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最大32コア/64スレッドを搭載し、メニーコア時代の旗手とされるAMD Ryzenシリーズ。今回はパソコン工房の機材協力の下、オレンジのVFXチームを率いる山本健介氏に、Autodesk 3ds Maxの主要プラグインによるパフォーマンス検証を実施してもらった。

TEXT _神山大輝(NINE GATE STUDIO)


Product Info

▲パソコン工房 CG・映像制作者向けブランド「CG・MOVIE GARAGE」販売サイト。本企画でトランジスタ・スタジオ、LiNDAが検証したPCが紹介されている。各ラインナップともに、目的に合わせて余分な構成は省き高いコストパフォーマンスを実現している。今後さらなるラインナップが登場予定だ >>>製品紹介ページはこちら






  • TVアニメ『BEASTARS ビースターズ』



    原作:『BEASTARS』板垣巴留(秋田書店『週刊少年チャンピオン』連載)
    監督:松見真一
    キャラクターデザイン:大津 直
    CGチーフディレクター:井野元英二
    制作:オレンジ
    bst-anime.com

第3世代Ryzen 9 搭載モデルが最も優良なパフォーマンスを発揮

2017年の登場以降、わずか2年で主要CPUの座に登り詰めたAMD Ryzenシリーズ。これまでもコストパフォーマンスやマルチスレッド性能の優秀さから販売数を伸ばしていたが、メニーコアが一般的になって久しい現代において最大32コアを誇るThreadripperや12コアのRyzen 9の需要がさらに高まっている。今回はオレンジにてVFXチームを率いる、山本健介氏とパソコン工房の協力の下、第3世代Ryzen 9 3900X搭載の「アドバンスモデル」、第2世代Threadripper 2990WX搭載マシンの「プロモデル」を使い、Autodesk 3ds Maxによるエフェクトシミュレーションならびにレンダリングに要する時間を計測。両モデルの使用感を聞いた。

  • 山本健介/Kensuke Yamamoto

検証機はアドバンスモデルがRyzen 9 3900X(3.8-4.6GHz/12コア24スレッド)、GeForce RTX 2080 Ti、メモリ64GBという構成で、プロモデルはRyzen Threadripper 2990WX(3.0-4.2GHz/32コア64スレッド)、TITAN RTXとなっている。一方、山本氏のPCは、Intel Core i7-9700、GeForce RTX 2060、メモリ64GBというスペック。検証は、<1>FumeFXによる爆炎のエフェクト、<2>TVアニメ『BEASTARSビースターズ』本編カットのシーンファイルを使ったtyFlowによるパーティクルエフェクト(テスト用にパーティクル量を増加)、<3>Stoke MX 2による約2,000万という大ボリュームのパーティクルシミュレーションを実施。各々のシミュレーションやレンダリングに要した時間を計測しつつ、3ds Maxを操作する際のFPS値を 検証した。結論としては、全ての検証で第3世代Ryzen 9搭載のアドバンスモデルが優良な結果を示した。

「Ryzen 9は、軽いシーンの方が全体的な動作が速い印象がありました。Ryzen 9もThreadripperも、普段使いよりも2割増しのパフォーマンスで使える感覚でしたし、AMD Ryzenシリーズが3ds Maxと各プラグインにも対応していることがわかりました。今回は個人的な興味もあって、普段の業務ではまず行わない、非常に大ボリュームの設定(※約10倍とのこと)で検証したのですが、むしろ通常業務程度の設定の方がRyzenシリーズのパフォーマンスを引き出せたかもしれません」(山本氏)。

メニーコアをフルスペックで使用するためには、例えばリモート環境で作業を行う場合はネットワークを高速化する、コアあたりのメモリ割り当てを考えて大容量メモリを搭載するなど、相応の環境整備が必要である。そして、使用するDCCツール側の対応状況も関係してくる。その意味では、AMD Ryzenシリーズのメニーコアの真価は、今後さらに発揮されていくはずだ。そして何より嬉しいのは、今回の検証を通じてCPU、GPU共にメーカーのちがいを気にせず組み合わせて使うことができることを確認できたことだ。もちろんトラブルが発生した際の問い合わせの手間は増えるかもしれないが、数年前に比べてクロックのちがいやUSBの相性問題などは劇的に減っている。BTOでの選択肢が増えれば、最適なPC選びが捗るようになる。まもなく導入される新世代(第3世代)のThreadripperをはじめ、今後の展開にも期待せずにはいられない。

Autodesk 3ds Max 主要&要注目プラグインによるシミュレーション&レンダリング



Topic 1:FumeFX ボリュームエフェクト

定番エフェクトプラグインFumeFXによる検証では、爆炎のシミュレーション結果が出力されるまでの時間を計測。オブジェクトソースで選択した球状のオブジェクトを中心に配置して燃料を噴出、固めの煙と共になるべく空間に留まるような設定に調整した上でシミュレーションを開始(ボクセルの解像度は362×400×500)。それぞれのマシンでのファーストフレーム書き出し開始からラストフレーム書き出し終了までの時間を確認し、所要時間を比較した。1位は、第3世代Ryzen 9搭載モデルの33分、次点は山本氏のPCで35分。Threadripper搭載モデルは、第2世代ということもあってかCPUパワーをフル活用できず、45分という結果になった。ソフトウェア側の対応状況などの兼ね合いもあるため、今後の周辺環境のアップデートによる改善を期待したい。

Topic 2:tyFlow パーティクルエフェクト

オープンベータ版ながら、その優れた表現と扱いやすさから注目をあつめるtyFlow。『BEASTARS』本編に登場するシシ組ボスが頭を撃ち抜かれるダメージ表現のパーティクル処理を、放送時の約10倍(約20万パーティクル)という大ボリュームに変更した上でシミュレーション&レンダリングを実行した。1位はRyzen 9の11分、次いで山本氏PCの14分。ここでもThreadripperはメニーコアの真価を発揮できず、15分という結果に。ただし、3台とも他の検証に比べると短時間で処理を終えており、tyFlowはパーティクルのシミュレーションがその都度演算されることからCPUスペックが結果に直結したと言える。

▲図はRyzen 9搭載モデルのtyFlowビューポート。山本氏が普段使用しているPCでは平均60FPSであるのに対して、本モデルは平均80FPSという非常に軽快な表示であった

Topic 3:Stoke MX 2 パーティクルエフェクト

Stoke MX 2の検証では、約2,000万個のパーティクルシミュレーションを実施。前出のFumeFXで作成したベロシティ情報を利用してパーティクルを生成し、1フレームごとに10万ずつパーティクルを描画する(=200F目で2,000万個に達する)という徐々に負荷が重くなっていく設定だ。1位は、Ryzen 9の18分、次点はThreadripperの19分、山本氏のPCは24分という結果になった。なお、シミュレーション後にKrakatoaによるレンダリングの検証も行われたが、Threadripper搭載モデルについては12時間以上かかってしまうなど、プラグイン側の互換性に問題がある可能性が高かったため割愛した。メニーコアについては、DCCツール側の対応がこれからであることを実感した次第だ。

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