ゲームクリエイター 中村育美 × 写真家 佐藤健寿 廃墟をめぐる特別対談 ~『ハハハハイキョアドベンチャー 世界廃墟探索記』刊行記念~
『大神』、『ベヨネッタ』、『サイコブレイク』、『Ghostwire:Tokyo』など様々な人気ゲームタイトルのアートを担当し、現在は気鋭のゲーム会社UNSEENの代表を務めるゲームクリエイター・中村育美氏。そんな彼女による廃墟・廃景の写真集『ハハハハイキョアドベンチャー 世界廃墟探索記』がボーンデジタルより発売された。
その刊行を記念し、著者である中村と、彼女が長年のファンを公言する写真家にして、『奇界遺産』シリーズや人気番組『クレイジージャーニー』でも知られる佐藤健寿氏の対談を実施。アートとして、愛好の対象として廃墟と向き合ってきた二人に廃墟の魅力を語ってもらった。
ウェブサイトの運営者とファンから始まった二人
ーーまずはお二人の出会いや関係性について教えてください。
中村:ただの、ファンとすごいサイトの運営者として出会いました。
今日でお会いするのが2回目で、前回お会いしたのは、たぶん5年前くらいですね。そのときは私から「ずっとX51.ORG(※佐藤が運営する個人サイト。オカルト、超常現象、UFOなどの海外ニュースを発信していたが現在は更新停止中)憧れなので1度お会いしたいです」みたいなメールをお送りしました。
佐藤さん、よく素性も知れない人に会ってくれたなと思います。
佐藤:僕の方も、中村さんのことはサイトで知ってたので。
元々、なんかすごい日本人がいるなとは思ってたんですよね。ただ廃墟を巡るのとは違うのがあって、サイトの造りが頭1つ2つ抜けてる感じもあって。だから連絡を頂いたときに「ああ、あの方ですか」という感じで会ったんだと思います。
中村:そうですね、そのときも「ゲームクリエイターの中村です」じゃなくて「廃墟のサイトをやってます.....」と挨拶しましたね。
佐藤:お会いして初めてゲームクリエイターの方だと知りましたね。
中村:私の方は、X51.ORGから佐藤さんのファンで。『クレイジージャーニー』に出演されたときは「X51.ORGの人がテレビに!」と思いながら観てました。
佐藤:X51.ORGをやってた時は全然名前を出してなかったのもあって、サイトと僕が結びついていない人は結構多いんですけどね。いずれにしろ、ウェブログという言葉が出始めた2002年に、なんとなく始めたブログがあって、それでできたX51.ORGがここの関係の始まりですね。
ーーちなみに、佐藤さんはなぜX51.ORGのようなオカルトを題材にしたブログを?
佐藤:大学で写真をやってたのもあって、どこかに行ってみようと思ってたときに「そういえばエリア51ってどうなってるんだろう」と思って行ってみたんですけど、それが冒険感があって面白かったんですよ。「エリア51に行くと黒い車が監視に来る」という都市伝説のような噂があるんですけど、行ってみたらホントに黒い車が来て(笑)。映画のロケ地に来たような気持ちが味わえたのがきっかけで、それ以降いろんな所に行くようになりましたね。
中村:今の時代のように翻訳ツールがない当時は、情報を探すのも難しくて。でも佐藤さんのX51.ORGのおかげで日々私の心は潤っておりました。ありがとうございます。(笑)
「美しい廃墟」よりは「廃墟での体験」を
ーー先ほど「映画のロケ地に来たような気持ち」という言葉が出ましたが、お二人的には廃墟の美しさそのものよりもそこでの体験などの方を重視されていたりするのでしょうか。
中村:そうですね。廃墟の美しい写真が撮りたいわけではないんですよ。そこでの体験だったり、匂いとか空気とかの方が重要で。意識としてはそっちにフォーカスしてるので廃墟の美しい写真展みたいなとか呼ばれちゃうと、違うんだよな.....ってなることがあります。
佐藤:自分もいわゆる専門の「廃墟写真家」ではないですね。だからいわゆる廃墟写真家の人たちと並べられたり、イベントに呼ばれて喋ったりするんですけど、やっぱり引け目は感じますね。
中村:この廃墟写真集は、廃墟の本質的な部分を写真で伝えて、スリリングで冒険的な瞬間は漫画やイラストで表現し、読者さんにワクワクを伝えたいと思って制作しました。
佐藤:これだけ撮ってたらかっこつけた写真集の1つも作りたくなるものなんですけどね。
中村:全然そういう気持ちにならないんですよね(笑)
佐藤:拝読しましたが、中村さんには変なナルシシズムがないですよね。「廃墟に佇む私」みたいな感傷が全くなくて、カラッとしたワクワクだけを詰め込もうとしてる。
だから廃墟にポエムを添えるようなありがちな表現がまったくなくて、読み終えてもジーンとは来ない(笑)。タイトルが示すように廃墟の本というより、冒険の本になっていたと思います。
中村:アドベンチャーというタイトルも、そこにフォーカスしたくて。
佐藤:ただ趣味的に廃墟を巡ってるという人はいっぱいいるんですが、中村さんはその体験をゲームというアウトプットに落とし込んでいるのがすごいですよね。それに、どのページを開いても子供心がくすぐられる様な本なのがとてもいい。僕が本を出したときも、どのページを開いても子供心がくすぐられるような本を作りたいと思って作っていたので。
中村:私も同じかもしれないです。
廃墟だけじゃなくて、 メキシコの人形島みたいな「廃墟じゃないけどちょっと悲しい出来事があった場所」なんかを入れていたりするところとか、ほぼ字がなくてイラストで表現しているところとか。考え方は似てますね。
佐藤:え、人形島は廃墟じゃないですか?
中村:なんとも言えないですけど、私は廃墟じゃないと思いますね。
佐藤:なら、中国の緑の島の漁村なんかは?あそこは廃墟だと思います?
中村:嵊山島の廃漁村ですね。あそこは人が住んでる家が一件だけあったんで、その場合は完全なる廃墟とは呼ばないのかなと個人的に思います。
ーー独自の廃墟の定義のようなものがあるのでしょうか?
中村:まず、廃墟っていう呼び方は人が住んでないのは前提なんですけど。廃墟の中にも abandoned(棄てられた地)とruin(遺跡)というのがあるじゃないですか。ruinは瓦礫みたいな状態だったり、遺跡やお城なんかを指すんですけど、私はそっちにはあんまり興味が沸かないですんよね。 人が住んでいた痕跡があるような、abandonedの方が面白い。
ただ、佐藤さんがお話されていた漁村は人が住んでるのでそもそも廃墟じゃないです。
佐藤:1回全員いなくなったんですけどね。最近はSNSで有名になって観光客が増えたから、逆に元住人が戻ってきてますよ。僕が行った時はお茶屋さんがいたり、カップルがインスタ撮りに来たりしてました。
中村:そんな映えスポットになっているんですか!?(笑)。じゃあ、もう本当に廃墟ではなく観光地になったんですね。そういう廃墟だった場所が歩む道って色々で面白いですね。 私が訪問した時は、ガスタンクを積んだトゥクトゥクみたいなやつをハイヤーして、ガスタンク爆発して死ぬんじゃないかと思いながらたどり着いた場所でした。
写真・ゲーム・映画.....廃墟を巡る創作物たち
佐藤:本の中では、ホームレスの人にご飯をもらうエピソードなんかもありましたけど、こういう体験ってゲームのネタにしたりするんですか? 廃墟にいるキャラクターからアイテムをもらうみたいな。
中村:私が廃墟を訪れるときは、ゲームのアイデアとして使おうと思っているわけではないんです。探検しているうちに、その経験が自然とゲームに反映されることがあります。廃墟めぐりを始めたのは、ホラーゲームが好きだったから。だから、廃墟を訪れたときの感動やスリルは、ゲーム体験とリンクしているのかもしれないです。
だから、ゲームをしていると、「あ、これは自分(プレイヤー)が廃墟で体験したことと同じだ!! 」と思う瞬間があるんです。例えば、『ウォッチドッグス』(2014)をプレイしたとき、ドローンを使って建物を偵察し、警備員やガードドックを見つけて、潜入するための脱出ルートを探したりするゲーム性です。
私も廃墟に入る前に、友人とドローンを使って偵察してから入るというのをやっていたんです。「これはまさに私がやっていることだ!」と思いました(笑)。それもこの本でマンガで表現して入れてあるストーリーです。廃墟を訪れる人はよくゲームに例えますよね。『これはバイオハザード!』とか『サイレントヒルみたい!』とか。あと、ゲームじゃないけど『天空の城ラピュタみたい!!』も皆さんよく使いますよね。
佐藤:なんて言いながら、僕も前に「『サイレントヒル』っぽいですね」なんて言ったことあるんですけどね。その後に「佐藤さんってゲームやるんですね」みたいなことをすごい言われましたが。
中村:佐藤さんはゲーマーじゃないんですか?
佐藤:ゲーマーではないです。『サイレントヒル』は映画は好きだけどゲームはやったことないですし、『バイオハザード』も大昔に初代をやったくらい。大学生のときに『カウンターストライク』(2000)をやってたので、『Call of Duty』シリーズはやってたりしますけど。
中村:キタ!『Call of Duty』!!! ナンバリングは何が好きですか!?
『カウンターストライク』をやってるのであればゲーマーだと思いますが(笑)
佐藤:でも、ゲーマーというわけではないので。
ゲームの廃墟でいうと『Call of Duty 4: Modern Warfare』(2007)のチェルノブイリなんかはすごかったと思いますよ。
中村:ハヒィ! 『Call of Duty 4: Modern Warfare』神ゲーですよね!
チェルノブイリが出てくる。ゴースト先輩最高、ハンス・ジマー最高。
佐藤:実際、ゲームのプレイ後にチェルノブイリに行ったんですけど再現度がすごいんですよ。初めて行ったのに「このビルのここから狙撃したわ」みたいな思い出がどんどん湧き出して来て、ゲームのせいでデジャヴが起きて(笑)。
中村:最高ですね.....!
私もチェルノブイリに行こうと何回か試みて、未だ行けてないんですよ。 行きたいルートが公式じゃないので.....放射能の影響で1年中紅葉してる森もエリアがあったんです。そこに行きたくて、今でもあるのかな。
あと、チェルノブイリにレーダー塔があって、あれのてっぺんまで登ってみたくて。
佐藤:DUGA-3。
中村:さすがです!(笑)
DUGA-3の一番上まで登らせてくれる人を探してたんですけど、3階くらいまでなら登れるというガイドさんしかいなくて。
佐藤:未だにチェルノブイリに入っていくYouTuberなんかはいますけどね。
中村:えっ、地元の人ですか?
佐藤:多分ウクライナの若者ですね。石棺の中のもうこれ以上先は進めないっていう地下水のエリアにダイビングスーツ着て入ったり、放射線の高い池でふざけて水をかけあったりとかしてて。海外の命知らずはレベルが違う。
ーー不謹慎で炎上.....などといったことにはならないんでしょうか?
佐藤:チェルノブイリって、その国の人たちにとっては腫れ物みたいな扱いなのかなと気を使いながら行ったんですが、特に若い世代にとってはその辺結構ドライなんですよね。
中村:『S.T.A.L.K.E.R. SHADOW OF CHERNOBYL』(2007)という神ゲーがありますが、当時の開発元は地元のウクライナ会社です。
現実にあった事故と場所をゲームの題材にして成功させました。このゲームから名前をとった「ストーカー」という現地の違法ガイドもいたりしますし。ドライだと思いますね。
佐藤:日本で同じことをやったら大炎上しますよね。ドライだなと思いました。
ーーゲームや創作物等の描写を受けて廃墟に行く話がありましたが、逆にお二人が撮影した廃墟の写真や表現が創作物に影響を及ぼしていると感じることもあるのでしょうか。
中村:「あれ?これは私のウェブサイトを見てくれて参考にしてくれているのでは?」というのは何度かあります。クロアチアのドゥブロブニクという町のすぐ下に『紅の豚』(1992)のモデルになったと言われている場所があって、そこにクパリのホテルの廃墟群と呼ばれる場所があります。
私はその時、アイコンだったガスマスクを卒業して、フード被ってマスクをするとういうスタイルに切り替えていたんです。その後に、私が撮った写真と同じアングルで、トラックメーカーのアラン・ウォーカーさんのPV見て、「私のウェブサイトを見ているのでは!?」と勝手にありがたいなと思ってたりします。多分偶然なんですけど。
佐藤:(笑)。
中村:漫画とかゲームでも、あの写真をモチーフとか資料に使ったなっていうのありますよ。明らかに佐藤さんの写真を参照したなっていうの、ありますよね?
佐藤:結構ロケハン資料に使われてますね。
でも、最近はもっと相互的だなと思っていて。廃墟の写真集に影響を受けて作られたゲームを遊んで育った子たちが映画を作って、廃墟が舞台のゲームみたいな映画ができて、みたいな影響し合ってると思うんですよね。だから、ピンポンのようで面白いなと。
日本と海外の廃墟観
ーー海外の廃墟YouTuberの話や文化観の話がありましたが、国内外での廃墟カルチャーの違いやカルチャーショックなどを感じたことはありますか?
中村:あります。
昔、日本の廃墟でアメリカの子たちをガイドしたことがあったんですけど、入っちゃいけないところに入ってっちゃうんですよ。気持ちの配慮とかなくどんどん行っちゃうんで、そこはカルチャーショックでした。
佐藤:難しいですよね。YouTubeをちょっと探すと、外国人が日本の廃墟を探索してる動画がいっぱいあって、少なからず日本人がやるとアウトなもの、炎上するであろうものもあるんですよ。だけど、外国人の場合は仕方ないみたいな風潮はたしかにあります。
中村:YouTuberのMr.Beastさんが「廃墟で7日間サバイバル(I Survived 7 Days In An Abandoned City)」という面白い試みを行っていたのんですが、その場所が先ほど話していたクロアチアのクパリの廃墟群だったんです。
そこで物を壊して、移動させてサバイバル生活をするという企画でしたが「待って!ビースト様、あなたのこと好きだけど、そこはそっとしておいてほしいな」って視聴しつつ心で思っていました。 そこは激戦があった場所だから余計に。
佐藤:日本だと破壊どころか、ちょっと廃墟にあるものを動かすだけでも憚られるのに、外国のYoutuberとか平気で破壊しながら進んでますよね。僕は廃墟に行っても何かを手に取ることは基本しないようにしてるんですけど、海の向こうの人を見てると気軽にガチャガチャいじったりとかかぶって遊んだりとかしてて、その辺は文化の違いは感じます。
中村:スカベンジャーとかに普通に出会いますよね。いわゆる鉄泥棒。
それも本の中で触れています。
佐藤:あと、さっき中村さんが、ruin と abandoned の違いの話をされてましたが、その二分に限らず、日本の廃墟そのものが海外とは違う独特のものがありますよね。
中村:日本の廃墟は風情がありますよね。例えばアメリカの廃墟って基本もう人が入ってボッコボコのボロボロで、落書きがあったり設備が盗まれてたり、あわや使用済みの注射器がいっぱい落ちてるみたいな荒れ具合だったりするんですけど、日本の廃墟は荒れてない場所も多く存在します。だから海外の探検家から人気ですよね。昔の写真や元居住者の持ち物が普通に残っていて風情を感じます。
佐藤:俳句みたいに、ローマ字でHAIKYOって書く人もいますよね。
ーーそういった日本の廃墟やそこに取り残されたもので印象的なものは何かありましたか?
中村:無数のブラジャーが置いてある場所がありましたね。衝撃的でした。
茨城にある本覚寺というお寺なんですけど、昔ここで国内最大クラスの宗教詐欺事件があったから詐欺寺と呼ばれていて――最初にブログで”詐欺寺”と名づけたのは私なんですが。(笑)
それがいつの間にか廃墟の探索家たちやYouTuberさんの人たちに”詐欺寺”と使われるようになって定着してるんですが――そこに、ある日を境にブラジャーが大量に吊り下げてあったんです。
全部Dの75...これも本の中で当時の状況を語っています。詐欺寺がブラ寺になるなんて誰も想像しなかった廃墟の未来でした。
ーー???
中村:大事なことなのでもう一度いいますね。廃墟にブラジャーが無数に吊り下げられていたんです。ブラーーーーーと。
最初は呪術か何かかと思っていましたが、数か月後に訪れたらなんと.....というタネ明かしも本に書かせていただきました。
廃墟初心者はまず「野」に気をつけてほしい
ーーここまで話して来て、お二人の廃墟の味わい方やスタンスに違いを感じられたりしますか?
佐藤:やっぱり、違うとは思いますね。
僕はそんなに冒険は重視していなくて、やはり写真を撮ることが第一で。あとはそこに歴史の流れがあって、人のうねりや巨大なエネルギーがぶつかり合ってわけのわからない場所が生まれた、生まれてしまったっていう過程に惹かれます。
例えば、最近行った場所に、中央アジアのセミパラチンスクという場所があって、景色としてはただ大きな湖があるだけで、言われなければただの美しい湖にみえる。でも実はこれが過去にあった核実験の結果という背景があって。それで、その巨大なクレーターを見て、背景や起きたことを想像しながら、何もなさっぷりを味わう、現代の禁足地的な感覚が好きですね。
中村:そこで起こったことをフォーカスポイントにする佐藤さん体験に重きを置く中村さん、みんなスタイルは違うからこそ面白いですよね。
例えば、事前にたくさん調べて最新情報も得た上で、廃墟に着いていざ潜入!となった先にある入口が塞がれてしまっていた!なんてこともしばしばあって、残念なんですが、その体験すら楽しいんです。入れなくても失敗しても楽しい。それも本で伝えたいことです。冒険すべてにリスクがあって、そのリスクを楽しめるんだよ!というメッセージです。(自己責任ですけどね)
ーーちなみに本書の中で1番印象深かったロケーションはどこですか?
中村:アメリカのモハーヴェ砂漠の戦闘機たちですね。3回は行ってますね。日本テレビから『アナザースカイ』の取材が来たら「私のアナザースカイはモハーヴェ砂漠です」と言えるくらい好き。
昼間は40度近い気温の中で砂漠を30分くらい歩くと廃戦闘機に辿り着くという大変な場所なんです。 夜には気温が下がるんですが、廃戦闘機を見ながら、夜空を見上げると最高です。騒音は無くて、砂漠雀が動く音と金属が軋む音だけの世界です。
空軍基地が近くにあるので、現役の戦闘機がガンガン飛んでくるんですよね。目の前には廃戦闘機、夜空には現役の戦闘機、このコントラストをおかずに白米5杯くらい食べれますね。その現役の戦闘機たちが写真で撮影すると軌跡を残して撮影できるんです。UFOみたいなんですよね。そこで中村はモハーヴェ砂漠で、佐藤さんのウェブサイトを思い出すわけです(笑)。
あと、ヤギがいるイタリアの精神病院跡の廃墟。
雑草対策に放たれたヤギらしいんですが、増えてしまって。精神病院とヤギってなかなか粋な組み合わせですよね。A24のホラー映画に出てくるような場所で最高でした。ヤギの糞だらけで歩くのに苦労しましたが。
あとあと、クロアチアの山の上にあった元テレビ局もよかったです。これこそまさにソ連のブルータリズムの影響を受けまくった記念碑塔なんですけど、これもすごい好きでした。ここでは人糞を踏んだのがいい思い出でした。
ああ、糞地雷ばかり踏んでいる.....まあそれはいいとして。
あと.....いや、語り切れないですね。この本、自分が行った中でも一部しか収録されてないんですよ。まだたくさんあって、それを厳選して写真と体験をイラストで表現させていただいたので、語りきれないです。
なので、この記事の読者のみなさんにも是非本書をお手に取っていただければ!
ーー最後に、廃墟探索の熟練者のお二方から、廃墟初心者の方に向けて心得があれば教えていただけますか?
中村:野糞と野ションができる精神で廃墟に挑むことです。もちろん人が踏まない場所に配慮しつつ。
廃墟にトイレはありません。エチケットとして携帯トイレの持参もお勧めいたします。
佐藤:僕からは、野犬に気を付けることですね。
中村:そうですね。野糞と野ションと野犬。
3つの野に気をつけてください!
ーーありがとうございました!
TEXT_稲庭淳
PHOTO_大沼洋平/Yohei Onuma
EDIT_中川裕介(CGWORLD)