[PR]

2015年のE3で発表されて以降、全世界のファンが発売を心待ちにしている『FINAL FANTASY VII REMAKE』(以下、『FF VII REMAKE』)。本作の開発はスクウェア・エニックス 第1ビジネス・ディビジョンが担っており、ディビジョン・エグゼクティブの北瀬佳範氏(『FF VII REMAKE』プロデューサー)は、「原作を超える作品クオリティを目指して、軸となっている社内開発を強化するべくスタッフを増員する」と語っていた。この呼びかけに呼応する形で多くの才能が集結し、強固な開発チームの完成にいたることができた。しかしながら、さらなる高みを目指すべく現在も才能あるスタッフを募集中で、とりわけVFX(エフェクト)デザイナーは不足しているという。そこで原作である『FINAL FANTASY VII』(以下、『FF VII』)の開発にも参加していた高井 慎太郞氏(『FF VII REMAKE』アートディレクター兼VFXディレクター)に、『FF VII』開発の今昔と、VFXデザイナーに求められるスキルや経験を語ってもらった。

TEXT_尾形美幸 / Miyuki Ogata(CGWORLD)
PHOTO_弘田 充 / Mitsuru Hirota

▲『FINAL FANTASY VII REMAKE』トレーラー(日本語ボイスVer)
© SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
CHARACTER DESIGN:TETSUYA NOMURA/ROBERTO FERRARI

『FF VII』のチームは、ちょっとやり過ぎなくらい良い仕事をしていた

CGWORLD(以下、C):1997年に発売された『FF VII』は、その壮大な物語や魅力的なキャラクター、当時最先端の技術を駆使した映像が多くの人を魅了し、これまでに1,100万本以上(※1)の世界累計販売本数を記録しているそうですね。本作がきっかけとなり、ゲーム開発者を志した人も多いと聞いています。その開発の中で、高井さんはどんな役割を担っていたのでしょうか?

※1 パッケージソフト出荷数とダウンロード販売数の合計。

高井 慎太郞氏(以下、高井):当時は数多くいる一兵卒のひとりで、主にエフェクトを担当していました。それ以前はスーパーファミコンの『聖剣伝説2』(1993)と『聖剣伝説3』(1995)の開発に参加しており、エフェクト以外も含めたドット絵全般を制作していました。『FF VII』からエフェクト担当になり、今にいたるまでエフェクトを専門にしています。

  • 高井 慎太郞
    スクウェア・エニックス
    (VFXデザイナー)

    VFXデザイナー。スクウェア・エニックス 第1ビジネス・ディビジョン所属。『FINAL FANTASY VII REMAKE』ではアートディレクター兼VFXディレクターを務める。1992年、スクウェア(現、スクウェア・エニックス)に入社。『聖剣伝説』シリーズ、『FINAL FANTASY VII』、『FINAL FANTASY VIII』、『FINAL FANTASY X』、『FINAL FANTASY X-2』、『FINAL FANTASY XIII』シリーズ、『MOBIUS FINAL FANTASY』などのVFXをメインに担当。通称たかしん。


C:高井さんのように、かつて『FF VII』の開発に参加し、『FF VII REMAKE』にも参加している方々はどのくらいいらっしゃるのでしょうか?

高井:かなり少ないですね。プロデューサーの北瀬佳範さん、ディレクターの野村哲也さん、シナリオの野島一成さん(※2)をはじめ、ほんの数名です。『FF VII REMAKE』の開発者の多くは、『FF VII』より後の『FF』シリーズの開発経験者と、新たに集まった人たちで占められています。「子どもの頃『FF VII』をプレイして、すごく好きだったから参加したい」と言って応募してくださる人が多いですね。ゲーム開発者にとっても『FF VII』はちょっと特別なタイトルのようです。

※2 3氏とも『FF VII REMAKE』での役職。

▲『FF VII』のキービジュアル


C:『FF VII』のエフェクトは何人くらいで制作していたのでしょうか?

高井:デザイナーは5∼6人です。それに加えてプログラマーも5∼6人いたので、両方を合わせると、それなりの規模のチームではありました。自分も周囲も3DCGでゲームをつくるのは初めてだったので、かなり試行錯誤しながらやっていました。なにせ2Dのドット絵の世界で生きてきた人間ばかりでしたから、3DCGツールはもちろん、Photoshopですら「初めて使う」というケースがざらにあったのです。

C:X軸とY軸しかなかった世界にZ軸(奥行き)が追加されたときのインパクトはすごかったですね。ゲームの情報量が一気に増えて、多くのプレイヤーが衝撃を受けました。

高井:開発者にとってのインパクトもすごかったです。「Z軸って何だ?」と言いながら、皆で四苦八苦していました(笑)。自分もPhotoshopでテクスチャ1枚つくるのにも苦労していたら、あるとき坂口博信さん(※3)がふらっとやってきて「こうすればいいんだよ」なんて言いながら、フィルタの使い方を教えてくれたのです。「子供の写真を加工するときに、よく使っているんだ」などと言いながら、去っていきました。きっと坂口さんは覚えていないでしょうが、印象深い体験でした。

※3 『FF』シリーズの産みの親で、『FF VII』のプロデューサー。

C:それはそれで、意外すぎてインパクトのある体験ですね(笑)。

高井:今ふり返ってみても、『FF VII』の開発にはすごい人たちが集まっていたと思います。当時の自分はエフェクトチームの一兵卒だったので開発の全体像は見えていなかったのですが、「自分が任された部分に関しては、すごいものをつくろう」という志がありました。召喚獣のエフェクトの多くは自分が担当したのですが、「すごいエフェクトをつくった」と自信満々に思っていても、ほかの部分とつなげてみると、どのチームもすごく良い仕事をしていたのです。「このタイトルは大変なものになる!」と当時から感じていました。

C:『FF VII』の召喚獣の演出は、当時としてはすごく凝っていましたね。特に「ナイツオブラウンド」の高い攻撃力と、長くて派手な演出はすごかったです(笑)(※4)。

※4 「ナイツオブラウンド」は『FF VII』最強の召喚獣で、13人の騎士が次々に強力な攻撃を放つため、全体の演出時間は1分40秒近くに達する。

高井:あれは長かったですね。反省点もありますが(笑)。モデリング、アニメーション、エフェクトなど、それぞれのチームが、すごい熱量で、ちょっとやり過ぎなくらい良い仕事をしていたと思います。

単にグラフィックスのクオリティを上げるだけでいいとは思いません

C:当時のインパクトを記憶しているファンは、『FF VII REMAKE』にとりわけ大きな期待を寄せていると思います。高井さんとしては、『FF VII』の何を残し、何を変えたいと考えていますか?

▲『FF VII REMAKE』のキービジュアル


高井:難しい質問ですね。「『FF VII』の表現がこうだったから、『FF VII REMAKE』ではこうしよう」というような考え方はしていないのです。『FF VII』の開発当時、自分は今ほど掘り下げてエフェクトのことを考えていませんでした。例えば『FF VII』のある敵が、攻撃時に赤色の火を発していたとしても、その赤色に大した意味がない場合もあったのです。今なら「この敵はどこそこで生まれ、こういう武器を使っており、そのエネルギー源はこれだから、赤色の火を発し、煙を上げて爆発する」といったことまで考えます。それが公式の設定でなかったとしても、自分なりの理屈やストーリーは考えるようにしています。だから当時と今の表現は、必ずしも直結しているわけではないのです。

C:『FF VII』の世界を、今の技術で再現するだけではないのですね。

高井:『FF VII』のファンが「何だかちがう」と感じるようなものであってはいけませんが、単にグラフィックスのクオリティを上げるだけでいいとは思いません。より深く考えて、つくっていきたいと思っています。エフェクトチームのデザイナーにも、例えばケアルで回復するなら、ただパーティクルをキラキラ光らせるのではなく「キャラクターの周囲に見えないエネルギーが漂っていて、それを集めて視覚化させたものが、身体に吸収されて光を発する」というようなストーリーを考えながらつくってほしいと伝えています。

▲【上】【左下】 『FF VII REMAKE』トレーラー内のカット/【右下】 『FF VII』のミッドガルイメージCG


C:子供時代に『FF VII』をプレイしていた人が、『FF VII REMAKE』の開発者に志願するケースが多いとおっしゃいましたが、高井さん自身は、どのような思いで『FF VII REMAKE』の開発に臨んでいますか?

高井:私個人にとっての『FF VII REMAKE』は、世代交代的な意味をもつタイトルです。『FF VII』をプレイして育った人が、『FF VII REMAKE』では開発者になり、徐々に重要な役割を担いつつあります。そんな彼らで、新しい形の『FF VII』をつくってほしいです。今回の私の役割はアート全体の方向性や大きめの仕様の決定、皆が仕事をしやすい環境づくりが中心なので、若い人たちが活躍できる場をつくっていきたいです。若いと言ってもボリュームゾーンは30歳前後なので、昔よりは高齢化していますが、まだまだ活躍の余地がある人たちだと思います。

C:そういう若い世代が『FF VII REMAKE』を開発するにあたり、どういうスキルや能力が必要だとお考えでしょうか?

高井:『FF VII』についての知識はそれほど求めていないので、その点は気負わなくていいです。「こうすれば『FF VII』らしくなる」といったことは言語化しづらいですし、北瀬や野村、それから自分が誘導していく部分だろうと思います。それよりも最新の3DCGやツール、世界的にヒットしているAAAタイトルのグラフィックスのクオリティなどを理解している方が活躍しやすいでしょう。

C:「『FF VII』のプレイ経験は大してないけれど、世界中が期待している人気タイトルに参加して、キャリアを磨きたい」という人にもチャンスはあるということでしょうか?

高井:はい。重要なのは、その人の技術やセンス、やる気です。実際、今のエフェクトチームのデザイナーの中には『FF VII』をほとんどプレイしたことのない人もいます。キャラクターの名前や大まかなストーリーくらいは把握していますがね(笑)。『FF VII REMAKE』の開発体制は既にコアの部分は固まりつつありますが、エフェクトは開発の最終工程でのクオリティの底上げを担うセクションなので、まだまだ活躍の場はたくさんあると思います。

パーティクルの動かし方ひとつとってもセンスは伝わる

C:『FF VII REMAKE』の各チームの中でも、特にエフェクトチームのデザイナーは足りていないと事前に伺っていますが、今は何人で構成されているのでしょうか?

高井:今は5人です。最近のAAAタイトルは多くのデザイナーを抱える傾向にあり、自分が知る範囲ではエフェクトだけで10人以上のデザイナーが参加しているタイトルもあります。それに比べればかなり少ないと思います。とはいえ『FF VII REMAKE』では開発環境やデータのつくり方の構築に力を入れているので、スタッフ数を肥大化させず、効率的につくりたいと思っています。

▲『FF VII REMAKE』トレーラー内のエフェクト


C:高井さんが「この人と一緒に仕事したい」と感じる人は、どんな人でしょうか?

高井:優秀な人、活躍できそうな人、見込みのありそうな人は積極的に採用していきたいです。それから一般的な常識や社会性をもっている人がいいなとは思います。あと「エフェクトディレクターを10年間やってきた」という人と、「学校を出て間もないけど、作品にセンスがあり、やる気に満ち溢れている」という人の二者択一であれば、後者を採りたいという気持ちはあります。

C:先ほどおっしゃっていた世代交代を意識しているからでしょうか?

高井:そうですね。「ベテランは駄目」と杓子定規に言うつもりはないのですが、自分のやり方に固執する人だと嫌だなという不安があるのです。お互いに気持ち良く働ける人なら歓迎します。

C:エフェクトチームの主な使用ツールは何でしょうか?

高井:コアとなるツールは、Maya、カスケード(※5)、Houdiniです。サポートでAfter Effectsも使っています。ツールを使えるに越したことはないですが、使えないから参加資格ゼロだとは思わないでほしいです。カスケードを使える人はそれほど多くないと思うので、経験者に限定すると該当する人は絞られてしまうでしょう。入ってから覚えてもらえれば十分です。Houdiniの経験も必須ではありませんが、奥深いツールなので経験者が来てくれると心強くはあります。

※5 Unreal Engine 4のパーティクル編集エディタ。

▲『FF VII REMAKE』トレーラー内のエフェクト


C:応募時には、どんなデモリールを見せてほしいですか?

高井:エフェクトの動画作品があれば一番いいですね。加えて、どの部分を担当したのか、どんな環境でつくったのかも伝えてほしいです。例えばプリレンダーのカットシーンと、キャラクターが大量に出てくるリアルタイムのバトルシーンとでは、エフェクト1個にかけられるリソースが段ちがいなので、当然前者の方がいい見映えになります。それでも限られたリソースの中で色々な工夫をして、技術を駆使していいエフェクトをつくっているのであれば、ぜひ伝えてほしいです。単純に画だけを見てしまうと前者の人を採ってしまいますから。

C:ゲーム開発経験の有無は重視しますか?

高井:必須ではありません。実際、今のエフェクトチームはCGプロダクション出身者が多数を占めています。技術の進歩によって、プリレンダーとリアルタイムの垣根はどんどん低くなっているため、プリレンダーでしかやれなかった表現がリアルタイムでも可能になってきました。『FF VII REMAKE』のエフェクトは、プリレンダー出身者の技術やセンスも十分に発揮できます。

C:プリレンダーとリアルタイム、どちらの出身者も歓迎するというわけですね。

高井:はい。プリレンダー出身か、リアルタイム出身かという点はそれほど重視していません。ざっくり言ってしまうと、その人のセンスを見ています。「これは格好いいよね」と思う価値観が、私やチームメンバー、ゲームのプレイヤーと共有できることが重要です。10人中9人が首をかしげるようなセンスの持ち主だと、ちょっとよろしくありません。作品のパーティクルの動かし方ひとつとってもセンスは伝わるので、素材や技術がつたなくても、センスが光っている人であれば会ってみたいと思います。技術は後からでも教えられますが、センスはその人が生まれ育つ中で、色々なものに影響されて育まれるものなので、なかなか教えることができません。

C:若い人のセンスに驚かされることはありますか?

高井:人によりますね。無難につくる人もいれば、予想外のものをつくる人もいます。いずれにせよ、なるべくその人の個性を生かすようにしています。「ああしろ」「こうしろ」と自分が細かく指示してしまうと、似たようなものばかりになって、新しいものが生まれてこないと思うのです。 

C:素敵なセンスの持ち主が合流してくれることを願っています。

高井:ありがとうございます。若いフレッシュな人も求めたいし、経験豊かな人にも来てほしいです。誰でもチャンスはあると思うので、あまり気負わずに、自分がいいと思う表現、自分のセンスが伝わる作品を送ってほしいです。『FF VII REMAKE』は分作になるので、1作目は1スタッフとして参加したとしても、次作以降でキャリアアップできる可能性があります。向上心のある人にお勧めできるタイトルだとも思います。

求人情報

求人職種

現在、スクウェア・エニックス 第1ビジネス・ディビジョンでは下記職種を積極採用中!!!

■デザイナー
 (1) FF VII REMAKE/キャラクターモデルデザイナー
 (2) FF VII REMAKE/BGデザイナー
 (3) FF VII REMAKE/モーションデザイナー
 (4) FF VII REMAKE/フェイシャルモーションデザイナー
 (5) FF VII REMAKE/VFXデザイナー
 (6) FF VII REMAKE/カットシーンデザイナー
 (7) FF VII REMAKE/ライティングデザイナー

■プログラマー
 (1) FF VII REMAKE/プログラマー

■プランナー
 (1) FF VII REMAKE/バトルプランナー
 (2) FF VII REMAKE/レベルプランナー

>>スクウェア・エニックス 第1ビジネス・ディビジョン採用ページはこちら