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スクウェア・エニックスの研究開発を行うテクノロジー推進部。ゲームエンジンをはじめとした、グラフィック、アニメーション、AI、ツールなどゲームづくりの根幹となる最先端の開発研究を行い、プロジェクトへの技術支援も行っている。
そんな彼らが東京ゲームショウ2016で公開し、大きな反響を呼んだプロジェクトがある。 漫画『結婚指輪物語』(月刊ビッグガンガン)を題材としたVR技術のコンセプトショーケース「プロジェクト Hikari」だ。漫画でもないゲームでもない新たな"物語"体験を提示した。
この「プロジェクト Hikari」を本格的に始動させるため、新たにデザイナー、エンジニアの募集が開始された。まったく新しい表現分野を打ち立てるうえで、その企画意図や求められる人材像について詳しく伺った。

▼『プロジェクト Hikari』。テクノロジー推進部がこれまで培ってきたハイエンドゲーム技術と日本の漫画を融合させたまったく新しいVR体験を目指して日々開発が行われている。
http://www.jp.square-enix.com/tech/hikari/
プロジェクトHikari:©2016SQUARE ENIX CO., LTD.
結婚指輪物語 (原作) :©MAYBE/SQUARE ENIX

スクウェア・エニックスが挑戦する次なる"物語"とは?

「最高の物語体験を提供してユーザーの方々の幸福に貢献するのが弊社の使命です。そのためには既存メディアにこだわる必要はありません。研究開発だけでなく、これまでにない遊び方の新しいビジョンを提示し、新たな"面白い"を生み出すこと、そして新たな市場を創り出していくのもテクノロジー推進部のミッションです」。テクノロジー推進部を主導するドリアンクール レミ氏はこのように語った。

東京ゲームショウ2016で初公開された「プロジェクト Hikari」。HTC Viveを使用し、VR×漫画のコンセプトショーケースとして、漫画『結婚指輪物語』のストーリーの序盤が体験できるというものだ。約8分間のデモに、新たなメディアの可能性が提示され、大きな反響を呼んだ。

  • ドリアンクール レミ


    (テクノロジー推進部 ジェネラル・マネージャー)
    認知科学、ロボット工学、自然言語処理に10年ほど携わった後、2009年スクウェア・エニックスに入社。R&Dエンジニアとして研究開発を行い、E3 2012で公開された「Agni's Philosophy」のリアルタイムテックデモのリードグラフィックスエンジニアとして貢献。 2014年に現職に就任し、スクウェア・エニックスのHDゲームに必要なR&Dを行い、先端且つ汎用的な技術を提供する任務を果たしている。

テクノロジー推進部で本プロジェクトを主導する曹 家栄(ソウ カエイ)氏は「テレビゲームが大作化し、スーパーリアリズムへの執着で、コンテンツのマンネリ化を感じるユーザーが増加しています。一方、日本には漫画という変化に富んでいるコンテンツがあり、弊社もその一翼を担っています。そこでVR技術を用いて、漫画の世界観と可能性を拡大させ、新たな形で世界に発信していけないかと考えたのです」と企画意図を語った。

  • 曹 家栄氏


    (テクノロジー推進部 イマーシブエクスペリエンス プロジェクトリーダー)
    半導体業界で研究者として経験を積み、ゲーム開発の規模増大とグローバル化を機にスクウェア・エニックスへ入社。技術のコーディネーションを中心とした業務で数々のHDタイトルのサポートを行ったのち、ハイエンドゲーム技術開発専門のテクノロジー推進部に合流。
    現在は本プロジェクトのプロジェクト・リードとして、ゲームテクノロジーを用いたポップカルチャーのコンテンツ創りに取り組んでいる。



▲『プロジェクト Hikari』はストーリーの大半は漫画の文法に則った"コマ割り"によって進行する。各コマが立体的な空間となり、ユーザーが頭の向きや位置を変える事で、普段見えないディテールを体験することで、漫画世界に没入することができる

筆者も実際に「プロジェクト Hikari」を体験したところ、コマ割りに代表される漫画の文法がVRコンテンツの演出に巧みに応用されていることがわかった。VRの映像演出で課題となる体験者の視線誘導を、コマを順次表示させていくことで自然に行っているのだ。動的な演出も少ないため、VR酔いの問題が発生しにくい点もポイントだ。

もっとも本バージョンは既存のシェーダー技術などを組み合わせた、いわばプロトタイプ。現在はこの内容をもとに、よりハイエンドで豊かな表現ができる基礎部分を開発中だという。

▲コマのレイアウトがストーリーの場面により動的に変更される。平面のレイアウトからユーザーを包むようなサラウンド型に変形する場合もあり、より迫力のある演出を体験できる

▲『プロジェクト Hikari』技術デモの一部。3Dキャラクターデータをリアルタイム環境で再生した結果。漫画の世界の中におけるキャラクターの自然な動きを実現するため、キャラクターの身体、表情、衣装には精密なリグが仕組まれている。ハイエンドゲーム向けに長年培われてきたアニメーション技術が活用されている

漫画を土台に新たな物語の文法を創造できるアーティスト・エンジニアが求められる

「プロジェクト Hikari」が目指しているクオリティに引き上げていく上で、どのような人材が必要か......曹氏は「新たな表現技法に関心のあるビジュアルアーティスト」だと語った。前述したように、本プロジェクトは「VR漫画」でまとめられない、大きな可能性を秘めている。まさに「漫画を土台に新たな物語を創造する」ところから始まっているのだ。 「そのためにアーティストにはデザインとアートの資質が必要になります。その上で、エンジニアと共にスクラップ&ビルドを繰り返していくことになります。職種を問わず、新しい挑戦に興味があることが重要です。その上で、漫画に対する愛情や造詣が深い方だといいですね。」(曹氏)
中でもポイントとなるのがハイエンドかつ、漫画的な魅力を十二分にそなえたキャラクターを創り出せるキャラモデラーだ。「ZBrushをはじめ、スカルプト・モデリングに長けた方だといいです」(曹氏)。アクションシーンだけでなく、ちょっとした仕草でキャラクターの魅力を伝えるためには、優秀なアニメーターも必要になる。

他にも背景アーティスト、シェーダーアーティスト、エフェクトアーティスト、テクニカルアーティストなど、全職種で人材を募集中だ。ゲームだけでなく映像業界など、幅広い分野からの応募も歓迎している。なお本プロジェクトはUnreal Engine (UE) 4を使用しており、UE4経験者が望ましいとのこと。あわせてエンジニア職の募集も受けつけている。 子どもの頃から日本の漫画を読んで育ったという曹氏。それだけに日本の漫画に対する思いや、その魅力を世界に発信していきたいという熱意は大きい。その理想を実現できる、強固なチームが必要だ。映像コンテンツのリアルタイム化が進展する中、これまでにない経験ができる意義は大きいと言えよう。



TEXT_小野憲史
PHOTO_弘田充

■求人情報
スクウェア・エニックス テクノロジー推進部では現在下記職種を募集中です

①ライティングアーティスト
②シェーダーテクニカルアーティスト
③CGデザイナー(キャラクター)
④CGデザイナー(背景美術)
⑤アニメーター
⑥グラフィックエンジニア
⑦テクニカルアーティスト
⑧バックエンドエンジニア
⑨ワークフロー/ツールエンジニア