大日本印刷株式会社(DNP)は、2019年より、マンションや戸建て住宅などのCADデータや図面などをもとにVR(Virtual Reality:仮想現実)空間上で、多様な間取りやインテリアのコーディネートを疑似的に体験できるシステム「DNPバーチャルエクスペリエンス VRモデルルーム」を提供している。今回、キッチンやドアなどの住宅設備に既存のデータを利用することで制作工程を簡易化し、従来のVRモデルルームと比べて、マンションなどの全ての間取りを約4分の1の期間で制作できる「DNPバーチャルエクスペリエンス VRモデルルーム・ライト」(以下:VRモデルルーム・ライト)を開発した。
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■「VRモデルルーム・ライト」開発の背景

マンションなどのモデルルームの施工には、用地取得や建築などの作業負荷とコストがかかるため、複数の間取りや住宅設備のバリエーションを建て込むことが難しいという課題があった。一方、生活者は、モデルルームで再現された間取りだけでなく、複数タイプの間取りを比較検討したいというニーズをもっている。また、コロナ禍をきっかけのひとつとして、非接触・非対面でやり取りをしたい、自宅などからも遠隔で確認したいという生活者のニーズも高まっている。こうした課題とニーズに対してDNPは、これまで1タイプの間取りの制作に約4ヵ月かかっていた「DNPバーチャルエクスペリエンス VRモデルルーム」に対し、5タイプの間取りを約1ヵ月で制作できるシステム「VRモデルルーム・ライト」を開発した。

■「VRモデルルーム・ライト」の特長

1.間取りタイプが多いマンションなどでも短期間で導入が可能
図面などをもとに実物と同じVR空間を制作する。その際、キッチン・ユニットバス・洗面台・トイレ・ドア・サッシなどの住宅設備はDNPが保有するデータを使用する。これにより短期間での制作が可能となり、間取りのタイプ数が多い場合や、期間の短い竣工前の販売の場合などでも、「VRモデルルーム・ライト」を早期に導入して活用できる。また、物件の特長の説明などを写真や動画で確認できる機能を備えており、生活者に物件の魅力をより分かりやすく伝えることができる。

2.省スペース化、コスト削減を実現し、効果的な販売促進を実現
新システムは、住宅販売事業者が運営するギャラリーや販売センターなどに設置して利用するもので、生活者は大画面ディスプレイやヘッドマウントディスプレイで、バーチャルにモデルルームを体験できる。事業者はこれまで、モデルルームの現物以外のタイプについては図面と部材サンプルで説明していたが、短期間で制作できる「VRモデルルーム・ライト」によって、モデルルームを実際に建てなくても、生活者に多様なマンションの間取り等を疑似体験してもらうことができる。これにより、事業者はモデルルームの用地取得や施工、家具・小物の調達等の手間とコストを削減できる。

3.VR空間をさまざまな販促支援ツールへ展開が可能
「VRモデルルーム・ライト」で制作したVR空間はWebサイトにも展開できるため、非接触・非対面の営業支援ツールとして利用できる。Webサイト上でも360度のパノラマ視点で見学できるため、生活者は自宅などにいながら、気軽にパソコンやスマートフォンなどで間取りを確認することができる。またCGデータなどは、住宅販売事業者や不動産・住宅メーカーの販促物や購入検討用の材料として、写真プリントや映像コンテンツなどに活用することができる。