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Vol.117 紫陽花

Vol.117 紫陽花

6月といえば梅雨。そして、思い浮かべる花といえば紫陽花でしょう。6月は水無月(みなづき)とも呼ばれ、紫陽花は水ととても相性の良いモチーフです。花の部分は小さくしとやかで、萼(がく)が可憐に装飾して魅せる。なんとも演出的な植物ですね。

※本記事は月刊「CGWORLD + digital video」vol. 263(2020年07月号)からの転載となります。


TEXT_早野海兵 / Kaihei Hayano(画龍)
EDIT_三村ゆにこ / Uniko Mimura(CGWORLD)、山田桃子 / Momoko Yamada

Method 1:梅雨の季節

6月の梅雨を思いながら、外出自粛により自宅でこの原稿を制作しています。雨が全てを流してくれたら良いですね。ひとりひとりの努力が多くの人命を救うことになることを祈っています。学生の頃は、とがったものや気持ちの悪いものを描いて目立とうとしていたこともありますが、この職に憧れた当初から「エンターテインメントに従事する者は人を幸せにするもの」と自分を律してきました。世の中が不安にあふれている今、少しでも華やかで和やかに、そして心休まる気持ちになってもらえたら嬉しいです。安直ですが、花には人を癒すモチーフ力がありますよね。そう、モチーフ選びはとても重要なんです。水面に広がる波紋をじっと見ていると気持ちが落ち着きます。また、水面や水中にユラユラと漂う花びらは何とも言えない情緒があります。今回は「6月」「梅雨」「紫陽花」「水無月」「水面」、これらをテーマに安らぐ画づくりを心がけました。


Method 2:花には


▲紫陽花は小さな花の集合体のような構造なので、1つとなる花はなるべく最小の構成にしておきたい。


▲これを半球状に並べると紫陽花っぽくなるのですが、そう簡単にはいきません。


▲発生から衝突判定で他の花に当たらないよう設定して配置します。


▲上手く避けてくれていますが、避け方がおおざっぱなのでスカスカな印象に。


▲標準のパーティクルでも試してみた結果、ベースの天球体の変な特徴を発見。パーティクルの発生順が模様のようになっています。これは頂点番号がおかしいのでしょうか。


▲頂点番号が一度で修正できないので、いったんバラバラにしてから力技でくっつけました。

Method 3:ゼネラリストの強みを活かしたシーン作成

1:配置にひと工夫


▲花同士の重なりが上手くできるまで、何回でも挑戦します。この手のシミュレーションは本当に忍耐力が必要です。


▲バリエーションとして、ひと回り小さなタイプも作成。元のものをスケールで配置することも考えましたが、花が妙に小さくなってしまうのできちんとつくることにしました。


▲あまり見えませんが、下の葉っぱもきちんと作成。要素は多い方が良いですね。


▲底の方に、花を囲んで舞う花びらの群を作成。標準のパーティクルではこう上手くいかないか......。


▲花を活ける石の手水鉢のようなものを作成し、そこにこびりつく花びらも追加。形状に合わせてシミュレーションしました。


▲これらの要素を手水鉢の中に上手く配置していきます。


▲自然に考えると、これだけの花を水の中に落としたら自然と花びらが離れてしまうはず。


▲全体的に花びらを合成。

2:明るくしてから締める


▲今回も8Kでレンダリングしました。花萼や葉脈まで繊細に見える8Kレンダリングは素晴らしいですね。


▲フレアなどの要素を追加して、全体的にフワッと明るい雰囲気にします。


▲一気に画像を締めて贅沢なビジュアルに。

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