「ポールダンス」×「歌」×「がんばる少女たち」がテーマの『劇場版 ポールプリンセス!!』。制作は『プリティーリズム』などで知られるタツノコプロだ。ポールダンサーをモーションキャプチャアクターに迎え、その妖艶な演舞を煌びやかなアニメーションに昇華した注目作だ。
Information
Point
・タツノコプロの発案によるオリジナル企画
・ポールダンスをしたときに映えるキャラクターデザインを採用
・ポールダンサーの動きをモーションキャプチャで収録
・立体的なカメラワークやエフェクトがショーを豪華に演出
個性豊かでかわいらしい主人公たちのデザイン&3Dモデル
本企画を主導したのは、以前からポールダンスの表現の幅に注目していたという乙部善弘氏。タツノコプロでの長いCGディレクター経験を踏まえ、3DCGの強みや表現力を知り尽くした乙部氏ならではの着眼点と行動力が、本作を世に送り出す大きな原動力となった。
ポールダンスをアニメに! 熱い想いが劇場公開の道を拓く
ポールダンスに挑戦する少女たちを描いたアニメ作品『ポールプリンセス!!』。2022年12月にWeb公開されたショートアニメを経て、2023年11月に劇場上映となった本作は、過去に類例のないダンスシーンに多くの観客が惹き付けられ、応援上映なども盛り上がりを見せている。
本作を企画したのはタツノコプロで長年にわたりCGディレクターを務めてきた乙部善弘氏。きっかけは2017年に劇場公開された『KING OF PRISM -PRIDE the HERO-』だ。乙部氏はかねてより競技としてのポールダンスに感銘を受けていたことから、この作品でCGディレクターの立場からポールダンスによる演出プランを提案。それが見事に採用され、作中に約30秒のポールダンスシーンが誕生した。
「自分たちから企画を発案して、創作していきたいという思いがありました」と話す乙部氏は、この表現に可能性を見出し、以降もオリジナル企画として温め続けた。
そして2020年初頭、モーションキャプチャのテストデータから動画を制作し、社内でプレゼンをしたところ、即座にゴーサイン。乙部氏はさっそく動き出した。「ポールダンスに映えるよう、頭身が高く、かわいい衣装も描けるデザイナーを探していて、イラストレーターのトマリさんに依頼しました。こちらからはキャラクターの設定をお伝えするだけで、自由に描いていただきました」。
企画当初はキャラクターのダンスMVやショートエピソードからなる小規模な展開を想定していたが、企画サイドから好評を得て、トントン拍子で劇場版制作へ。「全スタッフが一丸となって非常にモチベーション高く制作に臨めた作品です」と、乙部氏はその充実した制作期間をふり返る。
今や小学生からシニア世代まで幅広く行われているポールダンス。本作を観賞したファンからは「作品をきっかけに実際にポールダンスを観に行ってみた」といった声も聞こえてくる。作品のみならず、競技に対する熱烈な応援団となったファンが増え、競技人口も増大しそうだ。
星北ヒナノ
本作の主人公、チーム・ギャラクシープリンセスの星北ヒナノのデザイン画とCGモデル。設定は「高校2年生で引っ込み思案の性格だが、ある夜偶然公園で見たポールダンスに感動し、スタジオに通い始める。幼少期にバレエの経験あり」。
東坂ミオ
東坂ミオのデザイン画とCGモデル。設定は「コスプレと衣装づくりが好きな高校3年生。ヒナノとリリアに誘われてポールダンスを始める。チーム・ギャラクシープリンセスの衣装制作も担当」。
西条リリア&南曜スバル
西条リリアと南曜スバルのデザイン画、CGモデル。設定は「リリアはヒナノの幼馴染で、ヒナノと共にポールダンスを始める」「スバルは体操選手だったが怪我で夢敗れ、そんな折、ポールダンスに出会う」。ふたりは大会でダブルスを組むことを念頭に、似たデザインの衣装を用意した。衣装のコンセプトは“友情・勝利”。
CGWORLD 2024年1月号 vol.305
特集:アニメCG最新トレンド調査
判型:A4ワイド
総ページ数:112
発売日:2024年1月10日
価格:1,540 円(税込)
TEXT_日詰明嘉/Akiyoshi Hizume
PHOTO_弘田 充/Mitsuru Hirota
EDIT_海老原朱里/Akari Ebihara(CGWORLD)、山田桃子/Momoko Yamada