この時期は画龍を創設した時期でもあり、初心に戻りつつ「龍」をモチーフに作品を制作してみました。その時々の流行や技術、アドバンス的なものなどを取り入れながら、今までとこれからを考える時間にしています。
※本記事は月刊「CGWORLD + digital video」vol. 264(2020年08月号)からの転載となります。
TEXT_早野海兵 / Kaihei Hayano(画龍)
EDIT_三村ゆにこ / Uniko Mimura(CGWORLD)、山田桃子 / Momoko Yamada
Method 1:アナログとデジタル
徐々に初夏に近づく今日この頃。これまで結構な数の「龍」のバリエーションをつくったなと、感慨深いものがあります。筆者が和風にこだわるのは、日本人でありながら日本の文化を表現しようとする人が少ないからです。『画龍点睛』を通じて、日本の素晴らしさが少しでも伝わると嬉しいですね。さて、今回のような非常事態に対処できなくなったのは、人間が過度に文明を発達させてグローバル化が進んだ結果と言えます。そして、集中ではなく分散、密ではなく個人、そして自然の摂理がとても重要だということを改めて考えさせられました。自然のままでいられることは、CGのようなデジタルとは相反するように思えますが、新しい社会「ニューノーマル」にデジタルはなくてはならないものです。「自然とデジタル」「アナログとデジタル」。昔から私がアートのテーマとして深く据えてきたものです。
Method 2:フォトグラメトリーと自然
▲こういったモチーフは、素材の量がとても大切です。なかなかイメージ通りのものは発見しづらいのですが根気よく。
▲最も目立つ頭部から、ざっくりとパーツを合わせていきます。なかなか思い通りにならない......。
▲細かいパーツも足して、頭部の形を整えていきます。変形などの人工的な要素はできるだけ追加しないようにします。
▲胴体のパーツの一部を作成し、Cloneでコピーして使います。最初のこの形が大切です。
▲標準のパスデフォームモディファイヤが使いやすくなったので、今回はローカルの方のモディファイヤを使用。
▲全体のバランスをとりながら手などを組み合わせていきます。
Method 3:ゼネラリストの強みを活かしたシーン作成
1:配置はアナログで
▲大切な構成要素のひとつである花の素材を集めました。重すぎず軽すぎずのバランスで。
▲花の素材を1つずつ丁寧に、オブジェクトペイントで配置していきます。
▲全体に配置し、ながれをつくります。
▲ライティングはドームライト等オーソドックスなものですが、リアルタイムの恩恵を受けています。詳しくは次ページの「ゼネラリストになりたい!」で。
▲空間を意識するために、空気中にちりを舞わせてみました。2Dの素材でも良いのですが、ここはより立体感を出したいのでParticle Flowで。
▲カメラのアングルを新しくしようと、今回は様々なアングルを検証しました。
▲最終的に、今までと逆方向のアングルで新しさを表現しています。
2:素材を分けてコンポジッ
▲今回も8K素材ですが若干の調整をしたかったので、「龍」「ちり」「背景」と要素を分けて出しています。
▲そのままのコンポジションだと、ちょっと明るすぎたりディテールが見えなかったりします。
▲これらを調整してまとめます。