためにかなりの数のモデルを修正しなければならなかったという。

こうした諸問題に対しては、余力のあるプロジェクト開始当初からあらかじめ織り込んでいれば、大きな問題となることもなく、また落ち着いて効果的な解決策を採ることもできる。ゲーム品質という意味でも、制作プロセスの効率化という意味でも、今後のプロジェクトでは本作のケーススタディを踏まえて、さらに開発プロセスを改善していきたいとしていた。

作品性にふさわしい画づくりの検証

▲<A>エリアごとのフィールドの景観に応じたキューブマップを参照することで、キャラクターなどの動的オブジェクトも間接光の影響を受ける

▲<B>Enlightenによるゲーム空間内での間接光の影響はゲームに実装されたデバッグモードを活用して検証

▲<C>空間内各所の照度の検証はForgeでライトプローブを可視化しながら行われた

ゲーム開発を支えたツール環境

▲ライトプローブはForge上で配置エリアを設定するだけで、自動的にデフォルトのパラメータを参照して配置される。ゲームフィールドの特性に応じて、配置間隔を調整できるほか、複雑に入り組んだ地形をもつ箇所では、異なるプローブ密度をもつ配置エリアを複数設定して光源矛盾を緩和することもできる

ノンフォトリアルにおけるGIの到達点


▲フィールドを構成する静的なオブジェクトに対する間接光の影響は、プローブのデータを参照してEnlightenが透過的に反映させる一方で、プローブデータから得られる間接光を動的オブジェクトに対してどの程度どのように影響させるかは、ゲームアプリケーション側で柔軟に制御できる(<A><C> Enlighten OFF/<B><D>Enlighten ON)。本作ではノンフォトリアルなキャラクターの普遍的な印象を優先したバランスに仕上げている

Topic2 退廃的な空気感を演出する屋外空間

荒涼感を演出するアウトドアフィールド

本作のように均質で荒涼とした空間が連続するランドスケープの場合、GIが大きくものをいう状況は限定的だが、それでもなおEnlightenによる物理的に整合性のとれた高品質なGIの恩恵を受けていることがわかる。フィールドの各エリアに配置されたキューブマップによって、特にオブジェクトが密集しており情報量が多い街の部分や、草木が地表を覆う草原地帯では、周辺環境に応じた照り返りの色をもつ間接光が、フィールド中の静的なオブジェクトに対して影響を与えるほか、キャラクターをはじめとする動的オブジェクトに対しても影響を与えるようになっており、環境内に確かに存在しているという自然な臨場感を与えることに成功している。さらには、風やエフェクトのアニメーション、各種ポストエフェクトといった画面に動的な変化をもたらす要素との相乗効果によって、本作の世界観にふさわしい独特の風合いをもつ画面の印象に仕上がっている。

本作の開発時点では、EnlightenはGeomericsのプロダクトであったため、GIミドルウェア単体での提供となっていたが、シリコンスタジオに移管されたことから、今後は同社のリアルタイム描画エンジン「Mizuchi」へのインテグレーションや、ポストエフェクトミドルウェアの「YEBIS 3」との連携が期待される。高速、高品質、軽量と三拍子そろった新たな統合グラフィックス描画スイートが、ワンストップで提供される魅力は大きい。また、技術的な開発支援体制についても、Geomericsのサポートは良好ではあったものの、英語でのコミュニケーションを主体に行われていた。幸いなことに、プラチナゲームズには社内にローカライズチームが存在しており、言葉の壁が大きな問題となることはなかったそうだが、どの開発スタジオでも容易に真似ができるものではない。今後は、シリコンスタジオによって日本語でサポートされることに加え、Geomericsに在籍していた技術スタッフがシリコンスタジオに移籍していることから、日本の開発スタジオに対して、万全のサポート体制が確立されていると言って良いだろう。

遮蔽空間でのライティングが描き出す空気感

廃墟のキャンプ地では、直接光が遮蔽された場所でも間接光の影響を受けている。特に影になっている部分に配置された車両を見ると、その様子がよくわかる。

▲<A>EnlightenのGI機能を全て有効にした状態


▲<B>間接光の影響は受けているが、キューブマップに空間内の環境を反映していない状態のもの

▲<C>間接光の影響を無効にしているが、キューブマップに環境を反映させている状態

▲<D>間接光もキューブマップも無効にしている状態

草原地帯に広がる豊かなダイナミックレンジ

草原が広がるエリアでは、コスチュームのベルベットやブーツのレザー部分に、間接光や環境からの色の照り返りが適度に乗り、キャラクターの情報量が増えると共に、周辺の環境に馴染んでいることがわかる。

▲<A>EnlightenのGI機能を全て有効にした状態/<B>間接光の影響は受けているが、キューブマップに空間内の環境を反映していない状態のもの

▲<C>間接光の影響を無効にしているが、キューブマップに環境を反映させている状態/<D>間接光もキューブマップも無効にしている状態

Topic3 室内空間にもたらすEnlightenの効果

メリハリの利いたシャープな印象のインドアフィールド

荒涼とした廃墟や広大な草原に対して、比較的EnlightenによるGI効果が有利に働いているのが、洞窟や格納庫といったインドアのフィールドだ。光源の影響範囲が意図的に狭められ、金属質の鈍い鏡面反射で取り囲まれた人工的な空間では、画面全体のコントラストが高まり、メリハリの利いた画づくりがなされている。キャラクターを引き立たせるために過度な情報量を排し、全体的にマットな印象に仕上げている本作ではあるが、こうしたシチュエーションでは、適度なハイライトとシャドウによって画面を引き締めている。

さらに本作では、フィールドに固定して設置されたポイントライトでありながら、キャラクターにはそのポイントライトからの直接光の影響を与えず、Enlightenによって計算された間接光の影響のみを与えるという、特殊な設定のポイントライトをも採用している。物理的に正しいライティングをイメージすると奇妙に感じる概念ではあるが、これはこれで理にかなっている。というのも、コンセプトアート(設定画)の印象を重視する本作においては、3D空間上の劇的な環境の変化に応じてキャラクターの印象が著しく変化してしまうのは好ましくないからだ。キャラクターの基本の明度は、画面の全体の露出とは完全に切り分けて設定されており、空間中の光源変化との関係で決定されているものではない。とはいえ、環境からの影響をまったく受けないのも違和感を生じさせることから、キャラクターを適度に背景と馴染ませる手段として、Enlightenによる間接光の影響のみを抽出するかたちでキャラクターに適用している。このことからも、本作では、物理的な正しさよりも、キャラクターの印象を大切にしていることがわかる。

このように、フォトリアルで物理的に正しい表現ばかりではなく、本作のようにノンフォトリアルでキャラクターデザインの魅力を前面に押し出した画づくりの作品に対しても、柔軟に対応できるのがEnlightenの優位性のひとつと言えるだろう。

人工物の強調にEnlightenの効果を有効活用

フィールドに設置され、キャラクターに追従しないポイントライトでは、適度なアンビエント効果が得られている。直接光源としては使用されないため、物理的には不思議な存在だが、暗所の雰囲気を演出するのに効果的だ。

▲<A>ポイントライトをOFFにして、まったく使用していない状態/<B>ポイントライトからの直接光と間接光の双方を有効にした状態

▲<C>ランタイムのゲーム画面同様、ポイントライトを光源とする間接光のみを反映させた状態

キャラクターの印象を重視した特殊ライティング

ポイントライトを使用するものの、キャラクターに対しての直接光源としては使用せず、Enlightenによって得られる周囲の環境に反射した間接光のみキャラクターに適用するというのはユニークな手法だ。

▲<A>ポイントライトをOFFにして、まったく使用していない状態/<B>ポイントライトからの直接光と間接光の双方を有効にした状態

▲<C>ランタイムのゲーム画面同様、ポイントライトを光源とする間接光のみを反映させた状態




TEXT_谷川ハジメ(トリニティゲームスタジオ)

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左から、テクニカルアーティスト・久禮義臣氏、レンダリングプログラマー・髙橋遼一氏(以上、プラチナゲームズ)

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