>   >  4K HDR制作の需要を見据えた意欲的なラインナップHDRワークフロー構築を後押しするASUSのディスプレイ&小型ワークステーション
4K HDR制作の需要を見据えた意欲的なラインナップ<br>HDRワークフロー構築を後押しするASUSのディスプレイ&小型ワークステーション

4K HDR制作の需要を見据えた意欲的なラインナップ
HDRワークフロー構築を後押しするASUSのディスプレイ&小型ワークステーション

NHK BS4K放送やNetflixのHDRストリーミングなどを背景として、国内でも4K HDR制作への関心が高まりつつある。本稿では、ASUSの4K HDR対応ディスプレイとHDR対応PCについて、実写VFX制作を主に手がけるエヌ・デザインにその使用感を検証してもらった。

TEXT _神山大輝(NINE GATES STUDIO)

ワークフローの試行錯誤に適したコストパフォーマンス

HDR特有の色味を活かした作品を制作するためには対応するモニタ環境が必須だが、ワークフローを試行錯誤する段階である現状では数百万円のマスターモニタ導入は敷居が高い。こうした中、ASUSは30万円以下ながら「Dolby Vision(PQ)」、「HDR-10」、「HLG」の主要3形式に対応したデザイナー向けディスプレイ「ProArt PA32UCX」(以下、PA32UCX)をリリース。新たに発売された同じくデザイナー向けの円柱型PC「Mini PC ProArt PA90」(以下、PA90)と共に、エヌ・デザインの制作スタッフに意見を聞いた。



  • 朝倉 怜
    合成部ディレクター
    エヌ・デザイン

モニタチェックでは、通常業務で用いているSDRモニタとPA32UCXを並べて配置し、NUKEにインポートしたHDR素材とYouTubeアップロード後のHDR動画を題材として色味のちがいを確認。SDRとの最も大きな差は色表現と光源の鮮明さで、白色は白色として滲みなく表示されている。PA32UCXはHDR規格を満たす1,200nitsのピーク輝度を誇り、太陽など強い光源が白く表示される部分や反射光、拡散光の情報量が多い。「慣れていると気づかないですが、一度PA32UCXでプレビューをした後に従来のSDRモニタに戻ると、フィルタを1枚挟んで見ているような感覚になります。PA32UCXは輝度が高く、色の表現という意味でもまったく問題ないので、低コストにHDR環境を整えるなら有望な機種だと思います」と岩崎朋之氏(第2デザイン部ディレクター)。今後HDRでルックを確認する必要のある案件では、NUKEのノードツリーをSDRモニタに表示し、同時にモニタアウトを用いてHDRプレビューを行うという運用も視野に入れているという。



  • 岩崎朋之
    第2デザイン部ディレクター
    エヌ・デザイン

このように、ディスプレイやノートPCの印象が強いASUSだが、一方でプロクリエイター向けのPCラインナップも存在する。「PA90」は第9世代Intel CPU搭載のMini PCで、小型筐体ながらQuadro P2000(もしくはGeForce RTX2060)搭載モデル。水冷仕様のため静音で、筐体上部には独自の排熱機構をもつ。V-Ray Nextを用いたレンダリング検証では、エヌ・デザインが業務に使用しているPCよりも良好な結果が得られており、CPUベースでの業務の多いコンポジットなどの作業に向いている。可搬性とデザイン性に優れ、4K出力も可能である点から、「クライアントチェックの機会に最適なPC」とも言えそうだ。

グローバルマーケットを見据え、デザイナー向けに意欲的な製品を開発し続けるASUS。いまだワークフローの試行錯誤が続くHDRプレビュー環境を確かに支える技術力をもつ同社の今後に大いに期待したい。

Topic 1:ProArt PA32UCX

4K HDRの実力

スチール撮影においては一般ユーザーにも広く浸透しているHDR技術だが、PA32UCXのような制作用モニタで4K HDR映像をプレビューできる環境は少ない。「コントラストが高く、黒は黒、白は白で精確に表示できる」、暗い部分の鮮明さと激しい光源の白飛びを抑える特徴を併せもつHDRだが、特にわかりやすいのはビル群の夜景のシーン。SDRでは全体的にぼんやりとグレアがかかったように光ってしまう夜景も、HDRであればパキっとした光源が確認できるほか、水面の反射も非常にわかりやすくなっている。電球の映像では、ガラス素材がクリアに映っているように見えており、フィラメントの雷状のエフェクトもぼやけが少なくソリッドに表示されている。

▲ProArt PA32UCXでHDR表示したビル群の夜景<左>、電球<右>


  • ProArt PA32UCX-K(X-rite i1 Display Pro 付属モデル)
    価格:299,800円+税
    パネルサイズ:32型ワイド 16:9
    広色域対応:89% Rec.2020,99.5% Adobe RGB, 99% DCI-P3 and 100% sRGB
    最大解像度:3,840×2,160(4K UHD)
    輝度 : 600 cd/㎡(Typical)/1,200 cd/㎡(Peak)
    最大表示色:約10億7,374万色/コントラスト比 :1,000 :1(Typical)
    1,000,000 :1(HDR)
    HDR対応 :HDR-10/HLG(HybridHDR対応 :HDR-10/HLG(Hybrid Log Gamma)Log Gamma)
    Dolby Vision
    映像入力端子:Thunderbolt 3 USB-C x2(In x1, Out x1)、HDM(I v2.0b)×3、DisplayPort 1.2
    https://www.asus.com/jp/Monitors/ProArt-PA32UCX/

Topic 2:Mini PC ProArt PA90

可搬性に優れ、スペックも十分のミニPC

PA90はわずか5.2kgという軽量のミニタワーで、水冷と独自の排熱機構による静音性と優れたデザインが特徴。デザイナーの普段使いのPCとして用いるだけでなく、可搬性の高さを活かしてクライアントチェックの現場やライブ会場に持ち込むなどの活躍が見込める(こうした場合、大型のワークステーションではなくスタイリッシュな筐体デザインであるのもポイントとのこと)。Intel Core i9-9900K、メモリ32GBが標準スペックで、GPUはQuadro P2000とGeForce RTX 2060を選択可能。エヌ・デザインのリードデザイナーが用いるメインPCとの比較検証としてV-Ray Nextによる実写映像のレンダリングを行なったが、CPU性能とSSD速度に起因してか、レンダリング時間はわずかにPA90の方が早いという優良な結果も得られている。CPU依存度の高いNUKEでの作業などに適性があり、最終のアウトプットに近い工程で特に力を発揮するだろう。





  • Mini PC ProArt PA90
    価格:300,000円前後+税
    OS:Windows 10 Pro/CPU:Intel Core i9-9900Kプロセッサー
    GPU:NVIDIA Quadro P2000またはGeForce RTX 2060
    メインメモリ:32GB
    ストレージ:512GB SSD
    外部ディスプレイ出力端子:DisplayPort 1.4×4(Quadro P2000モデル)
    HDMI 2.0×2、DisplayPort 1.4×1(GeForce RTX 2060モデル)
    https://www.asus.com/jp/Mini-PCs/Mini-PC-ProArt-PA90/

問い合わせ先

Profileプロフィール

エヌ・デザイン

エヌ・デザイン

写真左から 朝倉 怜氏(合成部ディレクター)、岩崎朋之氏(第2デザイン部ディレクター)

2001年設立。実写映画やTVドラマを中心に多くのCG・VFX を手がける。最近の参加作品は映画『Diner ダイナー』、TVドラマ『ひみつ×戦士 ファントミラージュ!』など。また、CG 制作の専門学校である3DCG スクール[Alchemy] の運営も行なっている
http://www.ndesign.co.jp/

スペシャルインタビュー