大手ポストプロダクション会社であるThe Lookは、制作会社や代理店のインハウス・ポスプロチームと共同作業が行える新しいリモートグレーディングサービスの一環として、それぞれにDaVinci Resolveが導入されたDIルームを3室増設した。この新しいサービスの中心を担うのが、DaVinci Resolveのコラボレーティブ・ワークフローと、リアルタイム・グレーディング機能だという。



■ 新しいリモートグレーディングサービスについて

ソーホーの中心地に拠点を置くThe Lookは、これまでにCM、ドラマ、映画、ドキュメンタリーなど、様々なジャンルにわたって膨大な数のサービスを提供している。今回の新しいサービスで、制作会社のポスプロチームは、最終納品を受け取る前に、プロジェクトを編集してコンフォームし、The Lookのカラリストとリモートグレーディングを行えるようになった。The Lookと制作会社(またはクリエイティブエージェンシー)の双方がプロジェクト設定を所持することで、編集を変更する際にThe Lookに依頼して別のグレーディングを適用してもらう必要がなくなった。
The Lookのカラリストと制作会社のポスプロチームは、グレーディングに関する話し合いを行い、The Lookは専用のメディアウェッジを開発した。このメディアウェッジをLightSpaceと一緒に使用すれば、クライアントのモニターが正確にキャリブレーションされていることをグレーディング前に確認できるのだ。リモートセッションではカラー設定のみが送信され、グレーディングはリアルタイムで行われる。
The Lookのトーマス・アーバイ氏は、新しく導入されたグレーディングルームの1室を利用して、Rubber RepublicによるAudiの新CMのDI作業を行なった。「撮影の後、制作会社が荒編集をコンフォームし、ProResファイルとしてDaVinci Resolveに書き出しました。私がそれらの編集に最初のグレーディングを施した後、制作会社はそれらのグレーディング済みショットを彼らの編集にインターカットして、まだラッシュしか確認していなかったAudiに送りました」と、アーバイ氏は説明する。「1週間後、編集がほぼ固まってきた時点で、私はプロジェクト全体のグレーディングを開始しました。最終グレーディングを確認後、Rubber Republicがクライアントにファイルを送りました」。 同氏は続ける。「編集の過程においてグレーディングの予算が組まれることはあまりないので、今回の手法は普通ではありません。時間が限られている場合などは、読み込んだビデオファイルをアップロードし、DaVinci ResolveをソーホーのDIルームに接続するだけで、グレーディングを作業の最終段階ではなく制作過程全体を通して行えるようになったんです」。
「現在、制作会社やクリエイティブエージェンシーが、編集、サウンドミックス、オンライン納品など、ポストプロダクション作業の一部をインハウスの施設で行うケースが非常に多くなっています。しかしながら、それらのクライアントと実際に話をしてみると、彼らは今でもプロジェクトのグレーディングには経験豊富なカラリストを採用したいと考えているんです」と、アーバイ氏。「今回導入した新しいリモートグレーディングサービスによって、クライアントは世界中のどこからでも、ソーホーでもトップクラスのカラリストと共同作業を行い、彼らのスキルと経験を存分に生かせるようになったんです。今まで不可能だった方法ですね」。



■ 関連 URL

・「DaVinci Resolve」
 http://www.blackmagicdesign.com/jp/products/davinciresolve
・Blackmagic Design
 http://www.blackmagicdesign.com/jp