スマートフォン向けゲームを企画・開発・運営しているf4samurai。現在、人気アニメ『コードギアス』の最新ゲーム作品『コードギアス 反逆のルルーシュ ロストストーリーズ』(以下、ロススト)の開発と運営を行っている。
2022年のサービス開始以来、本作は原作アニメのフィーリングを踏襲した演出によってファンの人気を集め、2023年11月にはサービス1.5周年を迎えた。そこで本記事では本作の開発において、f4samuraiの「3DCGモデル」「3DCGモーション」「エフェクト」「3DCG背景」の4つのセクションがどのように原作を活かしたゲームづくりを行っているかをうかがった。
初回は『ロススト』ディレクターを務めているMuramatsu氏と、『コードギアス』の魅力のひとつである、人型兵器 “ナイトメアフレーム”を3DCGモデリングで再現したリードデザイナーのWakabayashi氏からお話を伺った。 “ナイトメアフレーム”のモデル・シェーダーのこだわりや制作を支えた個々のスキル、職場の雰囲気などについて掘り下げていく。
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IPゲームタイトルにおける3DCGの作り方
-コードギアス 反逆のルルーシュ ロストストーリーズ編-
リード3DCGデザイナーを務めたWakabayashi氏が登壇します。
ファンの気持ちになって制作したモデル
——本日はよろしくお願いします。まずは自己紹介からお願いします。
Wakabayashi:リードデザイナーのWakabayashiです。『ロススト』で3DCGモデリングを担当しています。
Muramatsu:ディレクターのMuramatsuです。よろしくお願いいたします。
Wakabayashi氏
リードデザイナー
2016年中途入社
Muramatsu氏
ディレクター
2017年中途入社
ーーおふたりは『ロススト』制作にはいつごろから携わられていますか?
Muramatsu:私は一番はじめの企画書を書くところからです。当時は他の運用中タイトルを担当していたのですが、ちょうどサービス終了に向けて準備をしていた時期に社内のプロデューサーから声をかけられる形で『ロススト』プロジェクトにも携わることになりました。それまでディレクターの経験はなかったのですが、僕が原作の『コードギアス』の大ファンであることをそのプロデューサーが覚えてくれていて、チャレンジしてみないか、と。話をもらってから数日で企画書をつくったのを今でもよく覚えています。
Wakabayashi:そしてプロジェクトが立ち上がった数ヶ月後に、私が別のプロジェクトと兼務するかたちで入ることになりました。
Muramatsu:Wakabayashiさんが本格的にプロジェクトに入ったのはそのタイミングでしたが、立ち上げ期から3DCGまわりの相談には乗ってもらっていました。ひとつ前のプロジェクトで一緒に仕事をして、「また一緒に仕事したい。いつか『ロススト』に来てほしい!」と思っていたので……役員にアサインの相談をして、無事メンバーに加わってもらえることになったという経緯です。
——初期のモデル制作で、クオリティラインの決め方や苦労したことを教えてください。
Muramatsu:正直、Wakabayashiさんに入ってもらうまでは全然うまくいっていなくて……(苦笑)。版元さんも「うーん……」という反応でしたし、私としても納得のいくクオリティが出せていませんでした。その後Wakabayashiさんが入って、「何をもって“かっこいい”と解釈するか」の言語化や分解をしてくれて、そのおかげでモデルのクオリティがぐんと上がりました。
Wakabayashi:僕が入ったタイミングでは「数機分のモデルをつくってみたものの、みんなピンと来ていない」という状態だったので、まずはそれぞれがなぜ・どうかっこいいのかを分析して、メンバー同士ですり合わせるところから始めました。
Muramatsu:僕は「出番が多くなりそうな量産機のクオリティを大切にしたい」と思っていたのですが、Wakabayashiさんも同じ思いだったので、最初は量産機である”サザーランド”をテーマにしました。
——『ロススト』の特徴といえば、3Dモデリングによるナイトメアフレームですよね。制作ツールはどんなものを使用していますか?
Wakabayashi:MayaとPhotoshopを使っています。昔ながらのつくり方というか、モデルをつくったものにPhotoshopでテクスチャーを描き、Unityで実装しています。
——『ロススト』の3DCGモデルのこだわりについて教えてください。
Wakabayashi:原作のナイトメアフレームは、特に顔にすごくこだわってデザインされていると感じるのですが、僕がプロジェクトに参画する前につくられたモデルには、原作で見られるかっこよさが表現しきれていないという課題がありました。
例えばサザーランドについては、一見頭部の赤く光っている部分が目に見えるのですが、その下にも顔のようなデザインがあります。さらに全体で見ると、兜を被った武士のようなフォルムになっていることが分かります。このように、まずは一つひとつのナイトメアフレームのデザインを考察して定義することに時間をかけました。モデリングのこだわりとしては、当たり前ではありますが3DCGモデルは様々な角度から見られることになるので、どこからみても顔の印象が破綻しないように気をつけました。
Wakabayashi:原作アニメの「この角度の、このカットがかっこいい!」という印象を僕も含めファンの皆さんは持っていると思うので、ファンの気持ちになってそんなカットが観られるよう、モデルに盛り込んでいきました。
またロボっぽさとして、曲線がクルっといいカーブを描いていて、スタイルもウエストはキュッと締まり、二の腕は太いところは太くなっている近未来的なシルエットを目指しましたね。
ゲーム全体のバランスを考慮したシェーダー
——シェーダーやテクスチャについてはいかがでしょうか?
Wakabayashi:ユニティちゃんトゥーンシェーダーベースで拡張したものを使いながら方向性を探っていきました。アニメを原作としていてキャラクターは2Dイラストで登場することを考えると、3DCGモデルもある程度コントラストを強めに出して、パキッとしたセル調にさせることが必要だと考えました。
『ロススト』は一般的なロボット表現にありがちなキズや汚れがあるような印象ではないので、原作に合わせて、戦いの生々しさを出しすぎないようなバランスをとっています。あとはセル調の度合いや、使えるテクスチャの枚数と相談しながらつくっていますね。
Wakabayashi:具体的にいえば、ハイライトと影のメリハリにはこだわっています。はっきりと明暗をつけるようにしていますね。
ランスロットでいうと、ゴールドの部分と白い部分の差を意識しています。ゴールド部分がところどころ白飛びするくらい明るいトーンになるので、白と差別化するために白い部分はベーステクスチャをグレーに落としたりしています。
Muramatsu:『ロススト』は、背景はがっつりセルルックでもないんです。また、2Dキャラのカットインなんかも入ってくる。そこに合わさるモデルとして違和感のないようにバランスをWakabayashiさんが調整してくれました。
熱量をもって取り組める人と働きたい
——f4samuraiでは現在、3DCGデザイナーを募集中ですよね。どんな方が来てくれると嬉しいですか?
Wakabayashi:当社では現在新作の3Dゲームも開発していることもあり、3DCGデザイナーを積極採用中です。どのプロジェクトでも共通していることとしては、一緒に「いいモノを作ってユーザーの皆さんに届けたい」という気持ちで熱量を高く持ってくれる方がいいですね。また『ロススト』では今よりさらにこだわった、質の高いアウトプットを目指していきたいので、『コードギアス』シリーズが好きな方に来ていただけると嬉しいです。
Muramatsu:今後、会社としてはさらにいろんなものをつくれる3DCGチームになっていけるといいなと思っています。モデリングで言うなら人もメカも、それ以外もあるでしょうし。
求められたアウトプットをしっかり出すことも大切ですが、やはりクリエイター本人が「ゲームをより良くしたい!」とか「ここをもっとかっこよく作りたい!」というモチベーションを持った時の推進力はすごいと感じています。自分のなかで何かしらの強い愛やプライドを持っている方だと、チームとしての力もさらにレベルアップしていける気がするので、個人的にはそういう方に来ていただけると嬉しいですね。
——確かにお話を振り返ると、会社自体もものづくりに対して熱量があるし、作りたいビジョンがある3DCGデザイナーを受け入れてくれる素地が大きそうですね。中途はもちろん、新卒のクリエイターも活躍できそうです。ありがとうございました。
おまけ:f4samurai『ロススト』チーム制作メンバーのすごいところ! その1
今回は『ロススト』メンバーのチームワークについて伺う座談会もお届けする。初回では主にモデリングチームが他のセクションとの連携について、モーションデザイナーのNaka氏、エフェクトデザイナーのTakagi氏、そして背景デザイナーのYoshida氏らと語ってもらった。
——まず開発にあたって、チームとしての会議などはどうしていますか?
Wakabayashi:チームとしての括りで言うと、毎日昼頃に全体の進捗確認をしています。そこで各セクションとのコミュニケーション漏れがないようにしています。
——チームの連携が特に生まれる部分について教えてください。
Wakabayashi:最も連携が発生するのはカットシーン制作ですね。Nakaさんがベースのモーションとカメラを作り、それにふさわしい背景をYoshidaさんが作ってくれて、エフェクトはTakagiさんにつけてもらう。全員で出来映えに納得がいくまで、協力しながら作っていきます。
——他のメンバーから見て、Wakabayashiさんの仕事はどのように見えていますか。
Naka:特にモデルの顔にこだわってつくっていますよね。自分でけっこうやってませんか?
Wakabayashi:やってますね。ナイトメアフレームの斜めの印象は、やっぱり設定画に合わせたほうがよくなるので合わせています。ただ横や斜めだけで合わせると、正面から見たときに「かっこよくない!」となってしまうことがけっこうあるので……正面はアレンジというか、自分なりにかっこよく見えるポイントを意識しながらシルエットを作り込むのがポイントかなと思っています。
Naka:なるほど。そんな感じでいつも調整してるんですね。
Muramatsu:Wakabayashiさんはチームを管理する能力が高いですよね。「このデザイナーさんの得意なことややりたい表現はこれだから、このカットを任せよう」とか、ただ機械的に業務を割り振るだけではなく各メンバーの得意分野やモチベーションを意識していて、素晴らしいマネジメントだと感じています。
Wakabayashi:自分もプレイヤーだからこそ、「できる限りそのメンバーの良さが発揮できるように」という点は特に意識しているかもしれません。
次回は1月16日(火)に「3DCGモーション」を担当されたお二人のインタビュー、
「第2回 モーションデザイン編―映像経験者の腕が光るカットシーン制作」を公開予定です。お楽しみに!
▼求人情報
■募集職種
①3DCGモデラー | open.talentio.com/r/1/c/f4samurai/pages/87611
②3DCGモーションデザイナー | open.talentio.com/r/1/c/f4samurai/pages/84864
③エフェクトデザイナー | open.talentio.com/r/1/c/f4samurai/pages/84257
④3DCG背景デザイナー | open.talentio.com/r/1/c/f4samurai/pages/84555
※いずれの職種も『コードギアス 反逆のルルーシュ ロストストーリーズ』もしくは『新規3DCGゲームタイトル』の開発・運営に携わっていただきます。
<参考記事>
3DCGデザイナーのお仕事紹介 | note.com/f4samurai/n/nb2b4579ddedb
リード3DCGデザイナーインタビュー | recruit.f4samurai.jp/interview/473
■雇用形態
・正社員(試用期間3カ月 ※本採用時との待遇差なし)
※ご希望・ご経験により業務委託でのオファーをするケースもあります。
■勤務地
〒101-0021
東京都千代田区外神田4-14-1 秋葉原UDX 北ウイング14階
■待遇
給与 :
経験・能力を考慮の上、当社規定により決定します。
想定年収(メンバー):450万円 ~
想定年収(リーダー ):650万円 ~
※みなし固定時間外手当(45時間相当分)を含む月給制
(みなし固定時間手当を超える時間外労働分の割増賃金は追加支給)
※賞与制度あり(年2回)
福利厚生 :
通勤手当(上限50,000円/月)、社会保険完備、健保組合保養所、健康診断、他
■勤務形態
月・金:リモート勤務
火・水・木:秋葉原オフィス勤務(原則出社必須)
■休日・休暇
完全週休2日制(土曜・日曜)、祝日、年次有給休暇(入社時付与あり)、年末年始休暇、慶弔休暇、夏季休暇、特別半休制度(1ヶ月に1度使用可能)
※年間休日120日以上
TEXT_葛西 祝 /Hajime Kasai
PHOTO_弘田 充 / Mitsuru Hirota