一般財団法人デジタルコンテンツ協会は、『デジタルコンテンツ白書2014』を発刊した。同協会では毎年、国内のコンテンツ産業の市場規模を調査しており、同白書では、その市場規模の詳細データを掲載するとともに、映画、音楽などの分野動向や海外の状況を、国内外専門家の執筆により明らかにしている。また今回は、「クラウド化するコンテンツ ~価値創出のメカニズム~」を特集として取り上げており、コンテンツビジネスの"いま"を知る必携の書となっている。
※白書では、コンテンツを動画、音楽・音声、ゲーム、静止画・テキストの4区分、メディア(提供形態)をパッケージ、ネットワーク、劇場・専用スペース、放送の4区分の4×4のマトリックスに整理分類。数字は、各市場の産業団体や関連省庁等の公表値に基づき推計した。今回の発表データは、一部推計値の見直しを行い、確定値に置き換えた。その結果、2012年は約0.3%の下方修正となり、11兆8,623億円となった。
■ 『デジタルコンテンツ白書』について
2013年のコンテンツ産業の市場規模
市場規模は11兆9,094億円、前年比100.4%とほぼ横ばい(微増)
2013年のコンテンツ産業の市場規模は11兆9,094億円、前年比100.4%とほぼ横ばい(微増)となった。コンテンツ別では、静止画・テキストが4兆6,240億円(前年比98.6%)、動画が4兆4,804億円(同101.1%)、ゲームが1兆4,819億円(同107.6%)、音楽・音声が1兆3,231億円(同97.0%)となった。前年比でみるとゲームと動画が増加し、音楽と静止画・テキストは減少した。メディア別では、パッケージが4兆8,628億円(前年比95.7%)、放送が3兆6,641億円(同101.0%)、ネットワークが1兆8,976億円(同111.8%)、劇場・専用スペースが1兆4,849億円(同102.0%)となった。前年比でみると放送、ネットワーク、劇場・専用スペースが増加し、パッケージは減少した。
オンラインゲームが市場規模でランクイン
2013年の市場規模の大きいコンテンツ項目のトップ10を並べて見ると、上からテレビ、新聞、雑誌、書籍と、従来のメディアが市場規模でみると、まだまだ大きいことがわかる。また、伸長を続けるインターネット広告が昨年から5位につけている。2013年は、動画パッケージが圏外となる一方で、オンラインゲームが6位にランクインした。次に、前年比伸び率10%以上のコンテンツ項目を並べたのものを見ると、2013年は電子書籍、電子雑誌、オンラインゲーム(含むスマートフォン向け)の市場が伸びた。前年比増加額100億円以上のコンテンツ項目を見ると、オンラインゲームの市場が大きく拡大している。また、伸び率では出てこないインターネット広告、テレビ(民放地上波)、CS放送など広告の増加が目立つ。続いて、コンサート入場料収入、電子書籍、動画ネットワーク配信が存在感を出しつつある。一方、前年比伸び率がマイナス10%以下のコンテンツ項目では、フィーチャーフォンとDVDが並んだ様子は、スマートフォンとブルーレイに市場が移行している状況と符合する。
デジタルコンテンツ市場は7兆6,589億円と拡大し、コンテンツ市場の64.3%を占めた
2013年のデジタルコンテンツの市場規模は、7兆6,589億円(前年比101.6%)と順調に拡大し、コンテンツ市場の64.3%を占めるまでになった。コンテンツ別をみると、動画が4兆3,348億円(前年比101.6%)、ゲームが1兆4,819億円(同107.6%)、音楽・音声が9,393億円(同90.8%)、静止画・テキストが9,029億円(同104.8%)となっている。各コンテンツにおけるデジタルコンテンツの割合を示すデジタル化率を計算すると、ゲーム100%(※ゲームの対象をデジタルゲームとしているため)、動画96.7%、音楽・音声71.0%、静止画・テキスト19.5%の順となる。メディア別では、放送が3兆5,274億円(前年比101.1%)、ネットワークが1兆8,976億円(同111.8%)、パッケージが1兆1,417億円(同91.2%)、劇場・専用スペースが1兆922億円(同99.4%)と続く。デジタル化率は、ネットワークの100%は当然として、放送96.3%、劇場・専用スペース73.6%、パッケージ23.5%の順となる。
テレビのデジタル化が一段落するもデジタル化は進む
過去10年間のデジタルコンテンツ市場の推移を示したデータを見ると、近年のデジタル化を牽引したテレビ放送のデジタル化も2011年にはほぼ完了しており、2012年からはその成長率が緩やかになっている。動画、音楽・音声、ゲームともにデジタル化がすでにほぼ飽和状態にあるため、今後は電子書籍がデジタル化を牽引していくと思われる。
ネット化率が15.9%と進んだ
コンテンツ市場に対するネットワーク流通の割合を示す指標としてネット化率がある。その推移を見るとネット化率は順調に増やしており、2013年のネット化率は15.9%(1兆8,976億円)と前年より1.6ポイント増加した。その内訳は、ゲーム52.3%(7,752億円)、静止画・テキスト19.5%(9,019億円)、音楽・音声7.3%(965億円)、動画2.7%(1,230億円)となる。動画の割合が小さいのは、動画分野での放送の占める割合が大きいためである。コンテンツ別のネット化率の推移を示したものを見るとゲームが急伸し、音楽・音声が減少している。ゲームが伸びているのは、スマートフォン向けゲームの急成長によるもので、音楽・音声の減少は、フィーチャーフォン向け音楽配信が減少している一方でコンサートが健闘しているためである。今後1年程度はフィーチャーフォンからスマートフォンへの市場の移行の影響が出るものの、動画配信や電子書籍などの配信サービスが増えているため、ネット化率は今後も増えていくことが予想される。
■ 『デジタルコンテンツ白書』概要
●目次
第1章 特集 クラウド化するコンテンツ ~価値創出のメカニズム~
第2章 日本のコンテンツ産業の市場動向
日本のコンテンツ産業の市場規模/コンテンツをめぐる法的環境の最新動向
第3章 日本のコンテンツ政策
第4章 コンテンツの分野別動向
マンガ/アニメーション/映画/音楽/ゲーム/オンラインゲーム/ライブエンターテインメント
第5章 メディアの分野別動向
放送/インターネット/モバイル関連産業/新聞/出版
第6章 海外動向
アメリカ/ドイツ/ブラジル/中国/韓国/ベトナム
資料編 コンテンツ産業統計資料/ヒットコンテンツ2013レビュー/2007年~2012年のヒットコンテンツ
●書誌情報
『デジタルコンテンツ白書2014』
監修:経済産業省 商務情報政策局
編集・発行:一般財団法人デジタルコンテンツ協会
仕様:A4変型・241ページ
発行日:2014年9月1日
定価:12,960円
ISBN:978-4-944065-23-3 C3000
※政府刊行物を取り扱う全国の書店での注文可
■ 関連 URL
・『デジタルコンテンツ白書』
http://www.dcaj.or.jp/project/dcwp/index.html
・一般財団法人デジタルコンテンツ協会
http://www.dcaj.or.jp