AEJuice導入のススメ!制作効率の向上に効果を発揮。85種のプラグインと11,000以上のプリセットを収録したコスパ最強のバンドル「I Want It All Bundle」をプロがレビュー
After Effects、Premiere Proなどビデオエディタのソフトウェアで使用できるプラグインやアニメーション、プリセット、映像素材、ツールを提供するAEJuice。あらゆるプラグインが登場する昨今だが、圧倒的なコストパフォーマンスを誇るAEJuiceの名前を聞いたことがある人は多いだろう。今回はそんなAEJuiceを実際に導入した場合、クリエイターにとってどれほどのメリットがあるのか?CGクリエイターそうらい氏に検証していただいた。
そうらい氏にはCGWORLDから緊急の映像制作の依頼が入ったという想定で、AEJuiceが提供する中でも最も人気のバンドル「I Want It All Bundle Lifetime」を使用して作品を制作してもらった。プロの目線からAEJuiceを使用することでどんなメリットがあるのか、またどんな活用方法があるのか、検証後のそうらい氏が語る。
AEJuiceとは?
AEJuiceは前述したようにAfter Effects、Premiere Proユーザー向けのプラグインとプリセットを提供する企業だ。AEJuiceの製品は映像制作の効率を向上させることを目的としており、アニメーション、トランジション、エフェクトなどの多岐にわたるビジュアルコンテンツの制作をサポートする。
特に「I Want It All Bundle」シリーズは、豊富なプリセットとプラグインを一つのパッケージに集約して提供し、多くの映像クリエーターから高い評価を受けている。その他にも、「FILM VFX Bundle」、「Triune Bundle」など多種多様なバンドルを提供している。
プロが実際に検証!具体的な使用方法とおすすめのアセット
そうらい氏が制作したAEJuice検証動画
CGWORLD(以下、CGW):自己紹介をお願いします。
そうらい氏(以下、そうらい):CGクリエイターのそうらいと申します。普段はBlenderをメインツールとして広告映像の制作に携わっています。最近で言うと、デジタルサイネージ用の映像を制作しましたね。あとは、Xや、YouTubeでBlenderのTipsを発信していたりします。
意外と知らないマジで使える裏技
— そうらい (@SoraiCG) April 8, 2024
Shift Rで直前の操作を繰り返すテクニックを使ってこんなものがすぐに作れます。 #blender #b3d pic.twitter.com/wF7It0U16d
CGW:今回は検証ありがとうございました。使用してみてどのように感じられましたか?
そうらい:私自身、AEJuiceの製品を使用するのは初めてでした。以前からAEJuiceの名前は度々耳にしており、興味は持っていましたが、実際に使用してみて感動しました。制作効率のアップに非常に効果的な一手になると思います。使用感、プリセット・プラグインの量と質、そしてコスト面いずれの面でも期待を超えるものでした。
CGW:今回使用されたAEJuiceが提供するバンドル「I Want It All Bundle Lifetime」には何が収録されているのでしょうか?
そうらい:85種類のプラグイン、11,000種類以上のプリセットが収録されています。まずこれだけのプラグイン、プリセットがこの価格で手に入ってしまうのか!?と驚きました(笑)。AEJuiceさんの提供する製品の中でも一番人気があるというのも頷けるボリューム感ですね。
CGW:たしかにすごいボリュームですね(笑)。しかし、それだけボリュームのものをダウンロードするとストレージが圧迫されないか少し心配ですね。
そうらい:確かに、その点も私も気になっていた部分ですが、結局それは全く問題になりませんでした。After Effects上でAEJuiceを開くと、プレビューページが立ち上がり、バンドル内のアセットがどのような効果をもたらすのか視覚的に確認できます。そこで使用するイメージに近いものだけを選んでダウンロードする構造になっているのでストレージを急激に圧迫するような事態が発生することはなさそうです。
インストールの手順
①販売ページで、バンドルを購入する。
②インストール
③After Effectsを立ち上げ、「Window」→「AEJuice Pack Manager」を選択
④プレビューを確認し、任意のアセットを選択
⑤Importボタンをクリックするとコンポジションにアセットがインポートされる
※そうらい氏が制作したAEJuice検証動画の(00:35)以降を参照
CGW:では実際に今回の制作でそうらいさんが使用したアセットを教えてください。
そうらい:今回使用したのは「BIG IMPACT」です。「BIG IMPACT」だけでも、200種類以上の爆発、隕石、煙などの素材が収録されています。
CGW:こちらをどのように使用されたのでしょうか?
そうらい:今回は、短い時間でどれだけのものが作れるのかということを検証したかったので、「小屋が爆発するシーンを明日までに作る必要がある」という想定で制作しました。
具体的には、まず背景画像を配置し、次に「BIG IMPACT」の中から使えそうなアセットをインストールして、大きさ、角度を調整しながらアセットを配置していきました。さらに、After Effectsの標準エフェクト(ディスプレイスメントマップ)も同時に活用しながらリアルさを出していきました。この作業の繰り返しですね。トータル40分ほどで制作は完了しました。
CGW:40分ですか!?短時間でここまでのものが作れるんですね、驚きです。もし今回制作した作品を、AE juiceのアセットを導入せずに制作する場合、どのくらい時間がかかりそうですか?
そうらい:ちょっと想像できないですね(笑)。アセットがない場合だと、それぞれの素材を1から作ることになるのでかなり時間がかかります。他のアセットを使用する場合でも、クオリティー、選択肢の数を考えれば、1から制作する場合ほど時間はかからないにしても、40分では完了できないと思います。もちろんAfter Effectsなど、使用しているツールの熟練度も影響してきますが。
CGW:他におすすめのアセットはありますか?
そうらい:「PLANTS PACK」もおすすめです。背景で植物を使用する機会は非常に多いと思います。このパックを使用すれば多種多様な植物を容易に配置できます。4K解像度で108種類の植物、平原が収録されています。また、すでに風に揺られているような自然なアニメーションも付与されているので、一つ一つにアニメーションを施す手間も省けます。背景制作の効率化にかなり有効なアセットだと思います。
「BROKEN GLASS」もおすすめですね。ガラスの画像素材は今までにもたくさんありましたが、このアセットはアセットで付与したガラスの割れ目に反応して、背景の素材が歪むのでリアルな表現を素早く実現できます。
他には、今回使用していないですが、トランジション素材にも今後使いたいものがありますね。例えば、「Light Swipe Transitions」です。疾走感のある海外風のMVなどにぴったりな演出になりそうです。
クリエイターのレベルアップに比例してAEJuiceの活用範囲はさらに広がる
CGW:どんな人におすすめしたいですか?
そうらい:やはりAfter Effectsを多用する人ですかね、あとは個人作家さんだったり、一つのコンテンツを一人で完成させたいというような人には特におすすめですね。
当たり前ですが、少人数であればあるほど、制作する上でどこに時間をかけるのか?という優先順位付の重要性は高まります。「キャラクターのビジュアルに一番拘りたい、でも背景や、トランジションがチープになるのは避けたい。そして時間がない。」こんな場合は特にAEJuiceが活躍する場面だと思います。
CGW:先ほど使用者の熟練度にもよるというお話が出ましたが、使用者の熟練度という観点から考えた場合どのようなメリットが考えれるでしょうか?
そうらい:初心者の方にとっては、色んな素材が手に入って演出の幅が広がるきっかけになったり、まず完成させるという学習の初期段階でつまづくポイントを超えるためのツールとして活躍しそうですね。
中、上級者にとっては業務効率化、演出の幅を拡張するツールとして重宝されると思います。
案件で制作する場合必ず時間には限りがあるため、制作過程において「選択と集中」は必須になってきます。AE juiceをインストールすれば、これまでと違う時間配分で制作をすすられます。AEJuiceで効率化した分の時間を、他のより重要な箇所の作業に時間を費やしたり、AEJuiceのアセットで一定のクオリティを担保した上でその部分をさらに編集しクオリティアップするというような選択肢が生まれます。
また、インストールしたアセットはかなり自由に編集できる印象です。
検証動画でもご紹介しましたが、使用しているソフトのエフェクトや、演出と組み合わせることでさらにイメージに近い表現に編集することが可能です。この演出の幅は、制作技術の熟練度に比例して指数関数的に広がるので、自分のレベルが上がるにつれさらにAEJuiceの活用範囲は広がると考えていいでしょう。
CGW:なるほど、今回は検証ありがとうございました!
INTERVIEWEE_そうらい
TEXT&EDIT_中川裕介(CGWORLD)/Yusuke Nakagawa