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国内外から集結した300名以上にものぼるスタッフを社内に抱え、八面六臂の活躍を続けるポリゴン・ピクチュアズ。大規模な分業体制を敷くことで超大型作品の制作を可能にし、『スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ』、『トランスフォーマー プライム』、『トロン:ライジング』といったハイクオリティな海外TVシリーズアニメを手がけ、その名を世界に轟かせた。テレビ業界のアカデミー賞とされるエミー賞の常連でもあり、本年の5月には『Lost in Oz: Extended Adventure』で通算5度目の受賞に輝いている。

一方、『シドニアの騎士』や『BLAME!(ブラム)』といったタイトルでは、自ら出資に参加することでライツを取得。ストリーミング配信サービスを通じた海外展開を進めている。そんな同社の大規模制作ラインを支えているのが、約20名にもおよぶ技術研究開発部システム部だ。現在「パイプライン3.0」構築をめざして、CG・映像分野をはじめ業界内外から幅広く人材を募集中だという。 同社にパイプライン構築の変遷やエンジニアの業務内容について聞いた。

『GODZILLA』
©2017 TOHO CO.,LTD.

『BLAME!(ブラム)』
©弐瓶勉・講談社/東亜重工動画制作局

『亜人』
©桜井画門・講談社/亜人管理委員会

"世界に挑む"ために、より汎用的でフレキシブルなパイプラインを構築中

NetflixやAmazonプライム・ビデオに代表される配信ビジネスの拡大と共に、急速にグローバル化しつつある世界のアニメビジネス。 国内市場が縮小傾向にある中、日本のアニメスタジオにおいても海外展開、自社IP獲得による収益構造の転換は待ったなしの課題となっている。 こうした中、より付加価値が高く挑戦的な作品制作を実現するために同社は"エンジニア゛を必要不可欠な存在として位置付けている。
R&D(研究開発)に課題を抱えるとされる日本のCG・映像業界の中にあり、約20名のエンジニアを社内に抱えながら、継続的な投資を行っているポリゴン・ピクチュアズは例外的な存在といえるだろう。技術部門を統括する山森 徹氏は「もともとは必要に応じて泥縄で整備してきたのが実情」だと語った。
「2010年前後に海外から『トランスフォーマー プライム』『スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ』『トロン:ライジング』を並行受注したことを契機に、本格的な社内パイプライン構築がはじまりました」(山森氏)。

  •    写真提供:株式会社ポリゴン・ピクチュアズ
  • 山森 徹氏
    (技術部門 執行役員)


パイプライン構築当初は、エンジニア職はプロジェクトごとの業務委託契約が中心だったという。しかし、これではプロジェクトごとに仕様がまちまちで、技術や知見も社内に蓄積されない。そこで2011年頃からエンジニアの社員雇用を積極的に行う方針に切り替えて、汎用的なパイプライン構築に乗り出したというわけだ。
こうして完成したパイプラインは、その後、マレーシアで発足した合弁会社「Silver Ant PPI Sdn. Bhd.(SAPPI)」とともに、『シドニアの騎士』を共同開発を行ったことを契機として、社外のスタジオとのシームレスな連携も可能にする「2.0」へとバージョンアップ。現在はクラウドインフラの活用や更なる機能強化をめざして「3.0」の開発を推進中だという。
「4Kや8Kといった映像の高解像度化や、それに伴うデータ量の増大、ゲームエンジン、VRなどのリアルタイムコンテンツとの連動など、アニメーションスタジオにおけるエンジニアの需要はさらに多様化し、拡大しています。そういった背景もあり弊社でも技術部門の体制強化を進めることになりました。これまで属人性が強かった部分を拡充し、組織力やチーム開発力を高めていきたいですね」(山森氏)

▲マレーシア企業との合弁会社として2013年1月に設立されたSilver Ant PPI Sdn. Bhd.(SAPPI)の社内風景。約70名が勤務し、ポリゴン・ピクチュアズとシームレスに連携し制作が行われている。
写真提供:株式会社ポリゴン・ピクチュアズ


▲ポリゴン・ピクチュアズの技術研究開発部が開発したツールのアイコン群。「PPI Tools」は同社が開発したインハウスのツールやシステムの総称で、現在開発中のパイプライン3.0も含まれる。ツールに親しみをもって利用してもらえるように、ツールごとに動物をモチーフにしたアイコンとなっており、PPI Tools全体でノアの箱舟がイメージされている。

業界外からも積極的に人材を採用し知見を生かす

もっとも業界内でエンジニアの絶対数が限られる以上、人材も外部に積極的に求めていく必要がある。山森氏も「CG・映像業界以外に、さまざまな業界から募集しています。"一度弊社に遊びにくる"くらいの軽い気持ちでご連絡いただければ」と語る。実際、下記で紹介する4名のグループリーダーは、いずれも多彩な経験を持ち、それゆえに会社に貢献している人物だ。
4名のうち唯一の生え抜きである新島 太佳人氏はアーティスト出身で、テクニカルアーティストを経て専業エンジニアとなった。アーティストの経験を生かして自動コマ抜き用プラグイン「PPI Limited Animation Tool」を開発。背景をフルフレーム、キャラクターはコマ落ちで動かした際に発生するセルルックアニメーションにありがちな「動きの不自然さ」解消に貢献するなどしてきた。

  • 新島 太佳人氏
    (技術研究開発部ソフトウェアソフトウェア開発第1グループ グループリーダー)



    日本電子専門学校などを経て入社。リガーとしてのキャリアを振り出しに、徐々にテクニカルアーティストとしての業務が増え、技術研究開発部の新設に伴いエンジニア専業となる。パイプライン3.0構築の旗振り役を担当。

「MayaをベースにPythonでプログラミングしました。『トロン:ライジング』の時に1週間くらいで原形を作り、そこから1ヶ月かけて拡張しました。弊社にはセルルックを効率的に作る暗黙知が蓄積されています。アーティストとやりとりしながら、ボトルネックを見つけ出して、それを自動化するためのツールを実装した感じですね」(新島氏)。

「自分はアーティストにしては面倒くさがりで、なんとか作業を自動化したかった」と語る新島氏。リギングの自動化や効率化を追求していった結果、気がついたらエンジニア専業になっていたという。現在はパイプライン3.0の開発を主導中だ。「基本的な開発スタイルとしてはアーティストと相談して仕様から考えることが多いです。また、コードを書く事だけでなく、設計など仕組み全体を作る事が好きな方のご応募をお待ちしています」(新島氏)。

▲劇場版アニメ『亜人』のアニメーション制作工程でも活躍した「PPI Limited Animation Tool」。モーションキャプチャのデータをリミテッドアニメーションへ修正しようとすると、 見た目はセルルックなのに動きが滑らかすぎて、日本人にとっては違和感が残る映像になりがちだ。そこでキャラクターの動きにあわせて、自動的にコマ抜きを実現する本ツールが開発された。コマ抜きのタイミングや枚数などをアーティストが任意に設定することもできる。ポリゴン・ピクチュアズでは、 アーティストがクリエイティブな部分によりリソースが割けるようにこうした自動化ツールが多数開発されている

データ共有のシステム「PPI DataShare」や、スーパーバイザー/ディレクター向けのレビューツー ル「PPI Review」の開発を担当する飯山公子氏は金融系SE出身だ。

  • 飯山公子氏
    (技術研究開発部ソフトウェアソフトウェア開発第2グループ グループリーダー)



    銀行などの基幹業務における大規模システム開発を経て映像業界に転職。データベースのシステム開発や管理系業務などの経験を生かして、ブラウザベースで実行する進行管理ツールの開発にたずさわる。

PPI DataShareはスタジオ間でデータやツールを自動的に同期させられる便利なシステムで、大規模制作の要となる部分。ブラウザベースのシステムで共有状態をトラッキングできるようになっている。宅配便の自動追跡サービスと原理は同じだといい、データベース開発や管理系業務で培った経験が生きた。クライアント側はJavaScript、サーバ部分はPythonで動作し、パイプラインやShotgun、PPI Reviewにも連携する。正確性を何よりも重視する金融系の開発と比べ、映像制作のスケジュールにあわせて臨機応変にツール開発することも多く、業界の違いに当初は戸惑ったが、今では同社で欠かせない戦力となった。

「システム系の仕事と大きく違うのは、作品のエンドクレジットに自分の名前が掲載される機会があることですね。特に弊社では自社でライツを持つ作品が増えているので、そうした作品ではよく名前が出ます。また、幅広い世代に見てもらえる作品もあり、つい先日も祖母を訪ねた際に『山賊の娘ローニャ』見たよと言われて嬉しく思いました」(飯山氏)


▲スタジオ間のデータ共有を一元管理できる「PPI DataShare」。【上】は概念図だ。【下左】を見ながらデータの共有状況を確認することができる。デザイナーは自分の作業が終わると、ツールでパブリッシュすることで、レビューにデータを提出したり、次のセクションに通知させたりすることができる。スーパーバイザーは内製ツールの「PPI Review」を使用して作業内容を確認して指示を出せる。【下右】レビューの情報など、一連のパイプライン情報はShotgunとも連動しており、社内外との連携に大きく貢献している

サーバインフラの構築と保守運用を担当する横山義則氏はWeb業界出身のインフラエンジニアだ。社内に120台あるレンダリングサーバや、1000テラバイト以上あるストレージなどの管理を一手に引き受けている。さすがにオンプレミスだけでまかなうには規模が肥大化してきたため、現在は「3.0」への移行にあわせてクラウドインフラの検証を行っているところだ。クラウドとオンプレミスを組み合わせたハイブリッドクラウドでの運用を念頭においているという。

  • 横山義則氏
    (システム部インフラグループリーダー)



    ウェブ系の企業でサーバエンジニアとして活躍後、ポリゴン・ピクチュアズに転職。レンダリングサーバやライセンスサーバなどをはじめ、同社のオンプレミス環境の構築と保守管理に携わる。

業界が変わってもサーバは同じなので、過去の知見をすぐに生かせたという横山氏。それよりも会社の雰囲気の違いに驚いたという。「普通の会社に比べると、良い意味でカッチリしすぎていない、楽しげなところがいいですね。社員の15%くらいが外国籍のアーティストで、国際色にあふれています」(横山氏)。マレーシアの合弁会社、SAPPIとの連携も多く、英語環境での業務に関心がある人はオススメだという。

最後に社員が使用するクライアントPCの保守運用を行うのが林 雄吾氏だ。同社ではアーティストの多くがCG制作用のデスクトップを2台用いており、打ち合わせの多いディレクターに至ってはノートPCも加えて3台を使用している。そのため会社全体では約700台も のPCを保守管理することになる。これだけの量になると、毎月、何台かのマシンでハードウェア障害が発生するほどで、すぐに新しいマシンに入れ替えできるような、安全・快適な保守運用に余念がない。OSや市販ツー ルのアップデートなども林氏のグループの仕事で、小さなドラブルは毎日のように発生し、その対応に追われる日々だ。

  • 林 雄吾氏
    (システム部サポートグループ グループリーダー)



    家電メーカーで半導体の企画開発業務を経て映像業界に転職。現在は社内のアーティストが使用するPCの保守管理や、ツールのライセンス管理などを担当している。

「700台ものPCを使って技術検証ができるのが魅力」だと語る林氏。家電メーカー出身で半導体の企画開発業務を行っていた経歴を持ち、「その頃は部署でPCを1台新調するだけで数ヶ月かかった」という。それが今では、ある程度自分の裁量で大量のPCを一気に導入でき、さまざまな導入検証を行いながら、社内で反応も確認できるなど、楽しみながら仕事ができていると語った。


▲ポリゴン・ピクチュアズ インフラ概念図【左】。1000テラバイトのストレージと120台のレンダリングサーバに加えて、約700台にのぼるクライアントPCの数々。これらがネットワークでつながり、パイプライン2.0を経由して社外とも連携している。サーバ群も社内に鎮座している【右】。クラウドインフラを利用して、これらを拡張していくのがパイプライン3.0のミッションだ。
写真提供:株式会社ポリゴン・ピクチュアズ

各々の業務は同社の作品制作に不可欠なだけでなく、それぞれが有機的にからみあって基幹業務やパイプライン構築に貢献している。今後はグループごとに増強し、さらなる成長に備える計画だ。山森氏は「CG映像制作会社のエンジニアは、ソフトウェア開発、インフラ、ユーザーサポートが情報共有を行いながら一丸となって連携していくことが大切です。CG・映像業界での経験があれば嬉しいですが、フレキシブルに問題解決に当たれるようなエンジニアの素養があれば業界の経験がなくても全く問題ありません。私たちも他業界に学び、積極的に新しい技術を上手く取り入れていきたいと考えています。」と説明した。

ワーク&ライフバランスの確立と遊び心のバランス

フレックス制を採用し、午後10時には社内が消灯するなど、高いワーク&ライフバランスで知られるポリゴン・ピクチュアズ。産休・育休制度も確立しており、現在は8名が出産による時短勤務を選択している(うちエンジニア1名)。
もっとも映像業界だけに、一般企業の堅苦しさとは無縁だ。IT業界から転職した横山氏は「同じインフラなので業務内容で戸惑いはありませんでした。それよりも、社内が明るく開放的な点が決め手になりました。」と振り返った。 社内向けシステム開発ということで、ユーザーが目の前にいる点も特徴だ。「便利になりましたと言われると嬉しいですね。やりがいを感じます。」(飯山氏)。その上でアーティストのニーズを読み取り、技術を組み合わせてボトルネックを解消していくのが基本的なスタンスとなる。「当社ででは、1から10をきっちり決めた仕様書はありません。アーティストと会話を続け、欲しいツールをただ作るだけではなく、現状問題になっているところが何で、それに対して、どのように実装すれば問題を解消できるかを考える人が向いています」(新島氏)。

1983年の創設以来、「誰もやっていないことを 圧倒的なクオリティで 世界に向けて発信していく」というミッションのもとに、CGアニメーション史に名を残してきたポリゴン・ピクチュアズ。更なる進化を遂げようとする同社では、CG・映像業界経験問わず、 様々なバックボーンを持ったエンジニアを募集している。アーティストと共に、世界に作品を発信したいエンジニアには最適な環境だろう。

TEXT_小野憲史
PHOTO_弘田 充

■求人情報
ポリゴン・ピクチュアズ 技術研究開発部/システム部では現在下記職種を募集中です。

▼募集職種
【技術研究開発部】
①Webアプリケーションエンジニア
②R&Dエンジニア/CGエンジニア

【システム部】
③サポートエンジニア
④社内システムエンジニア(マレーシア勤務)

▼職種内容
①Webアプリケーションエンジニア
・インハウスのパイプラインシステムで必要となる、WEBアプリケーション開発やデータベースシステムの開発

②R&Dエンジニア/CGエンジニア
・PythonやC++、各種DCCツールに付属のプログラミング言語などを使った、パイプラインツールやアプリケーションの新規開発、既存ツールの拡張

③サポートエンジニア
・社内システム環境のサポートとして、マシンのセットアップ・ソフトウェアのインストール・アカウント管理など

④社内システムエンジニア(マレーシア勤務)
・システム周辺環境全般の整備、ワークステーション(クライアントPC)のメンテナンス・トラブル対応、業務フローの標準化など

▼応募資格・歓迎条件
①Webアプリケーションエンジニア(プロダクション経験者歓迎)
・Python/C/C++/JavaScriptのいずれかで実務経験3年以上
・Webアプリケーション開発の実務経験3年以上
・Linux環境での開発経験
・コミュニケーション能力
・新しい技術探求への高いモチベーション
・(歓迎条件)データベースシステムの開発経験
・(歓迎条件)WebAPIシステムの開発経験
・(歓迎条件)AJAX等、WebUIの開発経験
・(歓迎条件)サーバーインフラの設計、運用経験
・(歓迎条件)英語力

②R&Dエンジニア/CGエンジニア(プロダクション経験者歓迎)
・Python/C/C++/melのいずれかで実務経験3年以上
・DCCツール(Maya/Nuke/Houdiniなどいずれか)の知識
・コミュニケーション能力
・新しい技術探求への高いモチベーション
・(歓迎条件)Qt/PyQtを使ってのGUI開発経験
・(歓迎条件)データベースシステムの開発経験
・(歓迎条件)サーバーインフラの設計、運用経験
・(歓迎条件)英語力

③サポートエンジニア
・ユーザー対応で必要となるコミュニケーション能力
・ITサポート・ヘルプデスクの経験
・コンピューターの知識
・(歓迎条件)CGプロダクションでの就業経験
・(歓迎条件)CG制作のアーティスト作業に携わっていた経験
・(歓迎条件)Linux、MacOSの知識
・(歓迎条件)英語力

④社内システムエンジニア(マレーシア勤務)
・パソコンのセットアップや社内ヘルプデスクの経験をお持ちの方
・ネットワーク/サーバの設計・構築・運用経験をお持ちの方(5年以上)
・英語でのコミュニケーションが可能な方 (日常会話~ビジネスレベル以上)
・(歓迎条件)CGスタジオでの就業経験、もしくは映像制作の知識
・(歓迎条件)アニメーションや映像業界への興味関心

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