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いまや3DCG制作はリモートで行う時代になりつつある。その先駆けともいえるプラットフォーム「CGクラウド」を展開するTANOsimはいち早くバーチャルヒューマン「葵プリズム」をCGクラウドベースで開発・発表し、注目を集めてきた。CG制作の先端を行く彼らの目に、RazerのノートPC「Razer Blade 15 Advanced Model」はどのように映るのか?同社でディレクターとしてプロジェクトをまとめる横佩(よこはぎ)まさる氏に、本機の実力を聞いた。

TEXT _神山大輝(NINE GATE STUDIO
PHOTO _弘田 充


葵プリズムTwitter:twitter.com/Aoiprism
葵プリズムInstagram:www.instagram.com/aoiprism

数多くのクリエイターが得意なことを持ち寄ってつくりあげた
バーチャルヒューマン「葵プリズム」

CGWORLD(以下、CGW) :まずは自己紹介をお願いいたします。

横佩まさる氏(以下、横佩) :ディレクターの横佩と申します。学生時代からCGツールに触れていて、大手アニメ会社などを経て2018年に同社に入社しました。私がこの仕事を始めた時代はまだ3DCG制作が今ほど分業化されていませんでした。企画書があって、「CGをつくって下さい」という指示の基、モデリングからコンポジットまでを全てやるような仕事をしている中でゼネラリストとしての力を付けました。学生時代にテライユキ(1998年に登場したバーチャルキャラクター)の写真集をつくるような仕事をしていて、最近はVTuberの立ち上げ事業なども行なってきましたので葵プリズムも自分のなかでは地続きな仕事かな、と思って取り組んでいます。同社では、「いまはネットワークを通じてCGをつくれる時代」であるという考えのもと、クリエイターのマッチングプラットフォームであるCGクラウドというサービスを使ってコンテンツ制作を行なっています。

CGW :CGクラウドとは、具体的にどういったプラットフォームなのでしょうか?

横佩 :CGクラウドはCGクリエイターとクライアントをつなぐためのプラットフォームで、現在は世界中に880人以上のクリエイターが登録をしています。有名スタジオの副業で登録している方も多く、カナダなどから登録してくれているクリエイターもいます。TANOsimにはディレクターとPMが在籍していて、我々とCGクラウド側のクリエイターがチームを組んでプロジェクトにあたるという仕組みで制作を行なっています。

CGW :世界初のバーチャル‟ギャル"モデルとして活躍している葵プリズムですが、TANOsimとしてはどういった関わり方をされているのでしょうか?

横佩 :Instagramやファッションのカルチャーに強いyutori と共同で制作したキャラクターで、もともと「CGとファッションでなにか新しいものをつくれないか?」という発想からスタートしたキャラクターです。当時は世界的にも珍しかったバーチャルヒューマンを国内で展開しようというかたちで、当社が企画から制作を行いました。

葵プリズムのInstagram投稿。
【左】7月10日の投稿。1999年代後半~2000年代にかけてティーンから人気を博したブランド、エンジェルブルーとのコラボで復刻シリーズアイテムを着用。
【右】8月7日の投稿。4月より大阪にあるショッピングモール「HEP FIVE」の広告モデルに起用。

横佩 :制作チームは約20名で、3DCGだけでいえば10名程度です。クリエイターのスキルや得意な表現に合わせて髪の毛や顔のパーツなど細かく作業を振り分けて制作しました。CGクラウドには「この人にお願いしたらどうなるかわからない」というクリエイターはおらず、スキルセットも明示化されているので、細かく分業化を行なったとは言いつつも発注の精度は高く保っています。システム化して対応というよりは、クオリティを追求するがゆえにこういった座組になっています。当社は分業自体にも慣れていますので、その辺りは事前に徹底して仕様書に落とし込んでいます。クリエイターがそれぞれ得意なことをやっているという印象でしたね。

CGW :葵プリズムプロジェクトはどのような目的で始まったのですか?

横佩 :バーチャルとリアルの境目を面白く演出したいというコンセプトで始まりました。現代のリアリズムやバーチャルをうまく表現したいというところで、まずはインパクトのあるキャラクター性を考え、現代バージョンのギャルをつくろうということになりました。"発信する"ということに重点を置いて、いまの若い世代の代表となる存在を作りたいんです。どうやったら当たるか? とかは実は考えていなくて。自分たちが表現したい感覚と、Instagramという場所、発信のしやすさを合わせたら必然的にギャルというキャラクターになりました。

CGW :プロジェクトにおいて、具体的に横佩氏はどういった役割を担っていたのでしょうか?

横佩 :主にはディレクション面で、撮影以外の全部を見ていました。素材を確認してレビューを行い、合成に向いているかどうかをジャッジする役割が大きくて、例えば顔の前の移り込みや背景の反射など、違和感が出たり合成の際に処理が大変そうな部分をあらかじめ潰しながら、その辺りがクリアになったデータを作業者にお渡しするというかたちです。

レンダリング時間が1/3に!
Razer Blade 15 Advanced Modelの実力

CGW :今回は横佩さんにRazer Blade 15 Advanced Modelをお使いいただきましたが、まずは率直にご感想をいただけますでしょうか?

横佩 :いろいろとツールを入れて試してみましたが、まず最初に感じたのはMayaのビューポートのレスポンスがものすごく早くて快適であるということ。Mayaでの作業はほとんどストレスなくやれるのかなと思いましたし、そういう意味ではスペックは強そうだなというのが第一印象でした。例えばワイヤーフレームからOpenGLに切り替えて描画する際などは通常少し時間が掛かるものですが、そこがパッと切り替わってくれるなど、CPU、GPU両面のパワーもあって快適でした。

CGW :GPUはノートPC向けに刷新されたGeForce® RTX™ 2080 SUPER™ Max-Qで、VRAM容量も8GBあるため、そこが効いているのかも知れませんね。ビューポート以外の部分はいかがでしたでしょうか?

横佩 :同じくMayaでいえば、データ展開が従来機(※)であれば11.8秒掛かっていたところ、Razer Blade 15 Advanced Modelでは7.6秒と、実測値でかなりの差が出ました。あとは、レンダリング時間も短縮されています。今回はArnoldのレンダリングを試しましたが、従来は11分14秒ほど掛かっていたシーンが3分48秒まで短縮しました。レンダリングって、作業者側の工夫では大幅な短縮はできないんですよ。だから、スペックが高いことはそのまま効率化に繋がっているんですね。1フレームに30分掛けていた時代を知っているので、そこから考えればものすごく快適な時代になったかなと思います。

※従来機のスペック
CPU:Intel® Core™ i7-1065G7 プロセッサ、GPU:GeForce® GTX™ 1660 Ti、メモリ:32GB、VRAM:6GB

  • モデル
  • Razer Blade 15 Advanced Model
  • CPU
  • Intel® Core™ i7-10875Hプロセッサー
    8コア/16スレッド
  • GPU
  • GeForce® RTX™ 2080 SUPER™ Max-Q
  • メモリ
  • 16GB以上
    (最大64GBまで拡張可能)
  • VRAM
  • 8GB GDDR6
  • ストレージ
  • 1TB SSD
    (最大4TBまで拡張可能)
  • ディスプレイ
  • フルHD(300Hz)
    または4K 有機EL

CGW :Maya以外のソフトウェアではいかがでしたか?

横佩 :Substance Painter、Substance Designer、それとSubstance Alchemistを検証機で実際に動かしました。これもGPUの恩恵で、ビューポートの処理が早いのが第一印象です。Substance Alchemistのプリセットをカスタマイズする際など、従来の環境から比べると数値入力からの画面切り替えが明らかに速いです。あとは、我々はブラウザを開きながらDCCツールを触るというシーンが多いと思うのですが、Razerの場合は管理ソフトウェアがあり、メモリ周りをうまく制御してくれているのかなという印象がありました。

CGW :その他、筐体やインターフェイス周りはいかがでしょうか?

横佩 :この性能でこの軽さは充分だと思います。重さと性能は比例すると思っているのですが、やれることに対して考えるとあり得ない軽さだなと。我々は外で作業をすることもかなり多いので、ここは助かりますね。負荷の重いレンダリングなどはデスクトップPCでやりますが、今時はクラウドでデータ管理もできますので、実作業はノートPCでもできるようにしておきたいというのが僕のスタイルです。その意味では、なるべく高いスペックのノートPCを持ち歩きたいですね。

横佩 また、USB Type-Cに対応していながら、一般的なUSB Type-Aポートもあり、それが左右に振り分けられているので接続面も考えられているなと思いました。ストレージも実写系でなければ1TBは必要十分ですし、データもクラウド管理が基本であれば、良いバランスのPCだと思いますね。

CGW :ゲーミングPCへの印象はいかがでしょうか?

横佩 :ハイエンドなノートPCを探そうとすると、実は今は結構ゲーミングPCベースなものが多い。というよりも、ゲーミングPCがクリエイティブの業界にすごく食い込んでいて、そちらが買いやすいという印象になっています。このように選択肢が広がったことは、すごく良いことだと思っています。

CGW :ありがとうございました。

問い合わせ先

Razer Inc.
公式サイト:www2.razer.com/jp-jp
メールアドレス:contact-japan@razer.com
お問い合わせフォーム:mysupport-jp.razer.com/