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CG・映像制作は年々、技術的な進歩と共にデータ量が大型化していく傾向にある。さらなる表現を求めCPUやGPUが重視される中、ストレージの速度がボトルネックになり、マシン本来のパワーを発揮できていないという状況がしばしば見て取れる。今回はコンポジションの緒方達郎氏と加速サトウ氏に、意外と見落とされがちなストレージの重要性について伺った。
ストレージの性能がボトルネックになりえる
SSDはここ数年急速に普及してきている。速度的なメリットもさることながら、軽量化や耐久性といった面でもHDDに対して大きなアドバンテージがあり、また容量単価も徐々に下がってきていて、もはや使わない手はないといっても過言ではないだろう。緒方氏は、「弊社ではSSDのある環境を標準としておりまして、システム領域においては全ての作業用マシンで、また、ある程度の容量が必要になる作業領域においてもSSDを使用しており、もはや高速なストレージは不可欠な要素として、語るまでもなく当たり前になっていますね」と切り出してくれた。
緒方達郎氏
取締役専務/ディレクター/デザイナー
1986年生まれ。
独学でデザインやモーショングラフィックス、Flashなどを学び、映像制作を行うフリーランスとして8年間活動。2013年にコンポジションを安井治次郎と共に設立。世界中のコミュニティやアーティストを巻き込んで様々な活動を行うことを情熱としている
コンポジションはMacとWindows両方のシステムを使って制作しているが、OSの立ち上げからデータの読み書きなどPC全般のパフォーマンスが向上するということで、Samsungをはじめ様々なメーカーのSSDを導入しているそうだ。コンポジションでは以前から、1カ所に集まって作業するという従来のやり方にとらわれず、イベント会場など様々な場所で業務を行うことを前提にしている。共有すべきデータはクラウド上にアップするが、各々の作業は各個人のマシンで行うため、できるだけストレスのないPC構成が必須なのだという。「実のところ、一番恩恵を感じるのはファイルサイズの大きな物を開くときの速度ですね。CINEMA 4Dのファイルであっても大きなデータは数GBを超えてきますから。開いた後はやはりGPUのパワーが一番恩恵を受けますし、レンダリングに関しては当社の環境だとCPUのパワーが大きい。ただ、例えばパーティクルのキャッシュなんかは数GB位はすぐに到達するので、SSDの速度による恩恵は非常に大きいです」と緒方氏。
加速サトウ氏が10代の女の子のための体験型フェス「超十代 - ULTRATEENS FES - 2017@TOKYO」のファッションショー用に初音ミクのコンテンツを制作した際には、大量の連番データが作成されたという。「テクスチャが膨大だったり、サイズの大きいものを使っていたりすると、連番データのレンダリング時に毎回テクスチャを読み込む処理がされますので、CPUはもちろんストレージの速度もレンダリング時間に直結します。そういうところでも恩恵を受けていますね」。
- 加速サトウ氏
取締役/ディレクター/デジタルアーティスト
1990年生まれ。
CM/MV/PVなどの映像全般やグラフィックデザインを担当する。
実績:グリコ×初音ミク『冷やして鳴らそうお菓子のいい音Web CM』、『NHKコズミックフロント CG映像』他
このように様々な要素をファイルキャッシュとして書き出す仕組みや、そもそも取り扱うデータが大きいCG制作では、やはりストレージの速度アップは業務効率化において重要であるということを実感していただけたと思う。「現在のシステム、アプリケーションも含め、大前提がHDDからデータを引き出して、メモリに展開して、という作業が想定された設計になっていると思うんです。でも、今以上にSSDが普及して、それが当たり前になればDCCツールベンダーもそれを前提にアプリケーションの設計をするだろうから、その時さらにわれわれユーザーに対してメリットが生まれてくるのではないでしょうか」(緒方氏)。何度もいうが、PCのパフォーマンスは全体的なスペックアップが最終的にストレスなく作業に没頭できる環境を創り出す。高価なCPUやGPUを搭載したPCを所有しているとしても、ストレージがボトルネックになってしまうと結局速度の向上は望めない。より良い制作環境を求めるなら、今一度ストレージを見直してみるのはいかがだろうか。
特にSSDの性能が発揮される連番データの処理
「超十代 - ULTRA TEENS FES - 2017@TOKYO」初音ミクの制作に関して、特にSSDの恩恵を受けたという。1曲当たり4分×3曲分のムービーで、解像度的には初音ミク1人分のサイズ(イベントでは透明なスクリーンにミクのみ投影される)とはいえ、出演者との違和感をなくすべく60fpsで制作された点もあり数万に軽く届くフレーム数を書き出さなければならない。そういったシチュエーションにSSDは非常に有効で、苦もなくデータを取り扱うことができたそうだ。また、ミクはゆれものや、Clothシミュレーションなども多用されているため「ダイナミクスのキャッシュなんかも当然フレームの数だけ必要になってくるんですが、SSDであればその点も特に意識せず使うことが可能です。物によりますがテクスチャにムービーファイルを貼ることもあるので、ストレージのスピードが上がるメリットは大きいです」(加速サトウ氏)。
知っていますか? HDD、SSDの規格の違い
HDD、SSDにはインターフェイス(接続方法)やフォームファクタ(形状)の違いによるいくつかの規格があり、インターフェイスはSATA、PCIeなど、フォームファクタは2.5インチ、mSATA、M.2などの種類が存在する。一般的な規格のHDD(7,200rpm、SATA、2.5インチ)では読み出し速度は110MB/s程度であるのに対し、同規格のSSDである「Samsung SSD 850 PRO」(SATA、2.5インチ)では550MB/s(※1)と約5倍の差がある。さらに、SSDで最先端の規格であるPCIe3.0×4/NVMe1.2( ※2)、M.2をサポートする「Samsung SSD 960 PRO」の場合、3,500MB/s(※3)とケタ違いの速度を体感することができる。なお、外観上酷似しているSATA、M.2とは互換性はないので注意が必要だ。SSDはHDDと比べ、低容量でGB単価が高いと言われてきたが、最近は2TBや4TBの大容量の製品もあり、価格も徐々に下がっていくトレンドなので、個々のユーザーが求める性能やコスト感を満たす選択肢が広がっていると言えるだろう。
※1、3 値はいずれも最大値。CrystalDisk-Markを実行し測定。測定環境詳細は(www.samsung.com/semiconductor/minisite/jp)に記載※2 PCIeインターフェースでNANDフラッシュの特性を最大限引き出す為に規格されたSSDの為のプロトコル
まとめ
CG技術は日進月歩で、常に進化し続けている。できることが増えた一方、より高度な表現を求められ、それと比例してさらにデータ量は膨大になっていくだろう。ソフトウェア側も最適化が進んでいるとはいえ、まだまだストレスを感じることも多い。より快適に創作に打ち込む一歩として、HDD使用の方は是非SSDを、既にSSDを導入している方は最先端のSSDを体験してみてほしい。新たな世界がひらけるはずだ。
TEXT_草皆健太郎
PHOTO_弘田 充
●問い合わせ先
日本サムスン株式会社
〒108-8240 東京都港区港南2-16-4 品川グランドセントラルタワー10F
www.samsung.com/semiconductor/minisite/jp
(製品について)
ITGマーケティング株式会社(日本サムスン販売特約店)
〒105-0014 東京都港区芝1-5-9 住友不動産芝ビル2号館5F
www.itgm.co.jp
INFORMATION
コンポジション/Composition inc.
企画・ディレクションから撮影、編集、CG、アニメーションなど、映像制作、ブランディングに関わる制作をトータルで行う、 渋谷の映像制作会社。
comp-inc.com
Samsung SSD
製品情報:www.samsung.com/semiconductor/minisite/jp
BCN AWARD 最優秀賞受賞
国内シェア3年連続(2015~2017年)No.1※
※全国の主要な家電量販店、パソコン専門店、ネットショップの実売データを集計したデータをもとに年間(1月1日~12月31日)販売台数対系第1位のメーカーを部門別に表彰する株式会社BCNによる「BCN AWARD」に基づく