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UE4でマンガやアニメ、イラスト制作に挑戦するための第一歩をサポート「UE4 Manga Anime Illustration Dive Online」レポート

ゲームエンジン・Unreal Engine 4のゲーム以外のメディアにおける活用法を学べるオンライン勉強会「UE4 Manga Anime Illustration Dive Online」が2月19日(土)に開催された。マンガ、アニメ、イラストレーションで使えるテクニックが次々と披露され、UE4の導入を考えている初心者はもちろん、現在使用中のユーザーも参考になるイベントとなった。その全4講演の概要をレポートする。

記事の目次

    <1>「マンガで使う! 初めての Unreal Engine」by 斎藤 修

    マンガで使う!初めての Unreal Engine | UE4 Manga Anime Illustration Dive Online

    最初の講演ではEpic Games Japan Technical Artist Developer Relationsの斎藤 修氏が登壇。週刊少年ジャンプに読切マンガが掲載された経験のある斎藤氏が、UE4をマンガで扱う利点について解き明かした。

    「なぜUEがオススメなのか?」という理由については、あらゆる職種の人が触るツールのため使いやすいこと、無料かつ豊富なアセットがあること、幅広い分野で使われるので覚えたスキルが無駄にならないことの3つを挙げる。

    その中でも大きなメリットとなるのが、アセットのおかげでモデル制作コストを削減できる点である。UE4には最高品質の無料アセット群 Megascansが存在し、UEマーケットプレイスでも高品質なコンテンツが無料の商品を含めて大量にラインナップされており、それらを利用すればモデルをつくる手間がなくなるのだ。実際に『黒子のバスケ』の作者・藤巻忠俊氏がUE4で制作した読切マンガ『キルアオハル』にも、マーケットプレイスで購入したアセットが利用されている。

    カメラ調整、画角調整、オブジェクトの追加、スクリーンショットなどUE4の基本操作さえ覚えれば、アセットを使い、好きなアングルで画像を撮って、マンガの下書きなどにも利用できる。

    斎藤氏は「Megascansとマーケットプレイスの無料アセットのためだけにUE4を導入しても、充分に元を取っていただけるのでは?」とUE4の利点を述べた。

    後半では『キルアオハル』の制作風景を紹介。まずは学校アセットなどを配置して、3Dでシーンを組み上げていった。シーン完成後のスクリーンショットは、通常の「ライティングあり」に加えて、影情報が取れる「詳細ライティング」、面がどこを向いているのかがわかる「ワールドノーマル」と3回撮影することで、それぞれをトレス用、トーン用、ライト用に活用できるなど、作画作業で使えるテクニックも伝えた。

    講演スライド

    <2>「未経験者でもできる! UE4を活用した2Dカラーイラスト作成法」by あかざ

    未経験者でもできる!UE4を活用した2Dカラーイラスト作成法 | UE4 Manga Anime Illustration Dive Online

    イラストレーター・キャラクターデザイナーとして活躍するあかざ氏は、UE4でイラストを制作しようと思った動機について「お恥ずかしながら、実は背景が苦手でして……」と告白。3Dを使用してイラストとして使えるカラー背景を手に入れたいと思ったことがきっかけだったと明かす。


    セッションではUE4の操作画面をイラストツールの用語に置き換えて解説。失敗しやすい落とし穴をTipsを交えて伝えるなど、未経験者でもわかりやすいように説明していった。

    下準備として簡易モデルを配置した後に、最低限覚えておけば画づくりができる3つの機能を紹介。まずは太陽の光を表現する「ディレクショナルライト」、様々な種類の雲を作成する「ボリュメトリッククラウド」について、イラストで使える機能のみをピックアップして調整方法を紹介した。

    3つの機能の中でもオススメだというのがフォグ=霧を発生させる「指数関数的ハイトフォグ」で、あかざ氏はこの機能があったからこそUE4でイラストを手がけようと思ったほどだという。とくにStart Distanceの値を変えると、カメラから見てフォグがかかり始める距離を調節できる点に惹かれたそうだ。

    魅力的なイラストを描く際には空気遠近が本来かからない部分にもかけるといった具合に、リアルだけではない要素が必要になる。「指数関数的ハイトフォグ」は、そういった効果を簡単につくるために重宝していると話した。

    後半はイラスト作成の実例が紹介された。まずイラストのコンセプトとして、巨大な図書館を舞台に本棚に座っている少女を、アオリ構図で描くというテーマを設定。最初の例ではモデルを配置して背景を組んでキャラクターを配置してみたが、本棚が整然としていたせいで面白味のない絵になってしまった。

    そこで本棚を浮かせて階段状に配置し、魔法で浮いているかのような不思議な図書館に変更。これによって魔力という新たなテーマが生まれ、紙を翼にしてキャラクターを天使のように見せるというアイデアや、「図書館の天使」というタイトルも思い浮かんだという。UE4で背景を組んだことが、キャラクターの作画にも影響を与えているのがわかる。

    あかざ氏は「モデルの配置を変えることで、自分が想像していない答えにたどり着けるのが3Dの面白いところ」だとコメント。リアルなアセットを用いると背景の情報量が増えるため、キャラクターを馴染ませるために苦労はしたものの、「今までできなかった表現が形になるのは嬉しい」と、絵を描き始めた頃のワクワク感を取り戻した喜びを語った。

    講演スライド

    <3>「Unreal Engineでイケてるイラストを描くためのノウハウ大放出!」by alwei

    Unreal Engineでイケてるイラストを描くためのノウハウ大放出! | UE4 Manga Anime Illustration Dive Online

    UE専門のゲームスタジオ・Indie-us Games代表のalwei氏は、同講演で紹介するイラストの9割がUE4のレンダリングによってつくられていることを明かし、その全工程を網羅的に解説。カメラと構図の設定方法やペイントソフトを用いた仕上げ、スクリーンショットの撮り方、オススメの有料アセットまで、紹介内容は多岐に渡った。

    • 完成イラストとUE4の画面の比較

    その中でも解説に多くの時間が割かれたのがポストプロセスだ。ポストプロセスによってペイントソフトだけでは難しい加工ができ、魅力的な絵をつくることができる。
    まずはUE4が標準でもつネイティブポストプロセスについて、発光したような画面になる「ブルーム」、フィルムのようなザラッとした質感を出す「フィルムグレイン」、色がズレることで印象的な絵になる「色収差」の効果が紹介された。

    さらにalwei氏が自ら開発した線画フィルタ・PPLineDrawingや、有料アセットながらイチオシだというポストプロセスエフェクト集・Chameleon Post Processを導入方法から丁寧にレクチャー。ポストプロセスによって最終的な画面の印象がまったく異なるものになることが実感できた。

    キャラクターに関しては、コントロールリグを利用してキャラのポージングを作成し、ペイントソフトで作画ガイドとして使う方法を伝授。マネキンの手首や指先まで細かな角度を調節し、椅子に座らせてポーズを取らせるまでを実演した。

    素体にマネキンではなく可愛いキャラクターを使いたいというユーザーのために、プラグイン・VRM4Uを紹介。マネキンとは異なり瞳の位置を調節できるなど、痒いところに手が届くつくりになっている、とその使用感を語る。

    最終的にはポージングしたマネキンがCLIP STUDIO PAINTに読み込まれ、下書きのガイドとして用いられた。このように背景からキャラクターに至るまで画面に映るほぼ全てにUE4の機能が利用されており、クオリティアップに役立ったことがよくわかるセッションとなった。

    講演スライド

    <4>「UE4とEPOSで創る新しいアニメ制作のワークフロー」by グラフィニカ 3DCG部 演出グループ

    UE4とEPOSで創る新しいアニメ制作のワークフロー | UE4 Manga Anime Illustration Dive Online

    最後のセッションではUE4上で絵コンテを直接描けるプラグイン・EPOSをフィーチャー。EPOSのβテストに参加して、テストプロジェクト『ピスタと種』のプリビズを制作したグラフィニカの挑戦に迫った。

    まずはEPOSを開発したPraxinos社の佐藤直幹氏が登壇。Praxinos社はUE4がもつリアルタイム3D環境をそのまま活かし、2Dアニメーションを制作できるソフトウェアの開発を最終的な目標に掲げている。

    「EPOS」の作業イメージ

    その過程で生まれたEPOSは、UE4ではストーリーボードの作成が難しいということが開発の出発点となった。EPOSは3D環境内にカメラを設置して、その間にガラスのような透明なプレーンを設定。キャラクターなどを描き込む機能を備えている。描画にはPraxinos社のペイントツールプラグイン・ILIADも利用可能だ。

    ユーザーはカメラとプレーンの位置を設定して、シーケンサーと呼ばれるタイムラインに1コマ1コマの構図を決めていく。サウンドトラックの読み込みや編集作業などもでき、全ての情報をUE4上にまとめられる。

    グラフィニカがEPOSに魅力を感じたのは、EPOSがタイムラインをもっており、音の追加や編集もできるという点にあったという。そこでβテストに名乗りを上げ、『ピスタと種』のプリビズを制作することになった。

    制作にあたっては、ワークフローを監督からの一方通行であるウォーターフォール方式ではなく、チーム全員でアイデアを出し合ってディスカッションできるアジャイル方式に変更した。

    現行ワークフローは合理的に見えるが問題点も多い
    新ワークフロー。簡易なプリビズを手がけてディスカッションしてフィードバックを繰り返す

    最初にシナリオとイメージボードを作成。監督もあくまで1つのパートとして参加し、約1分間のプリビズ制作に取りかかる。

    ここで肝になったのは、最初のプリビズは完成へのステップではなく、あくまでディスカッションの材料だということだ。そのため1週間という短期間で制作し、各パートからのフィードバックが得られるように細かなつくり込みも避けられた。それらの試行錯誤を繰り返すことで、1人のクリエイターだけでは生まれないアイデアを取り込むことができたそうだ。

    こうしたアジャイル方式のワークフローの場合は、スタッフ全員が情報をスピーディーに共有してディスカッションできる環境を整えることが必要不可欠である。

    EPOSは最初の絵コンテからUE4上で描くことによって、モデル、アニメーション、編集などの全ての情報がUE上のシーケンサーにまとめられる。そのおかげで最新のタイムラインの共有にも手間がかからず、全体を確認しながら最良の表現を模索する上で都合が良かったと、グラフィニカの制作チームは振り返った。

    プリビズのテイクによって映像が大きく異なる

    ビデオコンテとプリビズのテイク1~5までの映像を同時に上映してみると、内容やカット尺まで異なっている箇所があるとわかる。これも全スタッフからのフィードバックを反映できるワークフローならではの成果と言えるだろう。

    グラフィニカのスタッフはEPOSを使用した感想について、コンテ以外にもモデルや背景美術のチェックなどができ、遠隔地にいるスタッフたちが同じデータを互いにブラッシュアップするという、これまで難しかった作業も実現できたとコメント。まだまだ開発中のソフトウェアではあるが、1人では想像できない使い方が生まれる可能性もあり、今後の映像制作の在り方を変える力になるのではないかと語った。

    なお、当日の質疑応答で回答できなかったものに関しては、こちらのページで公開されているため、合わせて参照してほしい。

    TEXT_高橋克則 / Katsunori Takahashi
    EDIT_山田桃子 / Momoko Yamada

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