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4K・8K映像の制作が一般化しつつある現代において、映像の高解像度化に伴うレンダリング時間の増加は作業効率の大敵と言える。限られた時間の中で最大のパフォーマンスを発揮するためには、CPUやGPU性能、あるいはメモリ容量、ストレージの速度に至るまで、あらゆる要素が高水準なマシンが必要となる。今回は高品質かつパーツ選定の幅が広いBTOメーカー「アプライド」から登場した「アプライド CERVO-calcul CGモデル」の性能を、プラネタリウムや商業施設向けの大規模な映像制作を得意とするHERE.のクリエイター2名に検証して頂いた。

TEXT_神山大輝/ Daiki Kamiyama(NINE GATES STUDIO
PHOTO_竹下朋宏/Tomohiro Takeshita
INTERVIEW_阿部祐司/Yuji Abe(CGWORLD)

最新規格のストレージやグラフィックスカードでレンダリング時間を大幅に短縮

CGWORLD(以下、CGW):まずは自己紹介をお願いします。

勝目 咲氏(以下、勝目氏):CGディレクターの勝目と申します。技術的な要素の管理・サポートなどを行いながら、案件規模に応じて自分自身も企画全体のディレクションや実制作を行うこともあります。業務上メインのDCCツールはCinema4D、AfterEffectsです。入社したのは2年ほど前ですが、それ以前からHERE.の案件は受けておりましたので、代表の土井ともそれなりに長い付き合いになります。

  • 勝目 咲氏/Saki Katsume ディレクター

長澤氏(以下、長澤氏):長澤です。2020年5月に入社して、ちょうど1年ほどが経ちました。HERE.が1社目となります。入社時期がコロナ禍のピークでしたので、最初からリモートワークでしたが、ここ2カ月ほどは出社して業務を行なっています。主にHoudiniをメインで使用しており、プラネタリウムの案件やCM案件などの映像制作を行なっております。

  • 長澤知宏氏/Tomohiro Nagasawa デジタルアーティスト

CGWORLD(以下、CGW):入社1年目にしてHoudiniを使いこなすワークスタイルは興味深いですね。学生時代からCG制作を行なっていたのでしょうか?

長澤氏:実はまったく別の分野におりまして、農学系の大学で畜産に関連する研究室にいたんです。ただ、もともと絵を描くのが好きだったこともあり、専門的にデジタル分野での制作を学ぶためにデジタルハリウッド大学に入りました。絵そのものを学ぶというよりは、それまであまり得意でなかったPCでの制作に関して学んでおり、そこでHoudiniに出会ったかたちになります。

勝目氏(以下、勝目氏):その意味では、私ももともとはファッション系の学校に通っておりました。服飾系の仕事を希望していたのですが、たまたまアシスタントをさせて頂いた方がデジタルで服飾デザインをされていたことがきっかけで、「グラフィックスを動かしたい、立体物にしたい」という想いが生まれて、そこから映像分野に入りました。業界的には真逆の転身になりますが、ファッションも3DCGも「ここが繋がったら面白いだろうな」という共通する要素は多いので、経験が活かされている部分もあるかも知れません。

CGWORLD(以下、CGW):お二人とも非常にユニークなご経歴をお持ちですね。改めて、お二人が主に担当するHERE.の業務内容について教えて頂けますでしょうか。

HERE.のオフィス壁面にある社員が制作した横6m程の巨大なアート

勝目氏(以下、勝目氏):HERE.ではプラネタリウムの案件をはじめとして、4K、8K以上の高解像度案件を扱うことが多いです。プロジェクションマッピングや商業施設でのデジタルサイネージ、最近ではARなどを扱っていますが、いずれも一般的な16:9の映像ではなく、特殊かつ大型の映像が多いのが特徴だと思います。

長澤氏:VR開発は360°ですが、プラネタリウムの場合は半分の天球です。それを長方形に展開したものを出力するイメージです。例えば、世界地図って北極と南極がすごく伸びていると思うのですが、あれに似ているものと考えて頂くと良いかも知れません。また、他にもCM系の案件もあって、最近では日鉄興和不動産さんの映像でモーショングラフィックスと実写映像を組み合わせた映像制作を行いました。

『日鉄興和不動産Livio web CM/CM内プロジェクションマッピング』
日鉄興和不動産株式会社/©NIPPON STEEL KOWA REAL ESTATE CO.,LTD.

勝目氏(以下、勝目氏):立体物に対するプロジェクションマッピングは本来視点が固定されますが、今回はモーションコントロールカメラを用いて、どのフレームでもパースが合っているような動的なマッピングを行いました。こういった挑戦的というか、新しい案件もありますね。

長澤氏:カメラマンや照明など実写映像の撮影部隊、ダンサーや振付師の方、そして我々HERE.のようなCG制作会社がチームを組んで、制作が進むにつれて一体感が出てきて、そして良いものを作っていくような。商業施設などの話もそうですが、CG映像だけでない協業を得意とするのも弊社の特徴です。

CGWORLD(以下、CGW):高解像度かつ高度な技術が必要な案件が中心ということで、技術力の高さを感じます。ここからは検証の話題に移りたいと思います。今回は「アプライド CERVO-calcul CGモデル」を検証して頂きました。使用してみて、お二人のファーストインプレッションはいかがでしたか?

勝目氏(以下、勝目氏):シンプルに使いやすかったです。デザインはそれなりに大型という印象はありましたが、やはり全体的なレスポンスの速さは社内PCよりも良く、ストレスフリーに使えそうだという印象も受けました。筐体で言えば、USBポートなどが上向きについているので、オフィスなどで利用する際も足を引っかけなくて安全だな、みたいなところは感じました。

長澤氏:確かに、いろいろな箇所でスムーズさを感じますね。個人的に良いなと思ったポイントは静音性で、今回はレンダリングの検証も複数行いましたがほとんど音がしなかった。冷却性能に優れているのだと感じました。

CGWORLD(以下、CGW):ありがとうございます。改めて、今回の検証内容を教えてください。

勝目氏(以下、勝目氏):Cinema 4Dでプロジェクトデータの立ち上げに掛かる時間の計測およびOctaneでのレンダリング時間、モーグラフキャッシュの時間を計測しました。まずはプロジェクトデータの立ち上げですが、社内PCが1分18秒、検証用PCが1分16秒とわずかに速くなっています。

Cinema 4Dでの検証

CGWORLD(以下、CGW):プロジェクトデータは、具体的にどういったものでしょうか?

勝目氏(以下、勝目氏):商業施設の4mほどの巨大モニターに投影するために制作した大型映像です。結果的には、公開されなかったのですが...。こういった映像ではモニターが大きいぶんアニメーションも普段よりゆっくりと付ける必要があって、ループ処理も難しいために5分程度の長めの尺のプロジェクトデータになっています。ポリゴン数は少ないですが、全体では23GBほどのファイルになります。

CGWORLD(以下、CGW):プロジェクトデータの展開では大きな差は見られなかったものの、レンダリング結果を見ると検証機のOctaneレンダーは非常に速いですね。これはやはりGPU性能差でしょうか。

勝目氏(以下、勝目氏):そうですね、GPUレンダラーということもあって、そこが思いきり性能差として現れている感覚です。1フレームだけをレンダリングする時間は社内PCが4分24秒、検証用PCが2分21秒。100フレーム書き出すのに掛かる時間は社内PCが7時間3分21秒、検証用PCが3時間31分2秒と、長尺ですと3時間半の時間短縮となりました。

長澤氏:私の方では、Houdini上でのパフォーマンスを試してみました。まずはプロジェクトの説明ですが、パーティクルを複数出して、その軌跡をワイヤー化するという内容になっています。9000フレーム分のパーティクルのキャッシュ生成は社内PCが61分、検証用PCが58分でした。パーティクルのシミュレーションはCPU、GPUに関連しますが、内部SSDへ保存する際の速度も検証用PCの方が優れているため、この辺りも効いていると思います。

Houdiniでの検証

CGWORLD(以下、CGW):検証機のSSDはPCIe4.0のM.2 NVMe SSD(2TB)で、理論値ではありますがR:7000MB/s W:5100MB/sとなっています。確かに、ストレージ面ががボトルネックになることは少ないと感じます。

長澤氏:そうですね。実際、シミュレーション結果のパーティクルを読み込んでオブジェクト化した際の編集画面では、プレビューの快適さが違ったような感覚がありました。実際の数値には現れにくいですが、検証用PCのほうがラグなどなくスムーズであったように感じます。

CGWORLD(以下、CGW):レンダリング時間についてはいかがでしたか?

長澤氏:レンダリング時間も圧倒的に検証用PCの方が速かったです。手順としてはHoudiniから出力したワイヤー状のジオメトリをすべて保存して、そこからOctaneでレンダリングを行うといったかたちでしたので、レンダリング自体の計算の速度とデータの読み書きの速度のいずれもが影響して、かなり大きな差となりました。具体的には1フレーム分の書き出しが9分から3分に短縮され、100フレーム分では13時間54分から4時間48分までと、なんと9時間も時間短縮されました。

CGWORLD(以下、CGW):非常に高速化していますね。レンダリング時間の短縮は、シンプルにワークフローに与える影響が大きいと思います。最後に、「アプライド CERVO-calcul CGモデル」はどういったクリエイターに活用いただけると思いますか?

勝目氏(以下、勝目氏):CPU、GPUも非常に性能が高く、SSDなどのデータ転送周りも最新仕様になっているため、「何でも効率よくこなせるPC」という印象を受けました。例えば、環境的に1人で作業を完結しなければならないクリエイターにとっては非常に良い製品かと思いました。

CGWORLD(以下、CGW):ありがとうございました!

製品情報

アプライド CERVO-calcul CGモデル

オペレーティング・システム Windows 10 Pro 64bit
プロセッサー インテル Core i9 10900X (10コア/20スレッド/3.7GHz/tb4.5GHz/19.25MB/165W)
メモリー 64GB (16GB×4) DDR4-2933(PC4-23400)
ストレージ 2TB M.2 NVMe SSD R:7000MB/s W:5100MB/s
グラフィック NVIDIA® GeForce RTX3080 8704コア 10GB GDDR6X 320bit PCI-e4.0
マザーボード ASROCK社製 X299 Creator
電源ユニット 1000W 80 Plus GOLD認証 フルモジュール・ハイブリッド電源

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