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次世代機の足音が聞こえる中、ゲーム業界では様々な動きが広がっている。先んじたのがスクウェア・エニックスだ。これまでプリレンダーCGムービーでしか実現できなかったハイエンドな映像を、リアルタイム処理で実現した「Agni's Philosophy - FINAL FANTASY REALTIME TECH DEMO」は、昨年6月に発表されるや否や、全世界が震撼。技術デモの範疇を大きく凌駕し、新世代ゲーム像の方向性を指し示す作品となった。

一方、同社の作品制作に技術面・人材面で大きな貢献を果たしてきたのが、シリコンスタジオだ。同社はスクウェア・エニックスが開発中のゲームエンジン「Luminous Studio」に、ポストエフェクトミドルウェア「YEBIS 2」を提供。CGムービー制作を一手に引き受けるヴィジュアルワークス部にも、多数のCGアーティストを派遣している。

そこでスクウェア・エニックスで新世代ゲームエンジン「Luminous Studio」をはじめ、研究開発を担当するテクノロジー推進部の中核メンバーである橋本善久氏、岩田亮氏、レミ・ドリアンコート氏。そしてシリコンスタジオの伊藤佳輝氏に、「スクウェア・エニックスで求められる人材像」について伺った。

本社を移転し、開発環境が向上
国際的で風通しの良い社風も注目

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©Nacasa & Partners Inc®

世界有数のゲームパブリッシャー、スクウェア・エニックス。据え置き型ゲーム機からモバイルゲームまで、さまざまなプラットフォーム向けに、多彩なゲームが開発されている。それらを技術面で支えるのが、橋本氏らが所属するテクノロジー推進部だ。橋本氏・岩田氏・ドリアンコート氏は、いずれも開発中のゲームエンジン「Luminous Studio」の中核スタッフ。「楽しいゲームを楽しく作れる」をモットーに、研究開発が続いている。

同社がめざすのは文字通り「世界一のゲーム作り」だ。そのためには社員一人ひとりが世界の最先端を意識し、それを凌駕するためのモノづくりが求められる。2009年には「トゥームレイダー」シリーズなどで有名な英アイドス社を買収するなど、世界を見据えたゲーム作りを戦略的に推進。世界中の様々な個性を集結すべく社員も非常に多彩で、中でもテクノロジー推進部では三分の一が外国人。国際的な雰囲気を醸し出している点が特徴だ。

昨年10月には本社を新宿イーストサイドスクエアに移転。開発フロアも整理され、より働きやすくなった。人材教育にも力を入れており、物理ベースのライティングについて、初級アーティスト向けの社内研修なども実施中。自社で独自にゲーム業界向けの技術カンファレンスを開催するなど、昨今では風通しの良い社風にも注目が集まっている。

求められるのは世界一への追求
最新の技術や情報への向き合い方

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もっとも、世界一をめざすには、さらに強力な仲間たちが必要だ。そこで同社では恒常的に優れた人材を募集している。同社「agnisphilosophy.com」サイトを見るだけでも、アーティスト・デザイナーからはじまって、コンテンツクリエイター、DCCツール担当、リサーチャー、エンジニア、サポートなど、文字通り全方位で中途採用が行われているのがわかるだろう。

橋本氏も「ゲーム制作はRPGのパーティ編成と同じでいろいろな職種で構成されます。プロデューサーやディレクターなどの指揮をとる人から、アートデザイナー、プランナー、プログラマーなどの前線で戦う人々、プロジェクトマネージャーなどの後方支援の人々、さまざまなスキルを持った人を募集しています。弊社のゲームに興味があって、ゲームを作ってお客様に提供することにモチベーションを感じられる人であれば、ぜひ注目して欲しいですね」と語る。その中でも力を入れているのが「CG系のスキルを持つ人材」の募集だ。

もっとも「CG系」と一口にいっても、さまざまな表現があり、職種が存在する。しかし、「最新の技術や情報に向き合い、常にキャッチアップしていく」姿勢が求められる点では同じだ。「Agni's Philosophy 」で主人公アグニのキャラクターデザインもつとめた岩田氏も、「同じCGでも、わずか数年でトレンドが大きく変化します。どの時期に現場でがっつり作業をしていたかで、同じCGアーティストでも視点が大きく異なる」と語る。

PS3やXbox360が登場した当時は、シェーダー技術が大きな注目を集めていた。それが今では物理ベースのライティング技術が注目されている。数年後も同じように、まったく新しい技術が登場し、より多彩な表現が可能になっているだろう。「経験者の方だと、何か特定のスキルをアピールされる方も多いと思います。もちろん、それも大切ですが、現状に甘んじない向上心や、向学心も同様に求められますね」(岩田氏)

またシェーダーをはじめ、「Luminous Studio」を開発する上で必要な、最先端技術のリサーチなどを担当するドリアンコート氏は、クリエイターを計る指針に「スキル」と「性格」の二軸をあげた。スキルはプロダクトへの貢献度、性格は業務に対する姿勢となって表れる。前者は現状、後者は将来に対して影響を及ぼすというわけだ。そもそも「ゲーム」自体が技術の進化で大きく変化していく娯楽である。今、最高の作品を作ることもさることながら、未来に向けて準備を怠らない姿勢が強く感じられた。

徹底したヒアリングなどを実施 クリエイターを徹底サポート

これに対して、スクウェア・エニックスにクリエイターやミドルウェアを提供しているシリコンスタジオは、外部の立場からどのように見ているのだろうか。伊藤氏は同社に人材を供給してきた経験から、スクウェア・エニックスを「世界に向けてAAAゲームを輩出できる、日本でも数少ない企業」と高く評価する。そのため、明確な指向性と高い意識を持った人材が求められていると分析した。

同社では登録したクリエイター一人ひとりに1時間強じっくりとヒアリングを行い、その人の魅力や特性を十二分に引き出すような推薦文を人材募集企業に提出する。これによって企業側は雇用のミスマッチが避けられ、クリエイター側も的確な自己アピールができる仕組みだ。

クリエイターの中にはモノづくりは得意でも、自己アピールは苦手という人も少なくない。そうした中でも、個々の希望にしっかりと耳を傾け、長所をうまく引き出してくれる同社の取り組みは興味深い。ゲーム業界とのパイプが強く取り扱い案件数も多いシリコンスタジオならではのアドバイスを受けることができるため、ステップアップを求めるクリエイターにとって、力強い味方になるだろう。

ゲーム開発の大作化に伴い、今日では開発費が数十億円、売上が全世界で1千万本というプロダクトが求められている。そこまでのリスクを負える企業は、世界でも多くはないのが現状だ。その中でもスクウェア・エニックスはいち早く、会社全体で次世代ゲーム開発に取り組む姿勢を明確にしてきた。橋本氏も「日本の伝統的なゲーム作りと、海外の合理的なゲーム作りの、両者を意識しながらゲーム作りができる。クリエイターのスキルアップには最適で、モノづくりに必要な視点を増やせる」と、同社で働く意義を強調する。 同社では意識の高い仲間とともに、世界に向けたモノづくりに挑戦してみたいクリエイターには最適な環境が用意されている。後は一人ひとりが、その環境でいかに実力を発揮するかだ。我こそはという人に対して、常に門戸は開かれている。

TEXT_小野憲史