画像検査や印刷色評価システム開発の株式会社プロスパー クリエイティブは、同社の特許技術である絵柄の色数値評価・管理技術をもとに、デジタルカメラやスキャナ入力のRGB画像を、太陽光と人の眼の色域と、センサ技術の推移を検討し、1000年後であっても元の色を忠実に再現できる「1000年アーカイブL*a*b*画像保存システム」を新開発した。
詳細はこちら。
■文化財保存とアーカイブの課題
絵画や文化財、歴史的資料や建造物等が100年、1000年保存できるとしても、風雨だけでなく屋内にあっても紫外線や湿気などの影響で色は変化をしていく。さらにカメラ撮影やスキャナ入力された画像データを、100年後、1000年後には全く異なる入力機器や表示機器、出力機器になっていることを念頭に、21世紀の文化財や絵画の色を正確にデジタル文化資産として残していかなければならない。これまで、正確な色で長期間保存するためには、分光スキャナなど高価な機材でアーカイブを行なっていたが、汎用的で誰でも使用でき、高精度の色管理が出来るアーカイブ機器はなかった。そこで、現在最も普及している各社のデジタルカメラやスキャナがアーカイブ用の入力機器として活用されるが、現状のデジタルカメラやスキャナは、機器ごとに色が少しずつ異なって入力されており、機器ごとに色がちがっては、どれが本当の色なのか、100年後、1000年後全く分からなくなる。そこで、撮影や入力時に、各機器ごとにちがっているRGB固有の画像の色を統一して、非固有の色に変換できる技術が必要となる。また、数十年経つと今普及しているプリンタやモニタ機器も大きく変化しているので、忠実な色再現も困難だ。
■新技術について
この新技術は、デジタルカメラやスキャナなどの入力機器毎の、固有(デバイス・ディペンデント)のRGB入力画像を、専用色チャートをもとに正しい色で保存するために、「1画素ごとに、非固有(デバイス・インディペンデント)の分光光度計レベルのL*a*b*値に色変換する」新たな発想で実現したもの。併せて1000年後の色再現のために、専用の色チャートと色変換プロファイルを開発して、色品質の高い業務用分光光度計レベルのL*a*b*画像に変換して、保存する技術を新開発した。L*a*b*画像は、人の眼の色感覚に近い数値の色空間で表わしたもの。さらに、アーカイブされたL*a*b*画像と照明の色温度を記録しておくことで、美術業界の永年の夢であった100年後、1000年後に、その時代の表示機器の表示方式に、このL*a*b*画像を色変換し、表示機器に忠実に画像の色を表示させたり、出力することが出来る。
■1000年アーカイブ事業
プロスパー クリエイティブは、2年後の創立50年記念プロジェクトに向けての事業の一環として、1000年アーカイブ事業を位置づけている。この新技術で文化財や絵画等のアーカイブへの活用を提案していく。L*a*b*画像保存の新技術を使って、絵画・美術品、建造物から、企業の歴史的に残したい製品などの「1000年アーカイブ事業」を行なっていく。このため「電子美術館」、「電子博物館」から後世に残したい「電子名品館」などを検討しているという。
そのほか、詳細はこちら。