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2021年8月、サイバーエージェントによる新たなCGコンテスト開催が発表された。それが「CG Grand Prix "3D Cross" powered by CyberAgent」だ。本コンテスト最大の特徴は、3Dコンセプトアーティスト・スカルプターとして世界で活躍する岡田恵太氏モデリングのドラゴンとの"コラボ"が課題となっていること。さらに部門はキャラクターモデリング、背景モデリング、キャラクターモーション、エフェクトと4つ設置され、それぞれ岡田恵太氏、鈴木卓矢氏、若杉 遼氏、秋山高廣氏という各分野のスペシャリストが審査員に名を連ねている。学生を対象に、「次世代を担う3Dデザイナーを発掘する」とのねらいで開催されるコンテストにはどのような思いが込められているのか。主催者と審査員に詳細を聞いた。
TEXT_安田俊亮
<Information>
「CG Grand Prix "3D Cross" powered by CyberAgent」
開催部門:キャラクターモデリング、背景モデリング、キャラクターモーション、エフェクト
応募期間:2021年8月13日(金)~10月31日(日)
ノミネート発表:2021年11月8日週予定
最終結果発表:2021年11月21日(日)12:00~15:00
https://www.cyberagent.co.jp/careers/students/3dcross/
<ORGANIZER>
▼staff01
-
庄司拓弥/Takuya Shoji(QualiArts, Inc.)
Creative director
2009年東京藝術大学美術学科デザイン学部卒業後、CyberAgentに新卒入社。
デザイン事務所への転職したのち再びCAに入社。
複数のゲーム開発を経験し、現在はゲーム事業部の3Dの責任者兼、株式会社QualiArtsのCreative責任者として開発運用に携わる。
qualiarts.jp
▼staff02
-
邑上貴洋/Takahiro Murakami(Applibot, Inc.)
チーフエフェクトアーティスト。WEBディレクター、FlashDeveloperとして映像系WEB制作会社に従事。2013年にサイバーエージェントグループの株式会社アプリボットに転職し、2Dアニメーションチームリーダーを務める。2015年から3Dのプロジェクトが立ち上がり、3Dエフェクト制作を開始し、『BLADE XLORD―ブレイドエクスロード―』や、新規開発プロジェクトのエフェクト仕様策定からテイスト制作に携わっている。また、デジタルハリウッド吉祥寺校にてゲームエフェクト講師にも従事
www.applibot.co.jp
現場を意識した実践型コンテスト
各部門で業界屈指の審査員を揃える
CGWORLD(以下、CGW):今回、本コンテストを開催するにいたった理由を教えてください。
庄司拓弥氏(以下、庄司):理由は2つあります。ひとつは、サイバーエージェントには様々なグループ企業があって、例えばスクウェア・エニックスと共同制作した『NieR Re[in]carnation』などリッチな3Dゲームを開発するアプリボットもそうです。そういったことをもっと知ってほしい。本社自体にもゲーム部門がありますし、グループ全体を中心に、3DCGの開発案件がどんどん増えています。コンテストをきっかけとして「サイバーエージェントは3DCG分野にもしっかり取り組んでいる」とのイメージをより広く持ってもらいたいと考えました。
CGW:ブランディング的なねらい、ということですね。
庄司:そのとおりです。もうひとつは、学生さんにとってもメリットのあるものにできると考えたからです。サイバーエージェントとしては初めて学生向けのコンテストを開催するのですが、他のコンテストにはない特徴として岡田恵太さん、つまりプロ中のプロのモデルデータを使うこととしました。
邑上貴洋氏(以下、邑上):つまり、コンテスト名の"Cross"に込めたように「プロとコラボできる」ということです。同じような機会はなかなかないと思いますし、岡田さんがつくった生データに触れるだけでも勉強になるのかなと。完成度のある作品に自分の作品を足して、全体のクオリティをさらに上げていく楽しさをぜひ味わっていただきたいですね。
庄司:もちろん、そこで出てくる未知の作品、クリエイターに出会いたいとの思いもあります。そうして切磋琢磨したなかから、将来的にわれわれの仲間になってくれるメンバーが出てきたらさらに嬉しいですね。
CGW:今回、コンテストという形式を選んだ理由は?
庄司:私自身、社内外で様々な取り組みに関わってきましたが、とりわけコンテストは学生さんの熱量がものすごいんです。3Dを学んでいる方にとって、そうした熱量を引き出せるのがコンテストなのではと以前から考えていました。特に今回は、プロのデータに触れたり、プロのフィードバックを受けられます。自分が学生だったら興味を持つだろうなと思って、コンテスト形式にしました。
CGW:フィードバックといえば、審査員の方と直接お話できる機会もあるんですよね?
庄司:あります。結果発表はオンラインライブを予定していて、結果発表後にノミネートした方と審査員との質疑応答の時間を設けようと考えています。オンラインにはなりますが、ここでいろいろとお話いただけます。
CGW:今回は4つの応募部門があるところも特徴です。それぞれポイントを教えてください。
邑上:キャラクターモデリング、背景モデリング、キャラクターモーション、エフェクトの4つですね。これは、実際の現場の職種を意識してのことです。できるだけ現場に近いかたちで、分野ごとにスポットライトを当てられたらなと思いました。
庄司:どの応募部門でも共通しているのは、用意されたドラゴンのモデルを使用することです。ドラゴンにはポージングをいくつか用意していて、アングルや大きさ、配置などをどうするかは自由です。
キャラクターモデリング部門では、ドラゴンに対峙するキャラクターのモデリングスキルを見ます。キャラクターの範囲は制限なしで、クリーチャーでも人間でも構いません。ポージングも含めた画づくりを提出していただきます。審査員はドラゴンをつくっていただいた岡田さんにそのままご担当いただきます。
背景モデリング部門は、ドラゴンと背景モデリングの組み合わせです。荒れ果てた荒野や神殿でもいいですし、もっと近代的な場所でも構いません。背景を主役に、ドラゴンをどう扱うのか。自由にコンセプトを立てて、オリジナリティのある画を求めます。審査員は株式会社SAFEHOUSE取締役、モデリングスーパーバイザーの鈴木卓矢さんです。
キャラクターモーションは、ドラゴンにモーションを付けてシーンをつくってもらいます。キャラクターの追加は自由です。ドラゴンにはシンプルなリグを入れていますが、やりやすいようにリグを足すなどしても大丈夫です。前の2部門とちがって映像での提出です。審査員はSony Pictures ImageworksでCGアニメーターとして活躍する若杉 遼さんにお願いしました。
最後のエフェクト部門はUnityを使用します。Unity内の機能であれば全て使用可能です。Visual Effect GraphやShader Graphを追加するなどして、どんどんカスタマイズしていただいて構いません。審査員は合同会社フライポット代表、エフェクトアーティストの秋山高廣さんです。
CGW:作品制作における注意点はありますか?
邑上:今回はゲーム制作を意識しているので、ポリゴン数やテクスチャ数に制限を設けました。実際にゲームとして動かせるくらいの制限ですが、そのなかで何ができるか、アイデアを巡らせていただきたいなと思います。
CGW:今回は学生の方が対象ですが、学生以外で応募資格の制限はありますか?
庄司:特に設けていません。小中高生の方もOKですし、就業経験があって改めてCGを学んでいる、という方でも大丈夫です。
CGW:応募作品や学生の方に期待することはありますか?
庄司:オリジナリティは特に大切にしたいですね。ドラゴンというテーマに対して、自分なりにどう解釈して、コンセプトを打ち出していくか。作品のなかにオリジナリティが感じられるかどうかは、評価軸のひとつにしたいなと思います。見せ場があって、作品で語れるようなものを見てみたいですね。
邑上:私は、今回のコンテストをぜひご自身のステップアップに使ってほしいなと思っています。勉強にもなるし、自分を高められるチャンスとして野心的にチャレンジしていただければ。ゲーム業界を目指す方はもちろん、コンテストに挑戦して「ゲームづくりってこんな感じなんだ」と興味を持ってもらうこともコンテストのねらいです。
<JUDGE>
▼staff03
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岡田恵太/Keita Okada(Villard Inc.)
デジタルスカルプター、3Dコンセプトアーティスト。1991年7月生まれ、広島県出身。2012年大阪の専門学校を卒業後、大阪のゲーム会社に就職。2013年に退職し上京した後、1年ほど建設現場の作業員(荷揚げ屋)などをしながらZBrushを独学で習得し東京のゲーム会社へ就職。2015年からフリーランスとなり、PS4用ゲームのDLC『Bloodborne The Old Hunters』をはじめ主にクリーチャーなどのコンセプトモデルを手がける。2017年3月、新会社「Villard」を設立
www.artstation.com/artist/yuzuki
www.villard.co.jp
▼staff04
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鈴木卓矢/Takuya Suzuki(SAFEHOUSE)
株式会社SAFEHOUSE 取締役/モデリング・スーパーバイザー
1980年生まれ。大学卒業後、スクウェア・エニックス ヴィジュアルワークスに入社。その後、アメリカに渡りBlizzard EntertainmentのCinematics Divisionでシニアアーティストとして背景デザインからモデリングまでを担当。2014年に活動の場を日本に移し、都内のCG制作会社にてEnvironment&Propsのモデリングスーパーバイザーとして勤務。2018年、ドイツでリアルタイム映像制作で活躍しているアートディレクターErasmus Brosdauと共同で日本にCGプロダクションSAFEHOUSEを設立する。自身のさらなるスキルアップのためにフリーランスの背景モデラーとしても、実写、フルCG、アニメなど幅広く活動中。
Twitter:@CGWjp
▼staff05
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若杉 遼/Ryo Wakasugi
2012年にサンフランシスコの美術大学Academy of Art Universityを卒業後、Pixar Animation StudiosにてCGアニメーターとしてキャリアを始める。2015年にサンフランシスコからカナダのバンクーバーに移り、現在はSony Pictures Imageworksに所属。CGアニメーターとしての仕事の傍ら、CGアニメーションに特化したオンラインスクール「AnimationAid」を創設、現在も運営のほか講師としてクラスも教えている。これまでに参加した作品は『アングリーバード』(2016)、『コウノトリ大作戦!』(2016)、『スマーフ スマーフェットと秘密の大冒険』(2017)、『絵文字の国のジーン』(2018)、『スモールフット』(2018)、『スパイダーマン:スパイダーバース』(2019)など
●若杉遼 ブログ わかすぎものがたり
ryowaks.com ●AnimationAid
animation-aid.com
▼staff06
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秋山高廣/Takahiro Akiyama
エフェクター。コンポジターとしてCG制作スタジオに務めた後、フリーランスを経てゲームエフェクトを専門に制作・監修する合同会社Flypotを設立。ゲームエフェクトの受託制作に従事するかたわら、ゲームエフェクトデザイナーの育成のための活動(書籍執筆、動画作成、エフェクト講座主催)にも精を出している。
flypot.jp
独自のかっこよさを追求し、こだわりの光る作品に期待
CGW:ここからは、審査員を務める岡田さんと鈴木さんにお話を聞きます。まず、岡田さんと鈴木さんが参加することになった理由を教えてください。
岡田恵太氏(以下、岡田):コンテストが今までにないような形式で、ユニークで面白いなと思ったので参加しました。自分のつくったものを、学生がいい感じにしてくれるのは楽しそうだなと(笑)。どんどんかっこいいものが出てきてほしいなと思っています。
鈴木卓矢氏(以下、鈴木):私は単純に断る理由がないんですよね。審査員もそうですし、セミナーや大学の授業などを通して背景モデリングの本質を伝える活動は普段から大切にしています。クオリティを高くすることとは別に、画づくりで考えなくてはいけないことをコンテストを通して伝えられたらなと思います。
CGW:岡田さんにお聞きします。ドラゴンはどのようなイメージでつくられましたか?
岡田:強いドラゴンです。どっしり構えていて、中ボスより上のクラスのボス、というイメージ。顔を優先的につくり込んでいて、上半身からしっぽにかけてディテールは少し落としています。
CGW:ドラゴンのモデルはアレンジOKとのことですが、どの程度までアレンジしていいのでしょうか?
岡田:そこはどんどんやっていただいて構いません。色を変えてもらってもいいですし、背景の密度に合わせてモデルのディテールを上げる、というのもぜんぜんアリだと思っています。かっこいいイメージのドラゴンなので、よりかっこよく見せていただければうれしいです。
CGW:審査員のおふたりから見て、コンテストに応募する意義とは何でしょうか。
岡田:若いときは特に、作品を出してなんぼだなと思います。私自身もCGWORLDのカンファレンスなどによく足を運んで、ポートフォリオを持って「アドバイスください」と言って会場を回っていました。話を聞いてみたいなと思う人にどんどんメッセージを送って、能動的に自分を知ってもらったりもしました。
今だったら、SNSやArtStationに作品をアップする方法もあります。そこで評価してもらえたらモチベーションにもつながりますし、もし評価が得られなかったら得られないなりの理由があるはずです。コンテストもそのひとつとして、自分の作品を見つめるいい機会になるんじゃないでしょうか。
鈴木:考えとしては岡田さんとほぼ一緒です。私たちの仕事はエンタメ分野なので、見る人がいてはじめて成り立ちます。ということは、自分の作品を人が見てどう思うかわからないと、アーティストにはなれません。そういったことを学生のうちに知ることができるのは素晴らしいことだと思います。
それとアーティストとして生きる秘訣は、社会にアピールして存在に気づいてもらうことです。「自分の居場所は自分で確保しろ」と若手にはよく伝えているのですが、コンテストはその大きなきっかけになります。コンテストを使って、業界の人に見つけてもらうようなつもりで参加してくれれば嬉しいです。
CGW:応募する上でのアドバイスはありますか?
岡田:みなさんなりの「かっこいい」を追求してほしいですね。大きめなイメージでドラゴンをつくりましたが、全てを見せようとはしなくていいのかなと。どちらかというと、「ここを主張したい」と意図が明確な作品の方が光るかなと思います。
鈴木:今はソフトが充実しているので、そこそこのクオリティは出てくるかなと思っています。その上で見たいのは、こだわりの強い人の作品ですね。こだわりがあるかどうかは、ぱっと見でわかります。70点のクオリティで見どころがない作品よりは、50点だけどこだわっている作品の方に伸びしろを感じます。そういう作品が見られたらうれしいです。
<公式サイト>
「CG Grand Prix "3D Cross" powered by CyberAgent」
エントリーはコチラから
www.cyberagent.co.jp/careers/students/3dcross