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No.004:愛知工業大学 情報科学部 水野研究室

No.004:愛知工業大学 情報科学部 水野研究室

進路に関わらず広い視野をもってほしい

学部で卒業する学生が多いため各学生の研究期間は短い傾向にありますが、進路に関わらず広い視野をもってほしいという観点から、学生には積極的に学会発表を行うことを勧めています。発表の場は、情報処理学会DCC研究会DICOMO芸術科学会NICOGRAPHなどが多いです。

また、特に成果が認められる学生には国際会議の発表も勧めます。学外での発表は学生にとって研究の大きなモチベーションになり、私自身も学会発表には一定水準以上の成果を求めることから、学会発表をきっかけに研究のクオリティが大きく向上することも少なくありません。例えば、2013年以降にSIGGRAPHSIGGRAPH Asiaで発表した学生は5名おり、情報処理学会山下記念研究賞を受賞した学部生や、在学中に3本の論文が採録された修士学生もいます。

本研究室の特徴のひとつとして、様々な分野の人や団体との交流と、それをきっかけにした新しい研究や作品制作が挙げられます。交流のある人の中には『トリック』『SPEC』シリーズなどで知られる映画監督の堤 幸彦氏もいます。堤監督は愛知工業大学の客員教授でもあり、私の授業でも年に数回講義をしてくれます。そして、交流を通じて共同研究や制作もいくつか実施しています。例えば堤監督が提案して研究室で開発した「GAYAIT」は、多数のビデオ映像を同時再生しながら、そのうちのひとつを対話的に選択して強調再生できるインタラクティブ映像システムです[4]。このシステムは戸田恵子氏の舞台で実際に使用されたり、名古屋市科学館の常設展示物に採用されたのに加え、情報処理学会で優秀デモンストレーション賞を受賞したり、芸術科学会論文誌に採録されるなど、研究としても高く評価されています。堤監督が行う地域振興イベントに研究室の学生が参加したり、堤監督の演劇舞台の映像制作を手伝ったりすることもあります。

[4]S. Mizuno, R. Hirano, Y. Tsutsumi, "GAYAIT: An Interactive Video and Sound Art System handling a Large Number of Video Clips and its Applications", 芸術科学会論文誌, Vol.11, No.4, pp. 149-156, 2012.

▲同時再生しているビデオ映像の中からユーザーがひとつの映像を選択すると、その映像が拡大表示され、音声も強調再生されます。ユーザーの動作はWebカメラを使って撮影・検出しています

2017年からは東京ゲームショウにも出展

2017年からは、新たに東京ゲームショウへの出展を始めました。私も学生も東京ゲームショウへの参加経験は皆無だったため、展示用のゲーム制作からブースの飾り付けまで全てが手探りの状態でした。会場では周囲の豪華なブースに圧倒されましたが、中身のゲームは負けていないはずだと気持ちを切り替えました。展示したゲームは、掃除用コロコロを使って部屋を掃除しながらバイ菌を退治する「コロコロダストバスター」と、ピロピロ笛を使ってカメレオンになりきって虫を捕食する「ピロピロカメレオン」の2つです。どちらのゲームも、体験した方々はとても楽しんでくださり非常に好評でした。東京ゲームショウへの出展は私にとっても学生にとっても大きな刺激となりました。そして、2017年の経験と反省を糧にして、続く2018年、2019年も、規模を拡大して東京ゲームショウに出展しました。

▲東京ゲームショウ2017では2つのゲームを展示しました。【画像左】「コロコロダストバスター」は、部屋掃除に用いる粘着カーペットクリーナー(通称、コロコロ)を用いた専用デバイスを使い、床に投影されたゴミ映像を取り除くことで点数を獲得します。ゲームをクリアすれば、部屋もクリアになっていることが期待できます /【画像右】【映像】「ピロピロカメレオン」は、おもちゃのピロピロ笛の動きをKinectで認識させ、スクリーンに映る虫を補食するゲームです


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