今回はTVアニメ『鎧真伝サムライトルーパー』のCGメイキングを紹介する。本作は分割2クールの放送・配信で、2026年7月に第2クールの放送が控えている。基本的には作画中心の作品だが、ヨロイギアを纏ったサムライトルーパーなどで3DCGが活用されている。

記事の目次

    ※本記事は月刊「CGWORLD + digital video」vol. 332(2026年4月号)に一部、加筆修正を加えた転載となります。

    関連記事TVアニメ『鎧真伝サムライトルーパー』ヨロイギア姿のキャラクターを3DCGで表現! 〜No.1/モデリング&ルックデヴ篇

    Information

    TVアニメ『鎧真伝サムライトルーパー』
    第2クール 2026年7月放送・配信決定!
    原作:矢立 肇/監督:藤田陽一/シリーズ構成・脚本:武藤将吾/アニメーション制作:サンライズ/製作:「鎧真伝サムライトルーパー」製作委員会
    www.samurai-trooper.net
    ⒸSUNRISE

    サムライトルーパーたちをはじめとする多数のキャラクターたちを3DCGで表現

    • CGディレクター・鈴木雅臣氏
    • CGモデリングディレクター・小伊豆玲衣氏

    写真掲載なし、CGディレクター・髙橋圭佑氏、CGモデリングディレクター・島野達也氏、CGラインプロデューサー・伊藤仁美氏(以上、FelixFilm)

    多彩なキャラクターのリギング

    キャラクターモデルのリグはそのキャラクターの種類によって異なり、人型のキャラクターの場合はBiped、モンスター系の“カイライ” などはCATを使ってセットアップされている。メインキャラクターのリグはアクションに対応させるため、ベースリグのほかに、手足の伸縮用のリグも追加され、ケレン味のあるアニメ的誇張表現にも対応可能だ。

    鎧や武器に関しては特殊な処理をせず、アニメーターのスキルに関係なく扱え、自由度の高いリグになるように設定されている。また、同じシーン内にメインの5人と敵が登場するカットも多いため、データの軽さも重要なポイントだったという。

    • ▲Bipedを使った人型キャラクターのリグ
    • ▲CATでセットアップされた第3話に登場する“カイライ”のキャラクターのリグ

    多数のモーフの搭載による豊かな表情

    当初キャラクターの表情に関しては作画が想定されていたが、アクションシーンでのキャラクターの表情はモーフによるフェイシャルセットアップが作成され、ほぼCG側で表現されている。3DCGによるフェイシャル表現が非常に上手くいったため、作画側の工数を大幅にカットすることができたという。

    フェイシャルはスケジュールとコストの関係から、ボーンベースのフェイシャルリグは採用せず、約80種類におよぶモーフターゲットによって表情がコントロールされている。

    ▲ターゲット作成時にはアニメーターからの要望を受けながら、バリエーションが作成された。画像は凱の笑顔、不満、悲しみの例。戦闘中の真剣な表情では特に目元に力を入れている印象が求められた
    ▲作成されたモーフターゲットの一部
    • ▲モーフターゲットを使った閃光のシオン、こと石田紫音の表情例
    • ▲同じく、石田紫音の表情例

    勇ましい表情の制作

    CGキャラクターの使いどころとして戦闘シーンが多いため、戦闘時の「勇ましい表情」専用のモーフターゲットも用意されている。これらの表情はサムライトルーパー、十勇士ともデザイナーの監修を受け作成された。デザイナーからは「筆圧のニュアンス」レベルまで細かく指示されており、モデルの角部分に意図的な隙間をつくってインクの溜まりを表現するなど、モデリング側の工夫でデザイナーの要望に応えていったという。

    結果としてリグとモデルの完成度が高かったため、作画スタッフが「ほぼ3DCGに任せて問題ない」と判断されるまでのクオリティに仕上がったという。

    ▲凱に対するデザイナーからの口角の表現に関するフィードバック
    • ▲紫音の監修前の状態
    • ▲デザイナーからのフィードバック。目の周辺の表情についてフィードバックがなされた
    ▲フィードバックに対応した完成画

    踏まれる武蔵の表情

    CGキャラクターでの表情表現で特に難しかった例として、第3話の水簾のムサシ、こと北条武蔵が踏みつけられたときの例が挙げられる。キャラクターのフェイシャル表現が非常に上手くいったので、カメラが寄った状態でも作画ではなく3DCGのフェイシャルがそのまま使用されることが多くなったのが、嬉しい誤算だったとCGディレクターの髙橋圭佑氏は話す。

    多数のターゲットが用意されているため、ある程度はターゲットを使ってベースの表情をつくれるが、細かい部分はアニメーターの手作業とスキルによるところが大きく、フェイシャルは本作でアニメーターが特に力を入れた部分だという。この武蔵が踏まれているときの表情も1コマ1コマ修正しながら、作画に近い感覚でフェイシャルアニメーションが作成されている。

    モーフコントロールスクリプトによる効率化

    本作では非常に多くのモーフターゲットが作成されており、表情のリストが多くて制御が難しいため、社内システムによってモーフを部位ごとに分けて制御しやすくするスクリプトを開発し、効率化が図られている。画像はモーフコントローラのUIだ。部位ごとに形状変形やライン、影の状態などをパラメータで設定することができるようになっている。

    No.3に続く。

    CGWORLD 2026年4月号 vol.332

    特集:「にじさんじ」を支えるANYCOLORの技術
    判型:A4ワイド
    総ページ数:112
    発売日:2026年3月10日
    価格:1,540 円(税込)

    詳細・ご購入はこちら

    TEXT_大河原浩一(ビットプランクス)/ Hirokazu Okawara
    PHOTO_弘田 充 / Mitsuru Hirota
    EDIT_海老原朱里 / Akari Ebihara(CGWORLD)、山田桃子 / Momoko Yamada