[PR]

コロナ禍への対応としてリモートワークが増えているが、スムーズに移行できたプロダクションに共通するのが、以前からクラウドサービス等の検証に取り組んでいたことが挙げられる。「Teradici Cloud Access Software」を導入したポリゴン・ピクチュアズの事例を紹介する。




  • 日本総代理店:株式会社 エルザ ジャパン




TEXT _安田俊亮 / Shunsuke Yasuda
PHOTO_弘田 充 / Mitsuru Hirota

アーティストを満足させるTeradiciのレスポンス

2017年に掲げられた中期5ヶ年計画「PPI Vision2022」の下、システム部ではリモート環境を実現するツールをリサーチすることになる。その中で、社内のインフラ整備を担当するシステム第2グループのリーダー横山義則氏、ユーザーサポートを担当する第1グループのリーダー椎名 拓氏らが出会ったのがリモートデスクトップツール「Teradici Cloud Access Software」(日本総代理店:エルザ ジャパン)だ。「Teradiciは、回線速度さえ確保できれば、高解像度でも実作業と変わらないほどレスポンスが速いんです。それと、大画面で動画を再生したとき、止まったりノイズが走ったりせずに違和感がありません。この2点はとても大きかったですね」(横山氏)。

日本を代表するデジタルアニメーションスタジオであるポリゴン・ピクチュアズ(以下、PPI)。同社は、リモート環境に「比較的スムーズに移行できた」スタジオのひとつだ。その主な理由として、元々「業務をリモートで完結できるようにする」というビジョンを掲げていたことがある。パイプラインのコア機能やワークステーションをクラウド上に構築し、全ての業務をリモートで行うようにする。その最大のねらいは、優秀なアーティストの才能を場所や時間にとらわれずに活かすためだ。リモートワークを実現することで家庭の事情で地方や海外に住む必要があったり、時短勤務が必要だったと しても、才能豊かなアーティストがプロジェクトに参加できる、というわけだ。


  • 横山義則氏


    株式会社ポリゴン・ピクチュアズ
    www.ppi.co.jp
    システム部 システム第2グループ リーダー

VES(全米視覚効果協会)が策定したリモートワークのガイドラインにTeradiciも採択されていることなども後押しとなり、2019年12月には5ライセンスを試験導入。ここから、本来であれば2年ほどをかけて徐々に全体をリモート化する予定だったのだが、2020年に入ってから状況が一変した。特に大変だったのが、3月末だ。このとき、PPIは4月からの全社員の勤務をリモートワークに切り替えることを決定。そのため急遽、3営業日でTeradiciを追加で180ライセンス導入することになり、一気にリモート化を広げていく。「それでも、事前に試験導入していたことで大きなトラブルなくセットアップできました。4月に入ってからもアーティストからの問い合わせは想定よりも少なく、『仕事を止めることなく継続できて良かった』と言ってくれる方もいました」(椎名氏)。


  • 椎名拓氏


    株式会社ポリゴン・ピクチュアズ
    www.ppi.co.jp
    システム部 システム第1グループ リーダー

リモートワーク体制強化は今後さらに積極的に

とは言え、課題もあった。例えば、緊急的に対応したためにコネクタの構築が間に合わず、セキュリティを担保するために最初はVPN経由で接続していたこと。「応急処置的な対応でしたが、アーティストの環境によっては通信速度が出ずに不満の声が上がっていました。4月中になんとかコネクタの構築を終えて本来あるべき環境にできました」(椎名氏)。コネクタ接続が可能になってからは、レスポンスが「劇的に改善した」と報告があったそうだ。またライティングやコンポジットといったよりシビアに色調整が求められる工程では、約30名のアーティスト向けにキャリブレーションモニタを自宅へ送ることで対応。色精度についてはTeradiciが用いるPCoIPの次世代プロトコル、PCoIP Ultraを導入する方法もあったが、検証不十分ということで今回は見送ったという。「一方で、アーティストの反応が良かったのがペンタブレットの筆圧検知が上手く動作したことです。Teradiciは、ワコム製品のドライバにも対応しています。実作業に支障が出なかったことで、ここを便利と感じる方が多かったようです」(椎名氏)。

▲取材時(2020年7月下旬)のPPIスタジオの様子。現在もリモートワーク主体で制作業務が行われている

結果としてPPIは緊急的にリモートへの移行を進めたが、事前の構想もあり、今後はよりリモートワーク体制を強化していく考えだ。8月からは「リモートワーク一次フェーズ」と銘打ち、まず70名ほどいるアーティストの一部は自席を開放し、40席をフリーアドレス化する。フルリモート、リモートと出社の併用をアーティスト自身が選び、社内にいてもTeradici経由で自身の作業環境を立ち上げるようにする。すでに実施されたリモートワークによって、遅刻や出社のストレスがなくなり、人によってはグッとパフォーマンスが上がった場合もある。現在も編集作業に使用し、Teradiciには未対応のMacを今後どう運用していくかなどの課題もあるが、PPIとしては「リモートワークを積極的に活用し、プロダクションを変革していく方針にかじを切った」という。Teradiciによって切り開かれる、ニュー・ノーマルのデジタルアニメーション制作の未来に期待したい。

POINT1:PPI Vision2022ワークフローとワークスタイル概念図

2017 年に社内で策定された中期5 ヶ年計画「PPI Vision 2022」において、2022 年に向けた新しいワークフロー& ワークスタイルを定義。クラウドセントラルなパイプラインシステムの構築とアーティストの多様な働き方を支援するインフラ環境(クラウドスタジオ)の実現を目標に掲げた。この目標に向けた取り組み・準備の中でTeradici の検証も行い、今回の非常事態におけるリモートワーク環境の構築に役立つ結果になった

POINT2:Teradiciのネットワーク概念図

PPI が導入したTeradici によるリモートワークのシステム構成図。各アーティストはリモート(自宅)と社内(フリーアドレス席)の両方の環境で、Teradici Client Software を使用して自分のワークステーションマシンにリモート接続を行う。社外から社内へのアクセスには、セキュリティポリシーでMFA(多要素認証)を用いる社内ルールがあり、Cloud Access Manager やConnectorの利用に加えて、Radius サーバを経由してGoogle Authenticator からワンタイムパスワードを発行するしくみを独自に構築


問:Too デジタルメディアシステム部
〒105-0001 東京都港区虎ノ門3-4-7 虎ノ門36 森ビル
dms@too.co.jp