【サイコム】GPUだけではない。自動車や建築など、ノンゲーム領域でのUnreal Engine運用を支えるPCパーツの役割|Boost with Sycom #06
デザインビジュアライゼーションなど、自動車や建築、製造業といった産業分野でもUnreal Engine(以下、UE)の活用が進んでいる。そこで今回は、Unreal Authorized Instructor(UAI)に認定されたArcnelの向井秀哉氏に、産業分野でUEを活用する際に考慮すべき各PCパーツの役割を解説してもらった。
産業の現場視点で見る、UEの各種処理を支えるPCパーツの全体像
Arcnelの向井です。今回は、自動車・映像・建築など3Dを扱う産業の現場でUEを活用されている方々に向けて、「どのパーツがUEのどの処理に影響するのか」、「スペックを上げると何が速く、快適になるのか」を整理しました。あわせて、先日リリースされたUE5.8の注目機能にもふれていきます。
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AI・3DCGなど先端技術の導入と、テクノロジー企業の日本市場参入を支援するテクノロジーコンサルティング企業。自動車・映像・建築など3Dを扱う産業の現場を深く知る強みを活かし、技術導入・教育・市場参入の3領域を軸に、技術を活用する企業とテクノロジー企業の双方を支援する。
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UEにおいてGPUがfpsに関わることはご存知の方も多いでしょう。一方、CPUやSSD、メモリ、冷却が具体的にどう影響するかは判断が難しいところです。
そこでまずは、UEの主要な処理ごとに、どのパーツがボトルネックになり、スペックを上げると何が改善するのかを表にまとめました。なお全ての局面に共通して、高負荷が長時間続くため、冷却が「出せる性能の上限」を実質的に左右します。加えてマザーボードが各パーツの帯域や安定供給、拡張余地を決め、電源が連続フルロード時の安定性を決めます。
GPU(グラフィックスボード)
ここからはパーツごとに解説していきます。ご存知の通り、GPUはリアルタイム描画や高品質レンダリングにおいて、最も体感に直結する最重要パーツです。ここでは、GPU性能が大きく影響する主要機能を紹介します。
映像制作などのアーティストは「見た目の品質とビューポートの軽さ」を、アプリケーション開発などのエンジニアは「ターゲットフレームレートの達成」を重視するなど、立場によって求めるものは変わりますが、どちらもGPUが土台になります。
ただし最終的な描画速度(fps)は、CPUの処理やディスクからのストリーミングなど、GPU以外も含めたあらゆる処理の結果として決まります。つまり、GPUだけで全体の処理速度が決まるわけではありません。
スペックが高いと向上すること
・ビューポートが重いシーンでも滑らかに動き、編集効率が向上
・Lumenをより高品質な設定で扱える
・パストレーサーなどの書き出し時間を短縮
・4K/8Kや高サンプルのファイナル出力が現実的に
VRAM(GPUメモリ)
GPUに搭載されるメモリです。GPUの「性能」とは別軸で、容量が足りないとクラッシュの原因にもなります。
実際、映像制作でMovie Render Queue(MRQ)/Movie Render Graph(MRG)での書き出し時に落ちてしまうというご相談をいただくことがありますが、VRAM不足が原因のケースも少なくありません。映像用途では品質が求められる分、高解像度テクスチャの多用や4K以上でのレンダリングでVRAMを一気に消費するため、GPUコアの速さよりも先に容量の上限に達してしまいがちです。
UE公式ドキュメントでは、VRAM 8GB以上が推奨されています。「GPUコアは速いがVRAMが少ない」構成は、映像制作や大規模制作では足を引っ張りやすくなります。またUE5.8でUnreal MCPが実験的機能として追加されたように、UEを扱う職種でもAIを使う機会は増えていくでしょう。
VRAM需要は今後も高まる一方です。私自身、一昨年PCを新調した際「重ければ自分で軽くすればいい」とVRAMを少しケチったのですが、AIを扱う機会が増えた今、もっとVRAMの多いGPUにしておけばと後悔しています(苦笑)
スペックが高いと向上すること
・高解像度テクスチャ・大規模シーンが扱いやすくなる
・高解像度なレンダリングがしやすくなる
・より大きなAIモデルのローカル実行が可能になる
逆に、不足すると支障を来すこと
・テクスチャがぼやける
・エディタがクラッシュする
CPU
リアルタイム描画では脇役に思われがちですが、ランタイムの計算にもCPUが関わるため処理負荷に影響しますし、作業中の「待ち時間」を生む事前計算を担うことも多い重要なパーツです。
よくご質問いただくのが、マテリアル、特に半透明や複雑なマテリアルを編集して適用したときの待ち時間が長いというケースです。1回あたりは数十秒でも編集の度に発生するため、地味なストレスと効率低下に直結します。CPU性能を高めれば、この待ち時間を削減できます。
スペックが高いと向上すること
・シェーダーコンパイル、ライティングビルド、Cookなどの「待ち時間」を短縮
・作って確認するサイクル(イテレーション)が速くなり、制作全体の速度が向上
SSD(保存ディスク/ストレージ)
「保存する容量分があればOK」、「容量さえあれば何でも同じ」と思われがちですが、UE5にはNaniteなどストレージからストリーミングする機能やキャッシュがあり、ストレージ速度も重要です。
UE5の制作環境としては、NVMe接続のSSDをオススメします。SATA接続のSSDでも問題はありませんが、大規模プロジェクトやDDC、Nanite/Virtual TextureのストリーミングではNVMeが有利で、HDDは避けたいところです。現状はGen4で十分。Gen5は将来性を見越す場合や、予算に余裕がある方向けでしょう。
スペックが高いと向上すること
・起動・ロード・ストリーミングが速くなり、Naniteメッシュが大量にあるシーンでも、ストリーミング時の待ちや表示の遅れを抑えやすい
・DDCやキャッシュの読み書きが速くなり、キャッシュ済みデータの読み込みや再利用が速くなる
・容量に余裕があればキャッシュを消す手間が減り、作業を効率化できる
メモリ(システムRAM)
CPUが処理するデータや、GPUへ転送するデータなどを一時的に置くスペースです。UEや他アプリケーションの「作業机」のような役割で、「作業の快適性」と「落ちないこと」に関わってきます。産業分野では3D CADのデータ変換やインポート時に多くのメモリを使用します。普段の作業は64GBで足りていても、CADのインポート時には128GBが必要になることもあります。デザイン検証ではインポートをくり返すことも多いため、作業効率に直結する部分です。
UE公式ドキュメントでは32GB以上が推奨されていますが、実際の作業に用いるPCでは、64GB程度を搭載するケースが多い印象です。CADをインポートする方や、大規模映像・重い並行作業を扱う方は、128GB以上あると安心でしょう。
スペックが高いと向上すること
・重いシーンや並行作業でも動作が安定し、クラッシュ(メモリ不足)を防げる。
・重い3DモデルやCADデータのインポートが可能になる
・他のアプリケーションを開いたまま、UEを快適に扱える=作業の効率化できる
逆に、不足すると支障を来すこと
・ビルド・エディタがクラッシュする
・大規模データのインポートに失敗する
冷却装置(空冷/水冷)
UEの機能に直接紐づくものではありませんが、各パーツのスペックを実際に出し切れるかどうかが変わってきます。UEの作業では高負荷が長時間続くことも多く、熱がこもりすぎるとサーマルスロットリングが働いて処理速度が低下します。冷却性能が高いほど高クロックを長時間維持でき、ビルドや各種処理の速度が安定するわけです。
サイコム製のPCには静音性に配慮したものも多く、製品によっては高負荷時の動作音も抑えられています。マシンにとってもユーザーにとっても、長時間作業が快適になります。
冷却方式については、空冷がコストパフォーマンスとメンテナンス性に優れる一方、適切に設計された水冷構成、特にGPU水冷は高負荷時の冷却力と静音性に優れます。サイコムのCPUとGPUのデュアル水冷は、ハイエンドGPUを長時間フルロードする映像制作のユーザーにとって、メリットの大きい構成だと思います。
マザーボード
正直、GPUやCPUに比べると気にされない方が多いかもしれません。ですが、他パーツの帯域や拡張性、安定供給の上限を決める土台になります。将来的なメモリやSSDの増設、GPUの換装にも関わる部分です。
サイコムではGPUのみの換装にも対応しているため、余裕を持ったマザーボードやケースを選んでおくと、将来的な出費の削減にもつながります。
スペックが高いと向上すること
・高速SSD・大容量メモリ・ハイエンドGPUの性能をフルに活かせる
・高負荷でも電力供給が安定し、性能が頭打ちにならない
・後からの増設・換装に対応でき、長く使えるため費用対効果が高い
[まとめ]用途に応じて、パーツ構成を考えよう
UEのパフォーマンスというとGPUに目がいきがちですが、他のパーツ次第でイテレーションの速度や作業の快適性が変わってきます。CPUやSSD、メモリ、冷却がどのように影響するかを知ることが、PC選びの出発点になります。
仕事柄「どのようなPCを買えばいいのか?」というご相談を受けることが多いのですが、正直なところ用途次第です。ハイエンドなリアルタイムコンテンツ制作なのか、映像用途なのか、CADをインポートしてデザインレビューを行うのか、同じ予算でも、お金をかけるべき場所は変わります。
全てのパーツを最高スペックで揃えられるならそれに越したことはありませんが、昨年からメモリやSSDの価格高騰も続いています。最後に、用途別にオススメのサイコムPCを3モデル紹介します。
Unreal Engine向け、用途別オススメの3モデル
【リアルタイム編集/体験型コンテンツ制作】
G-Master Hydro Extreme X870A
- CPU
AMD Ryzen 7 9800X3D
- GPU
サイコムオリジナル水冷仕様 Hydro LC Graphics Plus GeForce RTX5090 32GB
- メモリ
64GB
- SSD
Crucial T710 CT2000T710SSD8 (M.2 PCI-E Gen5 SSD 2TB)
【映像制作(パストレーサー等の高品質出力)】
Radiant GZ3600X870A
- CPU
AMD Ryzen 7 9700X
- GPU
NVIDIA GeForce RTX5090 32GB(Manli製Nebula GeForce RTX 5090 OC 32GB GDDR7)
- メモリ
64GB
- SSD
Sandisk WD Black SN7100 WDS200T4X0E (M.2 PCI-E Gen4 SSD 2TB)
【大量・高品質アセットの使用/CAD変換】
Radiant GZ3600B860
- CPU
Intel Core Ultra 7 270K Plus
- GPU
NVIDIA GeForce RTX5060Ti 16GB(Sycom製Silent Master Graphics RTX5060Ti 16GB)
- メモリ
128GB
- SSD
Sandisk WD Black SN7100 WDS200T4X0E (M.2 PCI-E Gen4 SSD 2TB)
ご購入に関するお問い合わせ
株式会社サイコム
TEL:048-994-6070
e-mail:pc-order@sycom.co.jp
平日10時~12時、13時~17時(土日祝祭日はお休み)
www.sycom.co.jp
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