ストックホルムに開発拠点をかまえるftrack(エフトラック)が2014年8月11日(アメリカ太平洋夏時間)、現在開催中のSIGGRAPH 2014にて、最新バージョン3.0を発表した。ftrack 3.0では同時複数アクセスによるコラボレーションワークフロー面の機能向上に力を注がれているというが、現時点ではプレビュー段階であり(3.0ベータ版の問い合わせは「sales@ftrack.com」まで)、正式リリースは今秋を予定しているとのこと。

■ 「ftrack」について

「ftrack」は、VFXやアニメーションなどデジタル・コンテンツ制作現場向けに最適化されたプロジェクト・マネジメント・プラットフォームである。
2013年中頃に2クライアントから事業をはじめたという新興企業であるが、その優れたインターフェイスと機能により、The MillCinesiteMPC(Moving Picture Company)といった大手スタジオが立て続けに導入している。

現行バージョン「ftrack 2」の概要解説ビデオ

今回発表されたバージョン3.0では、主要ユーザーと密に開発を進めることで、同時複数の制作拠点におけるパイプラインならびに業界標準のVFX制作ソフトウェア群との統合化が図られている。
具体的には、ユーザーインターフェイスの改良、協働作業におけるシームレスなアセットの同期、そして活動拠点ごとなどの絞り込み表示へと瞬時に切り替えが可能な「グローバル・フィルタ(global filters)」機能が新たに導入されているとのこと。

ftrack3.0

ftrack3.0の「Overview」表示例

ftrack3.0

ftrack3.0の「Task board」表示例。新たにアーティスト向けに履歴検索ツールや外部のクライアント間とのレビュー&承認ツール、作業者間のコミュニケーションや通知を円滑に行える各種新機能が実装されているという

ftrackが急速にシェアを高めている背景には、その優れた機能に加え、Thinkbox Software社「Deadline」Imagineer Systems社「Mocha」Cospective社「cineSync」といった定評ある他のベンダーが開発する各種ソフトウェアとの高い親和性を実現することが挙げられる。さらに、ftrackの主要ユーザーであるThe Millとは、NUKEならびにHIERO向けプラグインを共同開発するなど、制作現場のニーズを積極的に採り入れた開発を行なっていることから今後は日本国内での導入も増えてくるかもしれない。

TEXT_Arihito Numakura(CGWORLD)


■ 関連 URL

・「ftrack」公式サイト
https://www.ftrack.com/
・「ftrack」日本語紹介ページ(ボーンデジタル)
 http://www.borndigital.co.jp/software/3559.html